第122話籠絡すれば良い事
王国ではまず手に入れる事の出来ない文房具セットと一緒に、レターセットも何点か一緒に買ってくれており、このレターセットもまた、王国では手に入れる事の出来ない代物である。
このレターセットを同封の上、今まで私が行ってきた数々の事を改めて謝罪すればいいのだ。
そして返信様に同封したレターセットなのだが、わたくしに返信するつもりが無い、返信するのも嫌だというのであれば好きに使ってくれて構わない、返信が無いからと言って報復するつもりも無いという事を脅す様な形にならない様に気を付けながら文章をしたためて送れば良いのだ。
結局は自分の罪から逃れるための自己満足でしかないと言われればそれまでであるのだが、やらないよりかは全然マシである事くらいいくらわたくしでもそれくらいの事は理解できているつもりだ。
因みにその旨を、旦那様に相談してみると「良いんじゃないのか?」と言われながら頭を撫でられ、次いでレターセットと、お土産用の日持ちするお菓子を更に別途購入してくれた。
その件については物凄く有難いし難癖をつけようとも全くもって思っていないのだが、ただ一点のみ、なんだか子ども扱いされている様にしか感じないのは気のせいであろうか?
しかしながら今現在わたくしは旦那様のお嫁さんである事はまごうことなき事実であり、今子ども扱いされようとも数年後の身体も心も成熟しきったわたくしで籠絡すれば良い事なので今から少しずつわたくしを異性として見て頂けるよう努力すれば良いのだ。
「ん?どうした。まだ何か欲しい物や買い足りない物でもあるか?」
「いいえ、欲しい物も買い足りない物はございませんわ」
「………?そうか」
「そうでございますわ」
そんなわたくしの苦悩など知る由も無いであろう旦那様が、まだ欲しい物、買いたい物があるのかと聞いてくるのだが、その問いかけに心の中で『旦那様に異性として見られたい』と答えながら口では「何も無い」と答える。
そして、そんなこんなで『いーおーん』で短いようで長い一日が終わりある程度使用人たちもお目当ての物を購入出来、人数確認を済ませた後、旦那様の別荘へと戻る。
最早馬無し馬車にも慣れてきて、楽しく使用人達とお喋りしながら帰路へ着く。
「それにしても奥方様は綺麗な金髪ですよねっ!羨ましいなっ
!」
「そ、そうかしら?別段珍しいものでもないと思うんですけれども………むしろわたくしは貴女の様な旦那様と同じ艶のある美しい黒髪の方が珍しくて羨ましく思いますわ」
「王国ではそうだけどここ日本では基本黒髪だから、ここ日本では珍しくもなんともないんだよね。しかも男性は置いておいて女性は皆様髪の毛の手入れが行き届いており美しいですし」
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