第42話思う存分に失敗して頂いて構いません
その子供達の姿を見て否が応でも期待が高まって行く。
あれやこれやと
「ささ、ホットプレートを熱していくからみんな気をつけてね」
「「「「はーいっ!」」」」
そしてリンダさんがこの黒い板を熱くしていくから気をつける様にと子供達に注意すると皆元気良く返事をする。
その姿を見てわたくしまで元気をお裾分けされた様な、暖かい気持ちになるので不思議なものである。
因みにここに居る子供達は皆ここの従業員の子供達で、両親は基本的に昼間仕事に行っているのでこうして預かっているという事らしい。
安心して子供を預けれる場所があるというのは親にとってはかなり有難いのではなかろうか?
そんな事を思っているとリンダさんが黒い板にバターを一欠片落として満遍なく広げて行く。
そして子供達の前にある黒い板にも塗り終え、バターの良い匂いが辺りに漂い始める。
「私は子供達のを焼くからルルゥは奥方様を頼むよっ」
「では、奥方様は私と一緒に作りましょうか」
そしてリンダが子供達の所へと行き、代わりにルルゥが一緒にお昼ご飯を作ってくれるらしい。
しかし、自慢では無いが産まれてこのかたただの一度も料理を作った事も無ければ運んだ事すら無いわたくしに上手く作れるのだろうか? わたくしのせいでルルゥのお昼ご飯を台無しにしてしまいやしないか? と、先程までどんな料理が出来るのかとワクワクしていたわたくしのテンションはシュルシュルと低く落ちて行く。
せ、責任重大ですわねっ! わたくしのせいでルルゥに不味い料理を食べさせる訳にはいきませんものっ!!
「奥方様、そんなに力まなくても大丈夫で御座います。 子供達でも簡単に作れる料理なので奥方様が気を付ける事と言えば熱した鉄板にさえ気を付けるだけで十分で御座います。 それに、細かいサポートなどはさせて頂きますので不味い物が出来る事はございません。 あるとすればひっくり返すのに失敗して形が崩れるくらいですかね?それでも形が崩れるだけですので味が落ちる事は御座いません。 なので思う存分に失敗して頂いて構いません」
そして『ふんす』と意気込むわたくしにルルゥが実に頼もしい事を言ってくれるのだが、形が崩れる事前提で話している様に聞こえるのは気のせいでしょうか?
「では、早速作りましょうか。 まずこのボールに入ったドロドロの液体をお玉で救い、鉄板の上へ円になる様に注いで下さい」
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