第五節:MM組立てと試作装甲

「そういえばヒジリのMMを組み上げるポートは四番ポートで頼む、今FPTに余りは無いよな?」と私がクララ嬢に聞くと、「確かにFPTに余剰はありませんね、ギルデュース用ではミヒャイルのフレームに重装甲だと乗りませんし。いっそのことB級重装型用で新品をお買いになられますか? C+級用重装型用でも構いませんが。中身はMMよりもシンプルですし、それにここにはまだブルーアジュールがかなり居るのでアリシア社も基本生産ラインはまだエイトには移していないと聞きますから、FPTの一台や二台は確保できるかと。重装カスタム機だといえば通用する量産カスタムFPTは創ってくれると思うんですが?」とクララ嬢がいった。


「そうするか?、どのみちエンジンはミヒャイルⅠに換装するにしても国元へ魔導機を素のまま持って行かせるわけにはいか無いからな。こっちで使うときはSover級(ここでのみ出現したS級以上S+級以下を意味する仕様)だが国元に帰るとA級にまで落ちるがそれでもいいか?ヒジリ。流石にギルドのパーツを対外的には出せないからエンジンと魔導パーツは一部取り外さねばならない」と私がいうと。


「貸与機では無かったのですかアスカ閣下?」としどろもどろになって聞くヒジリの姿があった、それに答える「俺のお古で悪いがもらってやってくれるか? といっても五年後のことだが。ミヒャイルⅠで残存しているパーツ群がそのまま装甲以外に使えるんだ。俺のほうも装甲を換装するなら、丸っと一機ミヒャイルⅠが魔導機だからな。クララ、アラハス・ナカニシ所長に試作の標準級標準型装甲が一セットあるならそれを回してもらう様に手配お願いしてもいいか? 今からでもいいし明日でも構わんが」というと。


 クララ嬢がいった「所長にいうなら公爵閣下のほうが、とおりは良くありませんか?」と。


「ではこれよりヒジリ殿のMMを組み上げさせていただきます」とノインが立ちあがった、「夕食も過ぎましたので作業を開始します」といってチーム通信網にかける「整備二番隊は整備ポート四番に旧ミヒャイルⅠの残り全てのパーツとシルヴェントに使用した赤箱一つとギルデュース用エンジン二基とクロスリンク処理をできる機材と部隊余剰装甲二ボックスを持って直ちに四番ポート前まで集合せよ、私も直ぐ行く」といった。


「では開始します」とノインが再敬礼して出て行った。


「じゃぁ今から掛けてみるか」と外線で科学技術研究所に掛けた。


 三コール後「ハイ。アラハス・ナカニシです。閣下、いかがなされましたでしょうか?」という声が聞こえたので「今最新の標準級標準型装甲に試作型は無いか?スミロクロスフレーム用だと尚良いんだが?」と私がいう。


「閣下凄く良いタイミングでした、今研究中ではあるのですが試作型のスミロクロス用標準級標準+重装甲カスタムの標準型装甲があるのですがいかがでしょう?、従来よりも軽い装甲材ですが硬く耐久性にも優れますのでスミロクロスフレームを現行使用しておられる閣下が一番良いかと思っていたところなのです。ちょうど相談しようかと思っていたところでした」


「それは僥倖ぎょうこうだな、都合がよすぎて笑ってしまう所だ、それとものは相談なんだがFPTの新型在るか?FPTは各型に合わせて作られるものだからスミロクロスが装甲を纏うと現行のFPTでは手狭になる恐れがあってな、現に戦野太刀は今のFPTには積めなくなってしまっているところで少し弱っているんだが?」と私が少し弱腰に見える発言をした、あくまでも芝居ではあるが戦野太刀が入らないのは事実であったのである。


「そういうことでしたらスミロクロス用に設計され長物も積めるように再設計されたFPTの量産原型機ができ上がっております。これを試していただけないでしょうか?  一応なのですが、従来規格のモノよりも少し大きめになっておりますがその分内部収納や、生活スペースもかなり増量しておりますし、それに生活機材もバリバリの最新鋭で整えさせていただいております。それに高速型FPTに該当しますのでより扱いやすくなるかとも思っておりますすでにフルセットで組まれておりますので、いつお声がかかっても良い様に用意させていただいておりましたところです」


「四番艦シュルカに載せる手配を致しますが宜しいでしょうか? 予備に魔導太刀を銘がありませんが銘太刀と同様の手法で創らせたものを積んで置きます四本予備がありますので全てお試しいただけると幸いです。それぞれ特性が異なりまして雷撃(内部損傷)・氷結(外傷凍結)・凍結(内部凍結)・分解(外傷性装甲分解)の四つの属性を拵えた所であります。分解のみ特殊な鞘を要しますが居合ができない訳では御座いません。二本マウントも一緒に二つお送りいたします因みに外装デザインが騎士型から鎧武者型に変わります、そのため一見軽装に見えますが実際のところは標準級重装型とほぼ同等の装甲を備えながら軽装級に匹敵する軽量性が売りでございます」


「魔導装甲でもありますので、対魔法性能が旧来の装甲にない値を記録しております。魔法機と近くなりましたが装甲強度と耐久性能は魔法機と比較になりません。閣下におかれましてはより戦いやすくなるかと。その他にもオプションは御座いますが全てお付けして送り出しましょうか?」とナカニシ所長がいった。


「それは良い知らせだ、フルオプションで頼もうか」と私がいうと、「額の飾りは現行で三鍬形(みつくわがた)に成っておりますがいかが致しましょう」とナカニシ所長がいった、それに答えるように私が「中央の剣が、長いやつかな?」というと、「そうでございます」と答えたので、「ではそれで、追加でいいならギルド徽章も金紋にしておいてくれると助かる」と私がいった、「分かりました仰せの通りに。四番艦と一緒に送りますのでよろしくお願い致します」といって電話が切れた。


「何か長いお話でしたが、何がどうなるのですか?」とクララ嬢とアスカ嬢がじーっと見ていた。


「スミロクロス用の新素材装甲が四番艦に積載されてくるそれにより旧来のFPTが使用できなくなるそうなので新式のFPTがやってくるそうだ、一応武器欠け無しのフルオプションで来るらしいからそれのテストをして欲しいとも頼まれている」と私が一気に短縮していった。


「ということはお引越しですか?」とクララ嬢がいった。


「そうなるな家電製品類も最新鋭で付けてくれるようなので、現行のものはそのまま、ヒジリにシフトすることに成るな。ミヒャイル用だから、そっちのほうがいいとは思うが。っとノインに連絡しておかないとな。ミヒャイルⅠ用の現行の騎士型装甲を外して鎧武者型の装甲を纏うことに成る。それ自体は外観上特に旧来分と変わることは無いが、装甲重量の軽減と装甲強度と耐久性能が大幅に上がるということと魔導装甲になる分対魔法性能が大幅に上がるらしい」と私が喋った。



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