第三〇節:最高峰のグランシスディア料理と世界に一つしかない物
そして本屋にやって来ていた。
「必要そうな書類は、これで揃えてくれ巻き込んだ非礼だ」といってアスカ嬢には白いマネークレップを渡してある。
「一応ビジネス書を見て来る」といって近くには居るが。
少し離れて状況を見ていた、するとサヨリ嬢がやって来て「先程は助けていただき誠にありがとうございました。あの状況だといつもあの人が、飛び出して行ってしまうのです」とサヨリ嬢がいった。
「昔からあまり変わらないんだな、ヒジリらしい」と私がサヨリ嬢にいった。
「俺は大分変わってしまった……」と私は呟くにとどめた。
それから直ぐにホテルに戻った、人通りが多くなったからでありバレる確率が上がったからでも有った。
フロントで鍵をもらい。
部屋を確認し「大丈夫だぞ」と私が確認しいって入る。
「今晩はバッチリドレスコードが有るので各位そのつもりで」と私が今晩のドレスコードディナーが有る旨を伝える。
「最高峰のグランシスディア料理がお待ちかねだ」と私が続けた。
群青色で特別に誂えたスーツを着る、各種装飾を全て付ける侯爵を示すMLLIも忘れずにつけるタイも群青色である。
そこに剣帯とショートソードを帯剣する。
靴も履き替え全てを一応左の内ポケットに例の眼鏡を携行する。
零番はケースに入れてサコッシュに移してある。
明日用に荷物を簡易にまとめて、圧縮するモノは圧縮してあった。
なのでサコッシュもリュックも中に入ってしまうのであった。
外に出るものは元々入らない太刀の入った革袋だけであった。
時計を見ると一八:三五だった予約は一九:〇〇からなので余裕はあったが。
一応男性部屋から出ることにした、ヒジリはホワイトのタキシードでバッチリ決めていた。
まだ女性の方は準備ができていない様であった。
「色にはヤッパリ拘りがあるよな」と私がいった。
「しかし鍛えて無いっていうのは嘘だろう」とヒジリがいった、未ださっきのを若干引きずっていた、「普段はやってるぞ休日は休むが。トレーニングジムなんかにはこと欠かないのでな」と私がいうと、「休暇中にはしないことにしてるんだ、じゃないとONとOFFの区別が無くなるからな」と続けておいた。
「普段はどんな生活スタイルなんだ?」と興味津々でヒジリから聞かれるが、「普段は〇五:三〇起床でトレーニングを行って〇六:〇〇から朝食、出勤して仕事を行ったら帰って来て二三:〇〇位までには就寝のパターンが多いな」といっておく。
アスカ嬢が出て来ていた「綺麗だな今夜も美しい」と私がスッという。
イブニングドレスのブルーに黒いレースを装飾にしたモノを着ており今日のイヤーカフは大粒のサファイアカッティングしたものになっていた髪留めは一日目に使用したものをそのまま使用していたが髪を後ろで一本に纏めておりそれが美しい白い白磁の様な肩を出しており大胆で綺麗に見せていた。
それから直ぐにサヨリ嬢も出て来ていた、「お美しい」と謝辞ではない事も告げる。
サヨリ嬢は、対照的に白一式で纏めレースの装飾が施されていた。
「では行きましょうか」といって一日目と同様だが、先導し五十四を押すと今日はさらに高い所まで登った。
同じようにというよりは本日はレディーファーストに近い形を取りメートル・ドテールに「五〇〇一のアスカ・ジークレフ」とだけ伝えるとこちらへどうぞと案内され席に着席して行った当然ホストを務めるので最後に座った。
そして開始の合図を出す。
前菜・から最後のデザートまで十二品出た訳ではあるが今日は色々あったので皆疲れているなと思わせるほど口数が少なかった
最期のデザートの時に「明日、何が起こっても怒らないでくださいね」とアスカ嬢がいったのである。
流石に何が起こったのか解って無いものはヒジリだけだった様ではあったが「分った」と返事を返してしまっていた。
サヨリ嬢は事前に私から軽く聞いていた様なものなので何かあるんだということを感じ取ったらしい。
そのまま食事が終わり、ルームサービスで食後酒を頼んで軽く飲むことにした、部屋に戻って直ぐ着替えて寛ぎの部屋着を着ているとバトラーがやって来て食後酒を渡してワゴンも一緒に置いて行ってくれた。
そのワゴンを部屋の中に入れ、ワインクーラーで食後酒を冷やしながら食後酒用の
モノと貴腐ワインも冷蔵庫からだして一本持って来てワインクーラでまめまめしくさらに冷やしていった皆の分のグラスや御摘みを用意すると先に貴腐ワインから注ぎ始めた。
貴腐ワインは荷物を纏める際に既に用意してあったのである。
アスカ嬢は総隊長まめまめし過ぎますと思っていたくらいだったがホストを務めるといっていた時の楽しそうな顔が忘れられずにいた。
普段はされる側だけにするのは楽しいんだろうなーとアスカ嬢も思っていたからであったが。
「よしいいぞ、この貴腐ワインの年代を当てられた者には少ないが褒章を用意した」と私がワクワクしながらいった「一人一人ものは違うがそこは勘弁してほしい」といった。
「市場には売って無い品だからこそ価値はあるんだがな」とも私がいった。
そしてクイズ? が始まった、流石に貴腐ワインの年代を当てるといのは難しく
ヒジリもサヨリ嬢も惜しく当てられていなかった。
「二八九四〇では?」とアスカ嬢が答えた。
「凄いなドンピシャだ」と私がいった。
「百年ものだったのか!」とヒジリがいった。
「流石に二百年ものは味と値段が釣り合わなかったからな」と私がいった。
「幾らちびちび飲むといっても四人で飲むには価値がな」と私が続けた。
「流石、ビジネスマン!」とヒジリがいった。
少し待っていてくれ最後の仕上げをしてから渡さないとな、といって部屋に入る。
サコッシュの中から未使用の白一式のマネークレップを一枚出す、そこに自身の念を加え魔導式の付与をかける。
そこに神聖魔法もかける、それらを編み込みニス公爵家の家紋を思い起こし付与する。
群青に染まったマネークレップがそこに誕生して居た然もニス公爵家の金紋も入っている。
因みに魔化強度は三百八十をキープできていた。
そしてそれを片手で持つと一旦黒いケースの中にしまう。
そして黒いケースを持ってドアを開けて外に出た。
「ケースですか?」と聞くアスカ嬢。
「否、特別製のマネークレップさ」と私がいってアスカ嬢の前まで来る。
「これを受け取ってくれ」と私がいいながら黒いケースを開け、『群青のマネークレップ』だといって手渡す。
「
「『ペイトロン』か」とヒジリがいった。
「神聖魔法・異界魔法・魔導・と私の願いがかかっているのさ」と私がいった「世界に一つしか無いだろう」と私が続ける。
「アスカ様、ありがとうございます。大切にします」とアスカ嬢がいった
「成程確かに、世界に一つしか無い。その三つの魔法を使えるものは居たとしても、その色だけはアスカにしか創れない」とヒジリが冷静に分析した。
「泣かないでくれアスカ、君に涙は似合わない」と私がいうとハンカチで目の周りを拭いてやる。
「泣くほど嬉しかったんだな」とヒジリがいった。
「ヒトは嬉しければ嬉しいほど泣いてしまう、確率が有るらしいからな」とヒジリが続けて分析結果を口にした。
第十一章 第三一節へ
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