第79話ようこそ群馬へっ!
そんな賑やかな彼女なのだが『にほん』側の執事であるジョンさんにゲンコツを頭に落とされていた。
「そう言えばまだご挨拶してなかったですねっ!私はここでアルバイトをしてる山田安奈、今年で二十歳、ピチピチの大学生ですっ!!最初奴隷契約と聞いたときは噂通のやばい職場だと思ってましたっ!!ようこそ日本っ!!そしてようこそ群馬へっ!!」
そしてアンナは高いテンションをそのままにわたくしの前までくると簡潔に自己紹介をしてくる。
その感じから彼女の人となりが何となく分かってくるのだが悪い人ではなさそうだ。
「ご挨拶ありがとうございますわ。わたくしはこの度旦那様の元へ嫁ぎに参りましたシャーリーと申します。年齢は今年で十八ですわ。宜しくお願い致しますわ…………ね?」
そしてわたくしも自己紹介を簡潔に済ますのだが一つだけ違和感を感じてしまう。
「どうしたの?シャーリーちゃん。お姉ちゃんが聞いてあげるから何でも言っていいからね?旦那様にセクハラされたとかでもいいからっ!?」
「と………」
「と?」
「年上ですのっ!?」
そう、わたくしより五歳前後程年下だと思っていた彼女がまさかわたくしよりも二歳年上であったという事に今更ながら気付く。
「あー、ただでさえ幼くみられる日本人の中でも私は特に幼く見られるからね。身長も百五十センチで止まちゃったし。因みにこの様子だと旦那様の実年齢は知らないみたいねっ!!なんとっ!旦那様の年齢は今年で三十二歳なのでしたっ!!実際聞いたら引くよね、いろんな意味でっ!!って痛いっ!!」
「いい加減静かにせんかっ!!」
そしてアンナは旦那様の年齢を言った後にジョンに今一度ゲンコツを頭に落とされた後首根っこを掴まれて何処か部屋の外へ連れていかれて行った。
「さんじゅう……にさい?」
そして旦那様の年齢がぐるぐるとわたくしの頭の中を回るのだが、王都で噂されていた噂の一つである『ソウイチロウ・シノミヤは若い女性の血肉を貪り不老の身体を手に入れている』という噂が流れ始めた理由が何となく分かった気がしたのであった。
◆
初めこそ騒がしかったのだけれどもその後はスムーズに王国側の使用人たちが『にほん』へと移動が終わり一旦大広間へと案内された後は各自部屋を振り分けられ各々持って来た荷物を片付けに行くのだが、その光景をみながらわたくしは、一歩も動けずに固まっていた。
何故ならば、わたくしの部屋と旦那様の部屋は新婚夫婦という事で同じ部屋にされていたからである。
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