第129話値段を聞く事が出来ない
「それくらいならば全然子供っぽいとは思わないけどな。新しい事が気になる、挑戦してみたい等は大なり小なり大人であろうが子供であろうが皆持っている感情だしな。シャーリーの場合は今回それが日本で飲めるジュースだったてだけだしな」
そしてわたくしが他のジュースも飲んでみたいと言うと、旦那様はわたくしの頭を撫でながら優しい口調でそう答えてくれる。
初めこそぶっきら棒な口調で怖いイメージがあったのだが、それが今では真逆に感じるのだから不思議なものである。
「それでだ、一応これが今用意できるジュースのメニュー表なんだが、一応言われてもどんなものか分からないだろうから簡単に説明するな。ここの枠が炭酸ジュースという物で口の中でシュワシュワと弾ける種類のジュースだな。上からコーラという黒くて独特な香りと味の飲み物で最初は美味しく感じないかもしれないが慣れれば病みつきになる。次がソーダでシュワシュワする砂糖水と言った感じだな。味はただの砂糖水ではなく清涼感を感じる味がもちろん付いている。で、これは王国で言うワインを作る原料になっている果実の炭酸ジュースでこっちはオレンジという柑橘系の炭酸ジュース、そしてこちはショウガという薬味の炭酸ジュースだな。で、炭酸無しが、桃、ブドウ、オレンジがあってだな────」
そして旦那様は『にほん』のジュース及び果実についてどんな味であるかを説明してくれる。
どれもこれも魅力的なのだが、ルルゥの娘であるララが先ほどからコーラという黒い飲み物を飲んでいる為私も同じものを飲んでみたい旨を旦那様に告げると一分とせずガラスで出来た容器に入ったその黒い飲み物がわたくしの目の前に運ばれてくる。
このガラスの容器だけで一体いくらするのであろうか?
恐ろしくてジュース一本の値段を聞く事が出来ない。
ガラス製のコップならばここ『にほん』で見る物より気泡や傷があったりそもそも分厚かったりはするものの無い訳ではない。
しかしこの黒いジュースの入ったガラスは使いまわしているのか傷こそあるものの気泡が無いどころか見た事も無いデザインが施されているのだ。
王国でこのデザインをガラスで表現出来る程の職人が作るガラスと考えると金貨迄いかなくともその半値の値段がついてもおかしくはない。
「良くできてますわね………」
「あぁ、それ機械で大量生産された奴だからなぁ。人の手で作るよりかは正確に作られているがその分人の温かみが無いな」
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