魔界の雑貨屋･経営日誌

お客様リスト【11/23～12/02】

十日分の来客リストを記す。

過去に来店済みのお客様は過去のリストを参照し、新規のみを記入。

１．人間･冒険者：バリスタさん（11月24日来店）

　往年の冒険者で容姿は渋く、ちょっと怖かった。彼は冒険者の中でも、魔獣などの害獣と呼ばれる類を討伐してその素材を売買するハンターとして生活するスタイルをとっている。冒険者の生業としては食いっぱぐれが無いスタイルで、ハンターとして活躍している面子はかなり多い。

　彼が来店した理由は、素材を買い取ってくれないかと相談するためだったようで、断った際に不機嫌になった時は眉間にしわを寄せてめっちゃ怖かった。青空珈琲店のコーヒーを出したら機嫌を直してくれたけど……トラブルにならずに本当に良かった。

２．人間･聖騎士団：グリュッグさん（11月25日来店）

　聖騎士団とは、人間界オールキングダムの王族直属部隊で、世界的に支部を持ち、平和と秩序を維持する正義の集団だ。最近じゃ魔界に支部を持ち、魔族も引き入れて確固たる平和の礎を築き始めているとか。

　そんな聖騎士団のグリュッグさんがご来店したのだけど、来店というよりも、人間界側からの苦情？ で馳せ参じた感じ。

　どうやら人間界の役所の勘違いで、納税（土地使用料）が足りていないため回収しに来たらしいが、役所側の間違いだと分かると素直に謝罪して矛を収めてくれた。

　帰る際に、魔界で幸せを呼ぶといわれる『妖精の粉（妖精の光の粉を模した砂）』という縁起物を購入してくれた。

３．人間･行商屋：マイルさん（11月26日来店）

　俺より若いくらいの行商屋で、頭部に巻いたターバンが印象的だった好青年。

　結構前から人間界と魔界を往復して、需要と共有を見極めながら貿易のような行商をやっているらしい。

　最近じゃルリノキが人間界の健康ブームであることを教えてくれたけど、その火付け役がウチの客だったことを彼は知らない。

　ウチの店が建っている林道を往路しているため、今後は月一くらいのペースで店に寄ってくれると言っていた。珍しいものがあれば買ってくれるらしいので、唸らせる商品を用意せねば……。

４．獣人族･猫種：テールさん（11月29日来店）

　茶色のショートヘアに、オレンジ掛かった瞳の可愛らしい猫耳を生やした女の子がご来店。彼女は獣人族のうち『猫種』に属した小柄で可愛らしい女の子だった。

　記憶が正しければ、獣人族は様々な種族があり、犬･猫･狐･兎なんかも居るようだ。余談だけど鳥人族のウアさんはハーピー族だったっけ。獣人族には属さないというけど……その違いって何なんだろ。まあいいや。

　本題に戻る。

　テールさんは味見させた『ツナの缶詰』をかなり気に入ったようで、ボックスで在庫分をすべて買って頂いた。今度、また買いに来るーと言ってくれたし、また来てくれることを信じて在庫の確保を急ごう。

５．人間･冒険者三人組：名前不明（12月2日来店）

　若き冒険者の三人組。来店は昨日。

　冒険者学校を卒業したての男子二人、女子一人の荒れそうなパーティ……。

　ひいき目にしても、女子が可愛かったし、恋愛事情とか気になるところだ。その辺も尋ねたかったけどさ、やっぱり変態おじさんになっちゃうから慎んだ。

　彼らがこれから魔界に赴くことにあたりアドバイスを求められたので、少し重めに真面目な話をしたところ、心から受け止めてくれた反応を見せた。

　書きながら昨日のことを思い出すと、やっぱりいい子たちだったんだよなー。

　彼らは「自分たちの冒険譚をいつか聞かせます」って言っていたな。

　どうか無茶はしてくれるなよ。

　平穏な旅路でありますように。

　その冒険譚、楽しみにしているからな！

　―――以上。

　【2020.11/23～12/02】までのお客様まとめ。