負けが許されぬ【戦い】
”無手”、”仙術”、”武器”それぞれで細かいルールは違うが大体は同じだ。
参加者の頭上に直径一メートル程の光る”球体”が出現し、試合中に割れれば敗北になる。
”球体”は参加者の生命力を大きさで表し、
怪我を負えば
治すのも補充も任意で選べるが、限界を超えた場合に割れることで敗北を示すそうだ。
球体は死者が出ないようにするための救命装置と、勝敗を分かりやすくするためのモノで有るそうだ。
ーーーーーー
「補足として仙力補充は【
「【神技】を使うのが1回だけの話で。結果、使った仙力が【神技】数十回分でも
皇帝ダオの説明に、ホンからの補足が入る。
相反する【神技】同士なら、より強く、より多くの仙力が込められているほうが打ち勝つ。
聞いた話を総合すると複数の”媒介”を使って、球体や結界を創っているようだが二回分の【
「最終的に何試合するのかは分からないが、毎回の試合で【神技】を使われたら
__「
「「「ひっ!??」」」
最後に憑いた
「タ、タ、タイチさん! 覚えていますか!? 2級
弾けるようにホンの非難を、
「タイチ様! 実は【神技】の仙力は2級の仙石で物足りなくて、1級で少し過剰、特級は充分過ぎる程に過剰なんだよ!!!」
「タ、タタ、タ、タイチさん!!! 1級や特級の仙石の利点は飲み込めるほど
__「あ゛あ゛ぁん!!! 今は
「ふぎゃああああぁぁぁあああ!?? 何でボクだけ!? 何でボクだけなんですかぁぁ!??」
「そうですよぉ! かわいそうじゃないないですかぁ!!」
ホンの叱責に泣き叫ぶシンが、ジィェンに抱きしめられながら慰められていた。
「ふぎぃ……ふ…………
慰められながら、寝入ってしまった……。
ーーーーーー
「そういった訳で仙力の補充、”媒介”の消費については気にすることはない。”媒介”の最大の利点は適性の【
さすがは為政者、一連の騒動に全く動じないで説明を続けていた。
「例えば、フェイ・ランはシーよりも仙力を有しているが、どの系統の【神技】を使うことが出来ぬ。その代わりなのか全ての【仙術】を【
「タイチ
俺よりも主人公しているフェイ・ランの弱点、俺より劣っている所を知って、内心ほくそ笑んでいた。
「…………ちなみにですが。私も”
俺の些細な優越感を察したのか、負けじと粉々にしてくるだと!!?
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
ムーダンの中央付近に位置する傭兵受付に、先に向かっていたチィェン達と合流するために移動する。
宮廷を出てバスに乗り、電車に乗り、またバスに乗る
前世でのサラリーマンのような移動に、何処か懐かしさを感じていた。
「あ! タイチ! こっちだゾ! 愛しのトウコツは、ココだゾ!!!」
「タイチ様、この
「すまなかったな、チィェン。手続きなんかの雑事を任せてしまって」
戯言を言っているトウコツを無視して、俺のために雑用をしてくれたチィェンを労う。
「これくらい何のことはありませんよ! しっかりと”無手”____
「待て!?? 俺が参加するのは”無手”だけじゃなかったのか!!?」
ーーーーーー
”
こういった”祭り”に付きものの”賭博”も存在している。
「タイチ様が”無手”に参加するのは皇帝様からの≪指名依頼≫で≪強制依頼≫ですが。もったいないじゃないですか!? 現在、タイチ様は”無手”で1,5倍。”武器”で4倍。”仙術”に至っては、なな何と! 12倍ですよ!?? 12倍!!!」
当然のように参加が予想される実力者達は、すでに
日本の”競馬”のように始まる瞬間まで賭けられるが、外国の”ブックマーク”と呼ばれる
「
うわ~~、目が凄い”金”マークだし、凄い笑い声と笑顔だしで___
___ドン引きである……。
ーーーーーー
「はあぁぁあぁ……。八百長を禁止するために参加者と親しい関係者は賭けられないわ。それは大会用の【神技】に盛り込まれてる。【
賭博によってもルールが存在し、参加者は自分自身にしか賭けられなかったり、そもそも”賭け”に参加することさえ禁止しているモノも有る。
この大会では【神技】による厳正な判断によって関係者は、そもそも
「はあぁぁあぁ……。……チィェンと言ったわね。タイチが”
「チヒヒ! はい! ホン様! ですから”無手”は楽勝でも他部門で不利だと考えられて、この倍率なのでしょうね! ですが、情報が古いのでしょう! チヒヒ! 今では
__「私とシンは”補助”出来ないわよ?」
___……へっ!????」
満面の笑みだったチィェンが凍り付く。
____「
「チヒ? チチチチチチチ!! …………アババババ!!???」
喜色満面だったのが、蒼白になり、冷や汗が溢れ出し、口から泡を吹き始めていた。
______「皇帝からタイチに特別な”縛り”を貰ってるし、”無手”ですら怪しいモノね。
「あぁ~~あ。下手すりゃあ、
「!!??? タ、タタ、タ、タイチ様ぁぁぁぁああぁあぁぁ!!!!?」
ガンちゃんの無神経な一言で髪を振り乱しながら俺に縋り付いてくるチィェン。
「お労わしや、チィェン殿……」
「ツァィちゃん……チィェンちゃんを見ないであげて欲しいお……」
「タイチ様! どうか!! どうかぁあ!!!」
俺に縋り付くチィェンの爪が肉に喰い込み、非常に痛い。
「自業自得です。やはり無駄遣いは駄目ですね。堅実に行かないと」
「リウさん、放っておきましょう。タイチさぁんで、お金儲けしようとした罰ですよぉ」
「せめて! せめて”無手”で優勝してください!! でないと、生活が!!! 生活がぁぁああぁぁあぁあ!!!??」
凄まじい力と執念を感じ、
「凄い執念だゾ。ウチの【呪い】に勝るとも劣らないナ!」
「なんでもしますからぁ! なんでも、しますからぁぁああぁ!! どれか1つでも優勝してください!!!」
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