拳鬼
「【
竜ではなく
タイチは身体強化の【
「”圧”が増したが、それでも
生前から
相手がタイチでなく、白虎であっても制空圏に入ったのなら斬り伏せる自信が有った。
タイチの【神技】による【結界】の中に閉じ込められた者達が固唾を飲んで見守る中、両者の位置が段々と近づいていく……。
「これが【武道】。【武道】同士の戦い……」
「タイチ
念願のタイチの【武道】を目の当たりにしたのにも関わらず、極上の殺気の飛び交う戦いに静観するしかないシー。
隠蔽のための【仙術】も使えぬ程に集中したタイチから少しでも学ぼうと、破れたのなら次は自分が仇を討とうとシライシの挙動を分析するのに集中するフェイ・ラン。
先日の戦いの再現のように動かぬタイチと、にじり寄るシライシの距離が近づいていく……。
「
この世界の、ありとあらゆるモノを見てきたと思っていた皇帝・ダオですら見たことのない緊迫感で言葉が出てこなかった。
「これが【武道】。……
大きく
両者の位置が、距離が、ゆっくりと近づいていく……。
ーーーーーー
シライシの制空圏が近づいてくるのに対して、何もしないように見えるタイチは
タイチの持つ【武道】の中で最も自身に適し、
前世でも、今の生でも最も多く、その技術だけを
その名を【合気道】!!!
理念上、攻防一体の最強を謳う【武道】であるが、完全に相手の気配を、殺気を感じ取る必要が有るため現実的では無い【武道】。
道場での
前世で超えられなかった
ーーーーーー
シライシの灰色の片目に、タイチの姿が映っている。
前回と同じように動かぬタイチを不審がりながらも、必中の制空圏に捉える為に近づいていく。
「終わりだね!!!」
制空圏に首が、頸動脈が入った瞬間に放たれた
しかし、瞳に写るタイチは変わりなく立ち尽くしていた……。
(空振り!?? ありえない!!?)
瞳の中のタイチが動いた素振りも感じず、いつも有るはずの”
確かなのは
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
ほとんどの者からは、何も行われていないように見えていただろう。
両者が、すり足で一定の距離を保って動いているようにしか見えなかっただろう。
たった1メートル動く間に、両の手指でも数えきれぬ斬撃がタイチを襲っていたのを。
「……出し惜しみは、無しだね!!!」
このままでは
殺せさえすれば、タイチの持つ”媒介”が手に入り、術者が死んだことで【結界】が消える間に【在留】を使えば【消滅】を克服出来る。
屋敷の中に居る”媒介”持ちと抵抗してくる者、国の関係者を殺せば多量の”媒介”を手に、
「法を犯し、人を殺して生きるのは”正しくない”。ツァィは≪正しく生きて欲しい≫と”願い”をしたんだ!!!」
「知った風な口を!!!」
全力のシライシの【居合】がタイチの【合気道】と交錯する!!!
ーーーーーー
シライシは
タイチの右腰から胴を両断し、左の脇腹を抜けたはずの”ムラマサ”から伝わってくる妙な手応え。
しかし、動揺を押し殺し、【消滅】が進んで”ムラマサ”を振るえなくなる前に、二の太刀でタイチを殺そうと即座に大上段に構える!
タイチの使う【合気道】の相手は”刀”を想定している。
神速の【居合】でなくとも、シライシの使う剣術の全ては目にも止まらぬ速さを誇っていた!!
相手の【気】を読み、【機】を読み、【起】を読み、”刀”を制圧する奥義の名は___
片手の【居合】ではなく、多少の速さを犠牲にした
『敵は、自分が出来ることは
「あははははははは!!!
___シライシの凶刃を止めた奥義の名は、【
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
物を
親指は言わずもがなだが、
ヤクザが辞める時や破門の際に小指を
『そうだね。……とりあえず、俺に一撃、入れてみせろ!!』
「先日の問いかけ! 今!! ココで証明する!!!」
万全の状態のシライシであったなら、こうも容易く”
左手の
”ムラマサ”を後方に放り投げる際に、
___
「【消滅】を俺とは違って!? 反撃への足掛かりにしたのか!?? タイチ!!!」
武器を失ったとはいえ、シライシは
戦意を
シライシの時代よりも研鑽を、歴史を、積み重ねて来たタイチの【武道】の方が、遥か高みに居るのだ!!
「奥義___
フェイ・ランの奥義を目の当たりにした時にタイチによぎった、ある【武道】の技。
密着した状態から放たれる【武道】に酷似していたため、即座にタイチは模倣が出来たのだ!
___【
その【武道】と技の名を、【
青龍、白虎、
ーーーーーー
肉を叩いたとは思えないような乾いた音が響き渡り、シライシの全身を駆け巡り、背中から抜けていく見えぬはずの
噴水のように口から血を噴き出しながら、膝から崩れ落ちるシライシが、死ぬなら前のめりだと言わんばかりにタイチの衣服を掴んで覆いかぶさる。
「……見事だ。”童貞”などと言って、済まなかったね。……戦争を経験していない若造が、ここまで迷いなく出来るとは思えなくてね」
【消滅】しかけ、死にゆくのも相まって、シライシの弱々しい声はタイチにしか聞こえていなかった。
「”童貞”なら
それに答えるタイチの声も、シライシにしか聞こえていなかった。
死闘を終えた二人の誰にも聞かれない声なき笑いが零れていた……。
「”ムラマサ”を譲ろう。”日本人”だからというだけでなく。”
___
そう言い残して、前のめりに、玄武の下に迷い出た一人の”
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