第二節:サプライズ計画弐と使えなくなった魔法
「名刺はなんとかできるな、偽装手段で時間は一週間しか持たないけどね」と私がいった。
「ということは、私もそれに乗らないとダメですね。名刺は私の分も創っていただけるのでしょうか?」とアスカ嬢がいった。
「名刺を創る分には問題ないが、偽装データをどこにおくかだな」と私がいうと。
「一週間契約で宜しければ、その辺のウチのデータベース上に作っておいて無理矢理見せることは可能ですし安全のために借りている。といえば保安上の問題も無いと思いますが」とクララ嬢がいった。
「私の名前を、社名にするのは厄介だから、ザークレフ商事でどうだ? 被っていなければ、いいんだが」と私がいう。
「調べてみましょう……」とクララ嬢が『データパッド』で即調べる、「その様な名前の会社は無いですねー。偽装可能と思われます。州知事には、一報を入れておきますね。サプライズ作戦と、ローラー大作戦を同時に実施します。ホテルを五日間丸っと、抑えてしまいましょう」と続けた。
「コースも、適宜抑えてしまいましょうか。各日付のデータはこちらで
情報に疎い私よりも、クララ嬢のほうが情報には強いのである。
「さて、ここに百枚の名刺の束がある。まだ封を切ってない、奴だ。これに術をかけるとあら不思議、偽造名刺のでき上がりだ。時間は七日間限定だが、いいできだろう」と、私がいってアスカ嬢に見せた。
そこにはザークレフ商事 アスカ・ジークレフ侯爵で肩書が専務となっていた。
「似たようなものを創っていただいてもよろしいですか?」と、アスカ嬢も百枚の新品の束を持って来ていた。
モノは支部隊で使っている名刺なので、隠すところを隠して似たような術を組み編み込む。
するとグランシスディア・ゼロ支部隊がザークレフ商事に変わり、秘書官長の官長が消え秘書の肩書に変わり他のところも地の色で塗り潰され見えなくなった。
帰りは、「ホテルからリムジンで空港まで、一応会社見学ではありませんが、見たいと申されたときの手配を取っておきますね。カッパーを二枚見学者用ですから、そんなに範囲は入れませんけども」とクララ嬢がいった。
「すまないな」と私がいうと。
「念には、念をです」とクララ嬢がいった。
時間もかなり遅いのである。
「アスカ大尉は、シルヴェントの零号機に関しての手配書をお創りください承認してしまいますので」とクララ嬢が告げる。
「明日になるが一緒に私も合いに行くとしよう。そっちのほうがセイランにも合えるし話が早い」と私がいう。
「私のいない間に、皆には魔導トレーニングの秘伝書を送付しておこう」と言うと即刻送付する、部隊のナイツ全員に。
「いつの間に、そんな所まで創ってらしたんですか?」とアスカ嬢が、シルヴェント零号機企画書を書きながらいった。
企画書といっても、文章で四番隊副長機を魔導改良して魔法を使えるようにする。
その為の組み上げ時間とメインデザイナーのノイン・デザイナーの名前を書き、命名はアスカ大尉が行ったと書くだけであるのでそんなにかからずに修了した。
それを、それなりの表紙と台紙を付けるとスラスラとシルヴェント零号機改良企画書と表に書き、下に最初の名前としてアスカ嬢が自身の名前を書いて、魔導印証を押して総隊長に渡すと。
それを、サラリと見て問題が無いことを確認した。
私も、魔導印証を押す。
あとはクララ嬢に回して経理面の問題が無いか見てもらって、経理側の認証にクララ嬢の魔導印証を押してでき上がりとなった。
それを、データパッドに即刻読ませ、ギルドの上長確認を行いヨナ様に判をいただくだけとなった、のである。
「今の時間は寝ておられるだろうから、朝には魔導印証を押して返して送ってくれるはずだよ」と私がいうと。
「では、明日から。かかっていただけますね」と、おやすみなさぃませといって退室していった。
「クララ、太刀袋の良いヤツはあったっけ?」というと、
「FPTのほうに、数袋積んでありますのでそれを出しておきますね」抜き身のままホテル内とか市街を歩くのは、いかがなモノかと思ったからである。
とまぁ一旦部屋に鍵をかけるとFPT側に出ようとした時、勘がさえずった。
魔導直剣を抜き放つと、そこにはへたり込みかけたアイン嬢の姿があった。
戦闘態勢を解くと同時に、
「どうした何かあったのか?」と聞く。
気配は、アイン嬢以外居なかった。
魔導感知も瞬間的にかけるが、特に問題は無かった。
「流石に背後に立たれると、瞬時に戦闘態勢に持って行ってしまう。癖が、あってな」というと。
「魔動機を、全て魔導機にされる。というのは、本当ですか?」と聞かれたのである。
「嫌なのか?」と聞いた、というと。
「いいぇ喜ばしいことです。でも魔導が、一切使えない者も居ます」というと下を向いた。
「確か、魔導剣士だったよな」というと。
いつぞやに使った、黒サングラス『零番』をかけて、サングラスを押し上げる。独特のポーズを、取ると。
「えぇぇぇぇ!」アイン嬢がいった、
「努力の仕方次第だ」と私がいってサングラスをしまう。
「総長が……、総隊長が青い閃光……」
「使えなくなった魔法というのは、精神の精霊に起因するところが多いらしい」と私が呟く。
「明日、アスカ大尉と私が君のところへ行くことになっている。アスカ大尉に聞いて見るといい名医だからな」と言った。
「まぁそういうことだ、送った魔導トレーニングでも、解消できるかもしれん。読んでみるといい」というと。
「明日から忙しくなるぞ、寝れる時に寝ておけ」と、私がいってアインをこの場所から外させた。
第十一章 第三節へ
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