第八章 新型機計画

第一節:ギルド評議会/随伴兵器群

……ギルドの評議会でも……


「今回の話は長くなるぞい……」とヨナ様は話し出した。


「M・Mに必須ひっす随伴兵器群ずいはんへいきぐんが必要になるのじゃ」


追先ついせんだって、グランシスディア・ゼロの支部隊が虹騎士団とその配下の虹旅団との戦闘に入った。その際のことじゃ……虹旅団がエアリアルフォートレスを三機以上抱えて居たらしく、捕縛船ほばくせんは呼べず。捕虜ほりょを取れなかったそうなのじゃ……」


「その戦闘に置いてM・Mしか持たなかった、支部隊はやむを得ず掃討戦作戦に転換することにしたそうじゃが、その際にも上級仕官じょうきゅうしかんを人質に出来ずえらい難儀なんぎしたそうじゃ」


「そのさい、その支部隊隊長が私宛におくった書簡が有っての、機動随伴歩兵が必要になるというて来ておる、それにCFPVやAFPTも必要になるといって来ておる」


「さらにはそれをまとめる、軍団長と集団戦闘に長けた者たちが必要になる、『この失敗を二度と繰り返してはならない』といってきておる。『掃討戦をするだけで情報を取る必要が無いでよくタランチュラの作戦の全容を知る必要が無いというならばこれらは不要ではあるが。全部殺してしまっては意味がなく、作戦の全容ぜんようを知るモノを捕えた上で全ての情報をかせ必要な情報を吟味ぎんみし、次のタランチュラの作戦に対応させていかなければ我々のしていることはただの人殺し以下だ』といってきておる。『情報管制を引く必要、情報を取る必要、そしてタランチュラを捕える必要があるため、M・M随伴機動兵器群ずいはんきどうへいきぐんが必要になるであろうことは今回の戦闘で明白めいはくであり、捕縛船以上の装甲を持ち、監獄かんごく匹敵ひってきするおりを備え、人員を回収し捕虜ほりょにすることに意義いぎがある。そうで無ければ我々は必要ないものになる。我々支部隊とM・Mはギルドにとってただの飾りか何かなのですか?』といってきておるのじゃ、『そうでないなら、そうで無いなりの、戦術と戦略があるはずだろうから、それを明確にして欲しい』ともいうて来ておる。『それとも評議会ごとただの飾りなのか? タランチュラを放置し世界をほろぼそうとせんとするタランチュラの擁護ようごがギルドの目的ならば私はギルドをめてでも一人タランチュラとの戦いにおもむくつもりである』とまでいわせておる。『それとも支部隊長というのも飾りでただの官職かんしょくなのか?』とも聞かれておる……ということじゃ」長々とヨナ様がいい切った。


「ギルドナイツの利権拡大に成らないのか」と傭兵ギルドの長。


「何をいうかこわっぱめ、お主の処に頼むだけで国が動かせるほどの金を要求する割に役に立たんどころか、裏切ったこともあるではないか……」ヨナ様がデスクを叩きながら憤慨した。


「そ、それは……」といって引っ込む傭兵ギルドの長。



「その武器や兵器類、道具類はこちらで腕に依りを尽くして創らして貰って良いんかのう」とは職工ギルドの長。


「重工業でも行けるのならばな、今回欲しいのは剣ではない」と机を叩きながらヨナ様が言われた。


「むしろ、科学技術担当」と続けて呼ぶ。



「おぬしらの出番じゃ、他国に負けること無く、他国と違う一線を画した量産可能な機動兵器群とM・Mに随伴できるだけの機動力を持った歩兵戦力、そして歩兵を搭載可能な機動兵装を創るのじゃ。空挺機動旅団ではないから、空を飛ばす必要は無いが、そ奴らを格納し飛行可能な領域にまで持っていける巡航戦艦くらいはいるぞ地上砲撃可能な奴じゃ!!」



「ヨナ様、相手は何なのです!!」と評議長。


「さっきの話を聞いて無かったのかこの大バカ者め、タランチュラ共じゃ、主に虹騎士団とその配下の傭兵戦闘車両や幽霊騎士団に対抗する武器や兵器も必要じゃ、当然魔法の道具も必要になろう」と言い切られた。



 職工ギルドの長が復活した

「ただし、盗られてはいかんので全てにギルド認証サインが必要になるであろうがの。ブラックボックスでな」とおっしゃった。



「タランチュラ相手では仕方あるまい……」評議長も引き込んだ。



「そして早急にそれらをグランシスディア・ゼロに送り込むのじゃ、開発はデザイナーに任せい!!造るときは一緒になって作ればええんじゃ!」とさらにハッスルされた。


「警備ギルドです、我々のほうにもそれなりの装備をいただきたく。魔導警棒なるものを創っていただけませんか」と警備ギルド長。



「分かった、そちらのプランも同時に進行させてくれ」とヨナ様がいう。



「すでにグランシスディア・ゼロに駐屯するギルドの支部隊が虹騎士団の半数と交戦辛うじてこれを撃破したとさっきの報告じゃが、ただしその際に必要なものとして挙げたのが少数ならともかく、多数の捕虜が出た場合の処置の難しさをいうて来ておる虹騎士団はすでに増員されてしまった筈だしの……彼らの頑張りを無にしてはイカン」とぐつぐつ煮立って来ていた、いつ噴火が起こってもおかしくなさそうな雰囲気だった。


「再度いうが、捕縛船では装甲が薄すぎてエアリアルフォートレスに勝てんので呼ばなかったとも記されとるのじゃ。それではいかんのじゃ我々がタランチュラに屈しては、世界がタランチュラに屈することになってしまう」


 すると科学技術担当が「一週間いえ半週間ほどいただければ、創り上げられる試作品は創れますのでご安心ください、流石にそれを揃えるまでは一ヵ月か二ヵ月掛かるものと存じますが、地上攻撃用で、尚且つエアリアルフォートレス戦にも耐え得る、超大型規格外FPTも今研究中のものがありますのでそれを軸にお創り致します」と言った。


「ギルディュースにも追加オプションを今まさに作っている最中でしたので。直ぐには御見せできませんが一週間ほど待っていただければ……」と科学技術担当がそういう話をした。



「この前の試作フレームも魔導剣も順調だとお聞きしております」と化学技術担当が続けていった。



「分かった、取り急ぎ作ってやれ、我々には時間が無いのじゃ」と言って幕を閉じた。



……



「ふぅ……オンライン会議は疲れていかんのう」と……寄る年波には勝てんが百歳を超えるまでは生き切ってやるぞいと心の中で叫ばれた。



 そしてギルド専用のメールを作成し始めた。


 グランシスディア・ゼロに駐屯展開する自軍に、アスカ・ジークレフ侯爵に向けた正式な書簡を書き始めたのであった……。



第八章 第二節へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る