第三節:精霊魔法発動
アスカ嬢が言った。
「皆さんも結構いい所まで行っていますよ。もう少しですから時間を五分延長しましょう」とすでに精霊視モードで見ている様だった。
「ダイヤ大佐もかなりいい線に乗ってます」とアスカ嬢がいった。
「本当ですか、ならもう少し頑張って見ます」といって集中し呪文を紡ぎ始めた。
「これは皆良い線に行っているのか」と私が呟いた、すると共通語に反応したのか精霊力が引いて行くのを感じた、成程こういう仕組みか。
大体五割くらいが成功している様だった残りはやはりイントネーションが違うようであり術その物が発動していないように感じたので質問という手合いで引っ張って見ようと思ったのである。
「講師、質問があります」とまずいうと。
「質問をどうぞ」とアスカ嬢が答えた。
「大体五割くらいは成功しているように感じますが、この感覚であっていますか? 発動して無いのは主にイントネーションに依るモノかと思いますが。言語を正しく発音しないと発動しないという所は魔導も同様ですので。この点が注意事項に成るのではないかと思うのですがどうでしょうか?」といった。
「それで概ね合っています。惜しい所にはなるんですが、副長のサワムラさんが丁度惜しい所にいるように感じます。イントネーションが少し違うようです、“テ”と“ディス”を少しだけ離して発音してみてください、“ラ”と“エ”の間隔くらい離すだけで大丈夫だと思いますが」といったその次の呪文詠唱で副長の周囲にも風が巻いた、少し眩しくザワザワと鼓動も聞こえたらしい。
「講師質問です!」と次の質問が飛んだ。
「風が巻くので風の精霊が答えてくれているのは分かるのですが、この“少し眩しい”と“ザワザワ”と“鼓動”はどの精霊が答えてくれているのでしょうか?」
「丁度良い質問ですね、“少し眩しい”のは光を感じませんか? それは光の精霊からの返事です、“ザワザワ”と聞こえるのは誰かと話したり喋っている中にいるような気がしませんか? それは精神の精霊からの返事です、さらに“鼓動”は自分の内側から響いてくるように感じませんか? それは生命の精霊からの返事なのです、音や感覚や現象でこちらに答えをフィードバックするのが精霊という訳です」とアスカ嬢が教えた。
受講者の約7割が感覚の取得に成功しているように見えた。
「今日ここで成功し無いからといって諦めないで下さいね。まだ成功して無いヒトには又別枠で受講できるようにして居ますので、焦らなくても大丈夫ですよ」とアスカ嬢が言ったので少し治まった様だった。
焦り組が二割五分位出ていたのである。
「さてまずは紙が動かせるかどうかに行きましょうか、感じられるのと力を借りるのはまた別ですのでそこが難しいかもしれませんが」とアスカ嬢はそこが違うんだという様だった。
「因みに強引ですが会話構文が通れば精霊は力を貸してくれる可能性がありますので、感じられ無いからといって諦めないで下さいね」と続けたのである。
確かにそうだよなと私も思った訳ではあるが。
「次の構文はこれです、『カ・レアシュタセルヴァ・イズ』この構文を唱えてみてくださいこれで風の精霊が力を貸してくれるはずです、あとは力の方向とかる力を考えるだけでいいのです」思考するだけでいいのかと私は思った。
それならばと思い『データパッド』を紙の代わりに立てた総重量が零点二五キログラム程度と多少重いがこれ位を倒せないと皆のやる気を引き出せないかと思った訳ではあるのだがとりあえず唱えてみることにした。
思考でコントロール出来るならと思った訳で構文を静かに読み上げる、次の瞬間、風の精霊が答えた。
“パタン”
といい音がした『データパッド』がくの字に開いていた奴が、風の直撃を受けて倒れたのである、こちらもやはりイントネーションが重要だなと思った次第ではあるが。
流石に『データパッド』を倒したのは少し不味かったらしい。
だが当然諦めない奴もいる訳で、ダイヤが構文を唱えたかなりいい感じに紙が舞い上がり一.五メートルは前に飛んだのである。
本日の“ザワザワ”感がピークに達した瞬間であった、
「飛んだ!感覚的につかめて無くて行けるぞ」という言葉がヒジリから出た、その瞬間に諦めかけてた二十五パーセントに火が灯った様であった。
皆一心不乱に唱えだした、他にも飛んだ奴が数名出て二十五パーセントが逆にいなくなったりして構文さえしっかりしていれば行けるというのを実践したわけではあり、大体皆がそれなりに動きはした様ではあった。
成功に近いな今回の講座はと思った訳ではある。
これはこれで構文を組むのが大変かなとも思った訳ではある。
ただ繋げても“カ・レアシュタセルヴァ・イズ”にはならないのである。
これは変化形が構文の文法に入っている為だと思われたが、今日の受講の範囲では無いのでそこは質問せずにおいた。
そして1時間が過ぎて、「本日の精霊魔法講座ここまで」といった丁度壁かけ時計から電子音が鳴ったのと同時であった。
「次は魔導の時間になります十分程休憩を入れましょうか?」とアスカ嬢から提案があったのでのむことにした。
第十四章 第四節へ
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