第112話
「すげえなこりゃ」
コーデリアの剣技が……半端じゃない。
「竜巻か何かかよ」
常人では視認すらできないような連撃、連撃、更に連撃。
剣風だけで周囲の全てをナマスに刻みそうなほどの勢いだ。
とはいえ、そのコーデリアの剣舞に余裕でついていってる虐殺鬼も半端じゃねえな。
妖刀と炎の魔剣が無数に金属音と火花を散らせて、夜だったらちょっとイルミネーションだぞこれは。
コーデリアの剣はヒノカグツチ……だな。
俺のエクスカリバーとほぼ同格の神殺しで、結局は劉海は俺にはあの剣を触らせてもくれなかったっけ。
それだけコーデリアはあの男の娘ジジイに可愛がられて気に入られたんだろうな。
俺みたいな不真面目な生徒とは違って、コーデリアは真面目だからな……。
で、その間隙をついて――
「……核熱咆哮(ドラグズ・ニュークリアー)」
リリス……おいおいマジかよ。
核攻撃ぶっ放したぞこいつ。
まあ、核爆発っていうか、核熱を利用したレーザー兵器みたいな技なんだが……虐殺鬼の鎧を貫通して、右肩の一部を吹き飛ばした。
あ……地平線の彼方でキノコ雲が上がっている。
ってか、あの近辺に人里は無いだろうな……大丈夫かよ。
「まあ、向こうは心配無さそうだな」
ってことで、俺の相手はアルティメットゴブリン3体だ。
金色に輝くゴブリンの内の一体が俺に飛び掛かってくる。
「流石に早い……か」
避けようと思ったんだが、剣で受けざるを得なかった。
とは言っても、背後からの攻撃に対してだがな。
飛び掛かってきたゴブリンに対してはミリ単位での見切りで爪撃を避けて、一刀の下に斬り捨てた。
だが、3体に見せかけていたゴブリンは実は1体が光学迷彩で隠れていたみたいだ。
そうして、飛び掛かってきたゴブリンに合わせて連携攻撃を仕掛けてきたって言う話だな。
「喧嘩……上手いなコイツ等」
最初からそうする予定だったのだろうか。
ともかく、背後からのゴブリンの爪撃を剣で受け、鍔競り合いみたいになってるところに、左右から残りのゴブリンが飛び掛かってきた。
片方は牙。
もう片方は爪。
「が……俺を相手にするには……もう1ダースは数が足りなかったな」
左から来たゴブリンに裏拳。
「グギャっ!」
右から来たゴブリンには胴への蹴り。
「ブギュっ!」
そして鍔迫り合いになっているゴブリンについては、そのまま爪ごと押し切って一刀両断。
「ジュっ!」
裏拳の方のゴブリンはアゴに綺麗に入れたので脳震盪。
一瞬の戦闘不能の状態を俺が見逃すはずもない。
膝をついたところで脳天目掛けて横凪に一閃。
脳漿を撒き散らしながらゴブリンは絶命した。
そうして、最後に蹴りで吹き飛ばされたゴブリンの方に向かう。
「ガっ……ガッ……っ!」
怯えの表情で俺に慈悲の視線を向けてくるが、俺は化け物相手には甘くない。
見逃して、大事な場面で背後から……ってのがゴブリンの常套手段だしな。
「はい、おしまい」
心臓目掛けてエクスカリバーを突き出す。
バターに熱したナイフを入れるようにするりと剣が入って、抜くと同時に噴水のような血液が俺の頬を濡らした。
血脂を拭くための油紙を取り出して、どっこいしょとばかりに俺は岩に腰を落ち着けた。
「で、二人のほうはどうなってるかな?」
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