アフターストーリー② 冬至 もうすぐクリスマス

「ただいま~。寒かった~」

自分の家ではないけれど、言ってしまう。

「おかえりなさい、ミキさん。ご飯にする?お風呂にする?」

そこは。”それとも・・・私?”って言ってほしい。

「まずはお風呂!寒かったから!」

寒かったという理由もあるけれど、まずは海斗君成分を補充したい!

「今日は、ゆずをもらったのでゆず湯にしましたよ」

「へえ~」


ん?高校生でゆずをもらうって誰から?


「ちなみに、誰からもらったの?」

「早乙女さんが、荷物を預かってもらったお礼にって」

よく見ると、この間まであった大きな箱が無くなっている。

あの男、人の彼氏とひそかに会ってるだなんて・・

「さっき入れたばかりだから、すぐ温まりますよ」

「わあい!」

それよりも、海斗君と一緒にお風呂!




ちゃぽん。

もう毎日、海斗君と一緒にお風呂に入っている。

ほんと、幸せだなぁ・・


今日は、お湯の中に何個か黄色いゆずが入っている。

毎日、高校生の家に入りびたりは問題あるよね。

最近は2日おきくらいにお互いの家を行き来しているけど。


「そういえば、この間のあの子たち大丈夫だったの?」

海斗君の家にいるときに、海斗君の友達がやって来た。

なにか、もめているようだったけど海斗君が対応して帰っていった。

「大丈夫ですよ、彼女がいるって言ったら納得して帰っていきました」

「そうならいいけど、無理していない?」

すると海斗君はにっこり笑って言った。

「無理しているだなんて・・ミキさんといるととても幸せですよ?」

「ならいいけど」

私は思わず、海斗君を抱きしめた。

「私も幸せよ」

のぼせる前にお風呂から出ないとね。



お風呂から出ると、夕ご飯。

「今日は、おでんを用意してありますけどよかったですか?」

「もちろん!寒い日にはいいよね」

海斗君は料理もできるのだ。

「簡単なものでごめんなさい」

「大丈夫!受験勉強もあるから無理しないでね」

きっと、ご飯の後も勉強するんだろう。

頑張っているから、応援しなきゃね。


「ちなみに、日本酒あるんですけど飲みます?」


栃木県の地酒。天鷹 心 純米大吟醸。


「な・・これどうしたの!?」

「早乙女さんが、お礼にって」

うぬぬ・・

「飲みますか?」

「うん、ちょっとだけ飲むわね」

にっこりと、海斗君に微笑む。


内心は・・・


今日はあいつの彼女に洋服を選ぶ手伝いをさせられたのだから。

これくらい、すべての借りを返すには足りないくらいよ!


海斗君にお酌をしてもらって、とてもいい気分。

本当に、幸せ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る