昔と違う”今”の生き方
ーー時は少し遡り、
刑天との戦いからタイチ殿を連れ、安全だと思われる程に離れて戦況を見守っている。
「マズい!? ガンちゃん!!」
「うわあああああああああ!!!」
ガンちゃん殿の【
「アイヤーーーー!!!」
そのままの勢いで盾を前に掲げ、チュイ殿の振り下ろす棍棒を意に返さず、重厚な馬車や戦車のように突撃し、刎ね飛ばしていく。
「ふぎゃああぁああ!!?」
今まで【
「行かなくては! 助けに行かなくては!!」
「落ち着いてください、タイチ殿!!?
興奮し、傷から火花を散らすタイチ殿は、大人の男性とは思えないくらいに
見えはするが、その腕に、脚に、たぶんだが胴の少しが【消滅】しているのだろうと思う。
ガンちゃん殿達を助けに行こうと、もがく腕が、駆け出そうとする脚が、地を掴むことも、落ち着かせようと抱きかかえる私に当たることも無いのだから。
情けないことに
戦況を気にして、
こうして抱きかかえている間は、私に”
『アハッ! アハハ!! アーーッハハハハ!!!』
それも、ここまでだった。
ツァン殿が豹変し、リウ殿達に牙を向け、御自分を犠牲になさろうとするまで。
「
ここまで最低限の平静さを、冷静さを保っていたタイチ殿から散る火花が私を襲って、痛みで離してしまう。
「ツァィ。俺を置いて、ここから離れろ。
「ですが!? どうするのですか!?? タイチ殿は、その有り様! 御自分で立つことも出来ないのに!!!」
私の問いかけに答えず、代わりにより一層の火花が、稲妻がタイチ殿から発せられる。
「まさか!?? ”媒介”を取り出す気ですか!!? お止めください!! 無茶をして”媒介”を取り出して
「他に方法が無い!!!
「お止めください! どうか! タイチ殿!! どうか!!!」
「
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
何処かで、
タイチさぁんが行ってから、すぐに感じた喪失感よりも強く、
私の
「おほほほほ。その
「__誰!? ……? この場合は、何と言えばぁ、良いんでしょうぅ? 何亀? は、違いますよねぇ。種類を聞いてるみたいですし」
タイチさんが行ってから、不安を打ち消すように一心不乱に店の掃除をしていると、さっきまで確かに居なかったはずの、ちっちゃな亀さんが、手のひらサイズの、ちっちゃな亀さんが机の上から話しかけてくる。
「おほほほほ。誰? で、良いと思いますよ。此処は異世界です。言葉が通じる相手なら、それで問題ないでしょう。この姿、この大きさで会ってはいないので分からなくて当然ですよ____○○○○さん」
「
「お茶なら結構ですよ。事態は急を要します。座って、私の話を、お聞きなさい」
ーーーーーー
「まず初めに、私の
「それなら私じゃなくて、タイチさぁんに直接、お渡しになっては?」
「おほほほほ。もっともな話ですね。ですが、利子なんてものは少ない方が良いでしょう?
シンさんが常々、”お金”で合理的に計算高く物事を解決しようとするのは、玄武様の影響かもしれませんねぇ。
”参加料”だと、”甲羅”を机に出しただけですけど、普通に渡すのと何が違うんでしょうか?
「次に。今、タイチさんはシライシさんから受けた攻撃による”魂”の傷が2度も開いたことで、大変、危険な状態です。私の見立てでは、
「そんな!?? なら余計に直接、タイチさぁんに渡さないと!? ココで渡されても!!
「そう! それです!! ジィェンさん。今、このタイミングで、貴女に渡すのが。最も
『
「貴女とタイチさんは”魂”が
__私の中に、うふ、タイチさぁんが、うふふ
『普通に百年単位でズレたりします。そう考えるとタイチさんとジィェンさんが、同年代っぽいのは
「いかに同年代、同時期に、お亡くなりなった。ほぼ同時に
____うふふふふ、タイチさぁんと私が、うふふふふふふ、繋がっている
『自身の魂の治療なら【
「遠く離れていても、”魂”の治療。
______うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
以前、【
「”媒介”を使い、自身の魂を【神技】で治せば。完璧に治したとしても、確実に、お釣りが出ます。
「
________これで
「ですから、シンが勝手に憑いたこと。私に”信仰”が送られてきたこと。”参加料”が遅れたこと。”利子”については」
「私から、よく。よぉぉぉぉぉく。うふ。タイチさぁんに伝えておきますねぇ。うふふ。何なら、
「おほ」
「うふ」
「おほほほほ」
「うふふふふ」
「おほほほほ! やはり、このタイミングで正解でしたね!! 最も
「うふふふふふふふふふふふふふふふふ」
すぐ、すぅぅぅぅぐ、癒して、治して、捧げて、尽くして、あげますからねぇ!!!
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「こ、これは、いったい!? 何事ですか!!?」
今まで出ていた火花、稲妻と違う、暖かな光がタイチ殿を包んだと思いきや、
「……ジィェン? ジィェンか」
ココには居ないジィェン殿の名を呟きながら、乱れた衣服を直し、”
「誰か!? 誰かぁ!!? ツァンさんを! ツァンさんを助けてください!!!」
遠ざかるリウ殿の、助けを求める悲痛な叫びが聞こえる。
「俺なら、
「タイチ殿!?? どうするのですか!? 万全だとしても、あのような近づく者を薙ぎ払い、焼き尽くすような稲妻の! ”雷”の化身のようなモノを!! どうやって!!?」
「元々、この世界の前に。別の異世界に行ったのが原因かな。確信が有る。
「誰か!? 誰かぁ!!? ____
「俺を
リウ殿の助けを求める叫びに呼応するように、タイチ殿が”雷”と化して、ツァン殿の下へ!
__助けに!!
「タイチ殿ぉぉぉぉ!!!!」
____救いに向かう!!!!!
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