第一一節:休暇開始と友と
その日の昼前頃「総長退院です」とアルケミー・デザイナーキザキがいった。
「体調も完璧なようですね、流石総長」とキザキ。
「こちらが昨日クララさんが持ってきた着替えと、聖印とギルド証です」といって渡してくれた。
「毎度心配かけてすまないな」と更衣室で着替えながら、そういった。
「でも総長が居なければヤバかったらしいのは確かですしね。この休暇中にゆっくりと羽でも休ませてくださいな」とキザキが答えた。
そして壁の時計を見る昼食は外だなと思った。
着替え終わると麦わら帽子か何かが欲しくなったが、零番があるらしいのでやめておこうとも思った。
聖印は相変わらずの内ポケットに、ギルド証は首下げにしてアクセサリーでもつけているかのように振舞うことにした。
そして、更衣室から出る。
すると「夏らしい服装でちょうどいいですな」とキザキがいった。
「でわ行ってくる」といって病院をあとにした。
順番的にアスカ嬢のPtのほうが先になるので呼び鈴を鳴らす、するとガラゴロといい音を立てて鮮やかな緑色のサマードレス姿のアスカ嬢が現れた。
中型より大型で九十リットル程度の赤いスーツケースを引いて、背中にスエード調で茶色の品のある四角いバックパックを背負っていた見た感じ二十五リットルくらいは入りそうだった。
そこにショルダーをかけて、機動性と機能性重視の装いで現れた。
「こんにちは、もう治りましたか?」と、一応心配そうなアスカ嬢ではあったがこちらの状態を精霊視したらしく「行けそうですな」といった。
「重いのか?」と聞くと「意外と軽いんですよコレ」ということだったので特に持たずにFPTのほうへ歩いて行く「今日はどの車で?」とアスカ嬢。
「蒼いスポーツを使う」と答えFPVの後ろのトランクを開けた。
「積み込もう」といって自身の青いスーツケースの横にアスカ嬢の赤いスーツケースを並べて置く、横でもまだ三つは載るなというのは目で確認しておいてトランクを閉めた。
右側からドアを開け、まずサコッシュをかける、そしてその中から零番を取り出しかける懐かしい感覚があった。
とセカンドシートにアスカ嬢が乗る。
シートベルトはするようだった、ので「安全運転でいくか」といいながら。
FPTから蒼のFPVを出した、ゲートで「では休暇を楽しんでくる」といって声かけして「何かあっても電話にしか出れないから。通信機は五日後には持つが」といってゲートを出て街中に入った高速に一気に載せて、空港のタワーを目指す。
そして「昼待ちしている間に小食でも挟もう何がいい?」とアスカ嬢に聞くと。
「たまにはファーストフード系がいいですね」との答えだった理由はバレにくい、
だそうで「とりあえず車を駐車スペースに入れるか」といって空港の待ち専用駐車場No.一一三に券を突っ込んで先に刻印させると一旦券を引き抜いた。
待ち専用スペースにはファーストフード店もあったので一旦車にオートロックをかけ、二人で店まで入った何がいいか聞くと「見に行きますか」との返答があったので一緒に見に行くことにする。
お二人様支払いはご一緒ですかと問われたので一緒でと私が答えると、アスカ嬢がアボガト海老バーガーとライトコークとクラッシュドポテトとセットメニューを頼んだので同じものにチキンバーを五本付けてくれ。
といって黒いほうのカードケースから白いマネークレップを選んで支払いはこれでと頼んだ。
先払いが基本なのでそれをそのままリーダーで読んでもらい「お返しいたします」とていねい語になってたので一瞬バレたかとも思ったが。
そこまで観察眼は鋭くなかった様でバレはしなかった。
周囲に客が
「ごゆっくりお召し上がりくださいませー」といわれはっとしたがバレはしてない様であった。
ただ者では無いのはバレた様だったが。
誰かという所まではバレて無いようだった。
ブルーアジュールが増員したせいでも合ってナイツが増えてはいるのであった。
現状のブルーアジュールの数は全機で百五十機三交代制をそのまま敷いており。
二部隊が二十機がスクランブル待機組の三編成六十機残りは三十機づつの三交代制となっているので暇な部隊が二部隊は出来るようになっているのである。
一部隊が十機だからできる荒業だったが。
そのおかげで必ずナイツは二十人が都市部に居ることになるのである。
「バーガーは冷めてますが、お肉は冷めますよそして突っ立ってたら今度こそバレちゃいますよ」という突っ込みがアスカ嬢から飛んできた。
「違いない」といって座って食べ出す、「久々のファストフードだな」といいながら。
そして時計を見る一四:三〇を指していた「時間もあまりないからガッツくか」といいガブガブ食べ出した。
量は普段食べている量よりは少ないので直ぐに終わり、ライトコークを飲みながらチキンを食べていくこれも直ぐに平らげてしまう。
アスカ嬢が「流石早いですね」という「五分たたないうちにそれですもんね」といった、ライトコーク残り少しとクラッシュドポテトだけになっていた。
そういうアスカ嬢も残りはクラッシュドポテトだけではあったが食べ出した時間が違うのでそれは仕方が無かった。
二人とも食べ終えたのがちょうど一四:五五だった。
「そろそろ行くか車の前で待って無いと気づいてもらえないかもな」というと「んーどうでしょうアスカ様、はあんまし変わらないイメージがあるので」という。
「そういえばお互いコードで普段呼び合ってるから成立するがこういう場面では逆に名前しか呼べないものな、苗字は厳禁だな」というと「あー」という間延びした状態のアスカ嬢の声であった。
まぁ出ますかと諦め顔で話すアスカ嬢が居た。
「同じアスカですものねぇ」とファーストフード店を出て車に向か途中でそういった、「そして敬称でも呼べない」とも追加した。
車の前まで来ると一四:五九になっていた「そろそろ出て来るかな?」というと、「中にはこっちからは入れないですねーそこは出口しかありませんから」というアスカ嬢。
「かといって目の前で待つわけにも……」といってると。
懐かしい感覚の白を基調にした夏服の紳士とそれによりそうパートナーと思しき男女が出口から出て来た、今日の格好は上が群青系の青、下が白のグラデーションタイプのオロハ系シャツに黒のハーフズボンである。
周囲を左から見まわす男女そして右側であるこちらに視線を振った時に手を挙げてみた平手で“イヨウッ”て感覚で。
アスカ嬢にいった「来たぞ」と。
アスカ嬢も振り向く、遠くからではあったが社交式の礼の一例を模してみる。
するとNo.一一一とNo.一一二を通り越し、No.一一三前まで来た零番を押し上げる仕草をする。
「アスカ!」とヒジリがいった「ようこそヒジリ!」といって十数年来の出会いが待っていた。
がっしりと腕を組み合わせお互いに元気そうで何よりだ、と背中を叩き合っていた。
「サヨリと申します」とサヨリ嬢がいうとアスカ嬢が「実は私もアスカなのです」といった。
第十一章 第一二節へ
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