第101話流れる様なチームプレイ
「分かった分かった。買ってやるからそんな親の敵に出会った様な顔で睨んでくるのや止めろ。流石に怖すぎるわ」
「さすが旦那様ですっ!!皆っ!ウニクロのお買い物は旦那様の奢りですってっ!!」
そして旦那様がなんとわたくしのお洋服代金を出してくれると申してくれた瞬間、ルルゥが後方に控えていた使用人達に向かって声高々に『使用人達の衣服も旦那様の奢りである』と伝えるではないか。
「おいっ!いつそんな話になったっ!?シャーリーの衣服だけではないのかっ!?」
「「「「やったぁぁぁぁぁああっ!!」」」」
「流石旦那様っ!!」
「一生ついていきますっ!!」
「今この瞬間だけは大好きっ!」
しかしながら流石にそんな事を旦那様が許す筈もなく一旦は否定するのだが、予め旦那様が否定する事が分かっていた使用人たちは流れる様なチームプレイで追撃をかましていく。
「貴様ら一応日本円でもお給金貰っているだろうがっ!!王国のお給料と二重で同額渡してるんだぞっ!!」
「「「「感謝してますっ!!」」」」
「ごめんなさっ!私のお母さんがご迷惑をおかけしてごめんなさいっ!!所で何着までオッケーなんですかっ!?」
「ララっ、後半で最初の『母の代わりに謝罪する健気な娘』という像が最後の一言で台無しだぞっ!?ああもう分かったから一人一万まで出してやるよっ!!」
「よっ旦那様っ!太っ腹っ!もう一声っ!」
「うるさいわっ!!ルルゥっ!!一人一万っ!それ以上は自腹で買えっ!」
そんな、阿吽の呼吸で大勢からつめられ一対多数ではいくら旦那様でも敵わないのか一人一万円という事で使用人たちを無理やり納得させる。
しかし一万円と言えば向こうで言う銀貨一枚であると先ほどルルゥから教えてくださったのだけれども、本当に銀貨一枚相当でここにある上等なお洋服を買えるのか未だに信じられないわたくしがいる。
「あ、因みにシャーリーは好きなだけ買って良いからな」
銀貨一枚であるのならば買えても靴下が何足かくらいであろうと思っていた時、旦那様からわたくしに関しては値段の上限がないと言って下さり、そこはわたくしも女性である為思わずテンションが上がってしまう。
そして今思えばここで落ち着いていればあのような事にはならなかったのではと後になって後悔する羽目となるのであった。
◆
「種類が多すぎて選びきれませんわね………」
流石にハンドメイド安いだけあってオーダーメイドではなく今現在並べられている既存のお洋服を購入するシステムらしく一応ララちゃんにサイズの見方を教えて貰い、あーでもないこーでも無いと試着しつつお洋服を吟味していく。
因みにわたくしが来ていたお着物はマチルダとナターシャによって一旦脱いだ後綺麗に畳まれ、今は先に旦那様に買ってもらった黒のTシャツにデニムとラフな格好である。
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