第57話三分ですのっ!?
そう言うと旦那様はケトルを手に取り水を入れるとコンロに火をつけお湯を作り始める。
しかしながらこのコンロで火をつける時炎の魔石を行使する時に感じる微力な魔力を感じ取る事が出来なかったのですけれども、どういう原理で動いているのか、これでも魔術を習っていたわたくしは少しばかり気になるので今度聞いてみようかしら? などとこのコンロについてあれやこれやと考えているとお湯が沸いたのか笛を思いっきり鳴らした様な甲高い音が鳴り始める。
そして旦那様がケトルを手に入れると各々透明の膜みたいな物を剥ぎ取り、紙の蓋を半分だけ開けた状態の『かっぷめん』へとお湯を注いで行く。
「さてと、これで三分経てば出来上がりだ」
「さ、三分ですのっ!? 一時間とかでは無くて、三分ですのっ!?」
お湯を注ぎ終わると『かっぷめん』用に買ったという砂時計がついたお人形さんで蓋を閉め固定すると旦那様が三分でこの『かっぷめん』なる料理が出来上がるなどと言うでは無いか。
お湯を入れるだけで出来るというのが百歩譲って本当であったとしても、いくら何でも三分は言い過ぎではなかろうか。
公爵家の娘としてあまり料理などに携わって来なかったわたくしですらどんな料理であろうとそんなに早く出来ない事くらいは流石に理解している為思わず旦那様の『三分で出来る』という言葉に思わず身を乗り出しながら食い付いてしまい、そして次に恥ずかしさが込み上げて来てシュルシュルと身体が縮こまって行く。
「まぁ、ビックリするよな確かに。俺はもう産まれた時からカップ麺は売られていたし袋麺も普通にあったからそんなに驚きはしなかったけど、確かにカップ麺の存在を知らなくてお湯を入れて三分で出来ると言われても本当かよって思うよな」
「私も初めてカップ麺に出会った時はビックリしましたねー。 こんな摩訶不思議で簡単でしかも美味しいだけではなくバリエーションが豊富な食べ物があるのかと。 だというのにカップ麺は基本的に禁止なのを知って当時は旦那様を恨んでしまいそうになりましたよ」
「そうは言ってもな。別に身体に悪いからとか良いからとかではなくてせっかく料理を作ってくれる人がいるのにカップ麺食べるから今日のご飯は要らないとかいうのは流石に失礼だからな」
「それを言われては何も返す言葉も無いですし、それにリンダのご飯はどれも美味しいので問題無いですしね」
「そうこうしていたら砂時計の砂が全て落ちた事だし食べるとするか」
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