第193話大成功と言っても良いだろう
そして、自信満々にそう答えるシャーリー様の表情は、それら甘味の味を思い出しているのかうっとりとした表情をしていた。
ぷりん、あいすくりーむ。
まだ聞いたことすらないそれら甘味は一体どんな形をしており、どんな食感で、そしてどれ程美味であるのか。
想像するだけよだれが滝のように口の中に溢れて来る。
シャーリーのあの表情を見てしまっては、タリム領へ行かないという選択肢は無い。
なんならシャーリーが帰る馬車に同乗して一緒に向かいたい程である。
そして、私の予想が正しければシャーリーの言うケーキという甘味は、私が知っているケーキ(ガレットブルトンヌ又はパンケーキ)とは全く違うのであろう。
でなければわざわざここ帝国でも良く食べられているお菓子の代表格であるケーキの名を上げるはずがないと、私の勘がそう告げている。
逆の立場であり、もしケーキがごくごく普通のケーキであったのならば、私であったら自信満々に進める等あり得ないからである。
そう、ケーキとはケーキに有らず。 という事ですわねっ!!
「ほ、他にはどのような甘味が御座いますのっ!?」
「他に、ですか……そうですわね。 ゼリー、あっゼリーだとわたくしゼリー蒟蒻が大好きなんですのっ!! 見た目こそスライムなのですが味は絶品でしてよっ!!」
「ぜ、ぜりーこんにゃく? 見た目はスライム? 教えて頂いたシャーリー様には申し訳ないのですが……お、美味しいんですの? それ」
「それはもう、味についてはわたくしは保証いたしますわっ!! あとは、そうですわね……わらび餅や桜餅、その他お餅類から団子類は美味しい上に食感がもちもちとしておりましてこれがまた病みつきになってしまいそうなんですの。 とくにアイスをお餅でくるんだ大福雪見なんかは絶品でして、一度皆様にも食べてもらいたいくらいなんですけれども、常温で保存できないのが悔やまれますわっ!」
そして私は、まだ他に甘味類はないのかと聞いてみると、シャーリーは次から次へとまだ食べた事も聞いたことも無い甘味の名前を出してくるではないか。
もう私はシャーリーの事をいびるという当初の目的など綺麗さっぱり忘れてしまい、シャーリーの話す甘味の話を一語たりとも聞き逃さまいと必死になっていた。
そして、シャーリーの話す甘味の話を聞けば聞くほど興味をそそられてしまい、まだ見ぬ甘味に胸を躍らせながら過ごしたお茶会は、結果終わってみればシャーリー様のお陰で大成功と言っても良いだろう。
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