”仙術”本選~道を踏み外させる者~

 ーー四瑞スールイの部ーー



 トウコツ__対__グゥァンウー・シー






 各、下馬評と同じように、シーとトウコツの試合は推移した。

 トウコツの使う【呪弾ヂョウタン】は、シーを守る”炎”の壁に阻まれて届かず、逆にシーの【仙術シィェンシュ】を防ぐことが出来ない。



 そして、もちろん___



「【殲滅ジィェンミィェ】!!!」



 ___【神技シェンジー】を防ぐなど不可能。




 防げないのなら……。






「アツゥイ! 熱いゾ!! 熱すぎる!!!」


 なのだ!

 悪を、邪悪を許さぬシーの善性を象徴する”炎”!!




 その業火から、この世界の”悪”の象徴、悪神”四凶スーシィォン”のトウコツが生還する!!!






 ーーーーーー






「呆れた耐久力だな。【不死】も有るが、それ以前に耐久がヤバ過ぎる。アレを一撃で倒したとチュイから聞いたが、本当か?」


「いくら耐久が高くてもな、人体というか身体には鍛えにくい部分が在る。【武道】は、そういった部分への攻撃。合理的な攻撃が多いからな。要は、より合理的に効率的にだ」


 疑問を投げかけてくるヤーに答えながら、俺には疑問が浮かんでいた。






 なぜ、トウコツの怪我や体力に






 トウコツは【不死仙力】による回復が有るのは分かっているが、今のようなジリ貧の状態で”球体”から”仙力”は失われても、”体力大きさ”が全く変わっていない。

 ”無手”でフェイ・ランやヨシコと戦った時は”球体”は問題なく作用していたのにだ。




「これ以上の【不死】の回復は仙力シィェンリーが、【消滅】してしまうゾ。……悔しいが、ここまでダ。”降参”する。ウチの負けだ!」


 __『勝者!! グゥァンウー・シー様!!!』






「良かったです! 【殲滅】を疲れるんです!! いや~~、頑丈ですね!!!」


 そう言って笑いながら、頭上のを解除した。






 撃たなかったとはいえど、”縛り”で使えないはずの二度目の【神技シェンジー】をだ。






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 ーーー


 ーー


 ー






「くっくっく! コントン、いや、ケイオスよ。見事に”縛り”を。苦労はしたが、お前が”仙術”の予選で狂わされた選手達を秘密裏に処理したかいが有ったぞ」


「”無手”で狂わしたポンチャイ。彼はタイチに一撃で破れましたからね。しっかりと”縛り”の【仙術】、【神技】に介入できているか、不安を覚えました。予選の方達には悪いことをしましたね」


「そう悲観するな。処理したと言っても、”縛り”が狂っていることが露呈しない為に、には数日、眠っていてもらうだけだ。命を奪っていないのだから、可愛い児戯よ」


 大会の期間中、皇帝ダオの代わりに政務の実権を、多くの実権を握ることが出来る皇太子のノンだからこそ出来る不正。



「初めに聞いた時は驚きました。”目から鱗”と言うのでしたかね? 発想の転換。等しく恩恵を受けるか、自陣だけが恩恵を受けるか。【仙術】の難易度は、それだけでも跳ね上がる。横から介入などは【神技】級。”縛り”の【神技】への介入など、不可能だと思っておりました」


「それならば、なら簡単だろう? 幻覚や毒の【仙術】を掛けるのでなく、純粋に相手にだけ恩恵、得が有れば簡単に掛かるだろう」


 大会の運営も任されており、”縛り”を作る際の詳細な術式を見聞き、分析できる立場であるからこそ出来る不正。




「それでも相手が【神技】でしたからね。こちらも更に、怪我が治らない不利益を受けることを条件に、”縛り”に介入する【狂化クゥァンファ】を完成させました」


 今も痛々しく、酷く焼けただれた腕を薬草などで癒しながら、自身の【仙術】の完成度をケイオスは、コントンは満足そうに語る。


「シーの【殲滅】は効いただろう。よく生きていたものだよ。それだけでも、お前を、悪神”四凶”の渾沌コントンを受け入れたかいが有ったというもの」




「いくら、攻撃しても。【神技】を1度しか使えない。仙力は自然回復しか認められない。そういったデメリット不利益を狂わせ、無しにする私の【利益狂化】」


「楽しみだ。そのためにシーと____シーに掛けさせたのだからな」


 醜く、その端正な顔立ちからは考えられない程に口元を歪め、ノンが狂喜に笑う。




「”無手”では予選落ちをなさいましたからね。”仙術”で【殲滅】を”影”で、やり過ごせるポンチャイに掛けましたが、正確に掛かっているか不安でした。そのポンチャイも”仙術”で、シー様と当たる前に敗北なさいましたし」


「何も問題は無い。シーには死んでもらうさ。命は無理でも、




「反吐が出る程、シーのこと。吐き気がする程、シーのことだ」




「自分の【仙術】で罪も無い者に怪我を負わすだけで、心が曇るだろう」






、どうなるか!? それが顔見知り____尊敬するなら!!!」


「”四神スーシェン”がタイチを”願い”の代行者に選んだように。私達、”四凶”も人間の心の機微に疎い所が有ります。心の狂わせ方法、心を方法など思いつきませんでした」






「見ものだな! ””の”縛り”の中!! 防ぐ手立ての無いタイチが、!!?」


 他人の血を、地位を、命を求めるノンの仄暗い狂気が、タイチとシーの二人に襲い掛かろうとしていた!!!






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 ー






 はてさて、ノン様はタイチかシー様の”命”か”心”の死を確信なさっているようですが。


 そう上手くいきますでしょうか?






 、タイチ。






 ””の”縛り”の中で、貴方は決勝を、シー様との試合を度外視したように戦った。



 つまり、



 全てのデメリット不利益から解き放されたシー様相手に通じるモノなのか見せてください!





 緻密に、大胆に、周到に、残虐に計画されたノン様の計画をなのかを魅せてください!!!






 どちらに転んだとしても私は、そのを楽しむだけなのですから……。






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