第195話美食会
そして、その次の日からお父様からよく「四宮家の婦人とのお茶会はいつやるのか? 次も土産はあるのか?」としつこく聞かれ始め、ついにはいつ開催するかもまだ決まってすらいないお茶会に来るかどうかも決まていない(いくら親友と言えども予定が合わず、来れない場合もございます)ので、ならば最終的に『だったらお父様と一緒にこちらからシノミヤ家に行けばいい』という結論に至り、後日お父様と一緒に四宮家に訪問するのだが、それはペトラやクヴィスト家だけではなく、その日参加した令嬢とその家もまた同じ考えであり、あれよあれよとシノミヤ家訪問する人数は増えて行くのと同時に、何故皇帝陛下がシノミヤ家を懇意にしているのか、そしてその理由は頑なに教えず、隠すように辺境の領地を任せているのか、その理由を知る事となる。
確かに、あれほどまでに美味しく、そしてシノミヤ家でしか提供することが出来ない食べ物の事を帝国中の貴族に知れ渡ってしまったらと思うと、とてもではないが次いつ食べれるか分かったものではない。
ならば懇意にしていると言いつつ隠そうとする皇帝陛下の取った行動は理にかなっていると言えよう。
結果、シノミヤ家の珍しい飲食の数々が他の者達に奪われてしまう事を危惧したお父様たちは、その日訪れたメンバー内の秘密とされ、新しいメンバーを加える場合はメンバーの半数以上の同意が必要である事、そして無いとは思うものの今回のようにシノミヤ家の婦人、シャーリーをお茶会に誘う動きをみせたメンバー以外の貴族を見つけ次第阻止するというメンバー同士の契約がされた。
そのメンバーには後にシャーリーの親友二人である男爵令嬢のモーリーと騎士爵令嬢のアンナの家も加わった『美食会』が作られるのであった。
因みにこの美食会の名前が決まるまでに壮絶な戦い、己が思考と思う食べ物の名前にしようと争った結果、決まらず、ならばそれらを一纏めに『美食』とする事でなんとか無謀な争いは終結したのはまた別の話である。
◆
「そ、想像以上に疲れましたわ……」
お茶会を無事終えたわたくしは、シノミヤ家を背負っているという重圧、上手く立ち回り舐められないようしなければというプレッシャーから解放され、馬車の中ではしたなくも横になりだらけてしまう。
「ほら、シャーリーお嬢様。 折角の着物が皺になってしまいますよ。 このまま帰った場合皺になった着物を着ている姿を旦那様に見られてしまうかもしれませんね」
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