第27話 ダンジョンとは?
「ダンジョンには転移で行くんですか?」
「はい。イルティリスダンジョンには、ランクによって入場できる階層が制限されております。Dランク以上から入場できる階層、今から皆様に向かって頂くCランク以上から入場できる階層、他にもBランクや、Aランク以上から入場できる階層等があります。
そして、イルティリスダンジョンは、一定階層ごとでモンスターの強さが大きく変化します。そこでモンスターが大きく階層間移動をしないように、古の魔法で一定範囲から移動できないよう空間ごと封じています。また、ランク外の冒険者が間違えてダンジョンに入らないように、入場する為の転移陣はギルドが管理しているのです」
「つまり、ダンジョンに入るには転移陣を利用するしかないと?」
「はい。少なくともイルティリスダンジョンはそうです。特に入場制限を課していない初心者向けダンジョン等は、普通に入口から入れるものもあります。高難度ダンジョンは、この国以外でも基本的には入場をランクごとに転移陣で制限しています。
これはダンジョンから、高ランクモンスターが溢れないようにする為でもあります。このような処置をする前には、モンスターがダンジョンから溢れ出て、街を滅ぼしたことや、地域の生態系が大きく変わってしまった例もあるんですよ。
ただし、モンスターはある程度は間引いておかないと、ダンジョン内がモンスターで溢れかえることになります。なので、必要に応じてギルドより討伐クエストが発行されるんです」
「なるほど。それがたまたま今回俺達への依頼クエストの形になったんですね」
「今回のCランク階層討伐は、モンスターの強さの割に、冒険者の皆さんへ旨味が少なく、不人気クエストなんです。なので、ギルドとしてはランクアップに必要な功績値を少し増やして、特定パーティーに依頼するような形を普段とっています」
「モンスターの強さはそれなりとの事だが、あたし達でも大丈夫なのだろうか?もちろんミヤモト達がいればどうにかなるとは思いますが、あたし達のレベルからして適正と言えるか疑問なんだが?何しろ下積みを経てのCランク冒険者ではなく、推薦みたいなものだからな」
「大丈夫かと思います。ギルドマスターが、ちゃんと皆様の力量を判断したうえで、切り出されておりましたので。それに使徒様達の力量は除外したうえで、判断されたはずですから」
「なるほど。ではあたし達も期待に応えられるように全力を尽くそう」
「はい。よろしくお願いします。
では、こちらがイルティリスダンジョンCランク階層への転移陣です」
案内されたのは、ギルド内にある一室。部屋の中には魔法陣が設置されており、淡い魔力の粒子が漂っている。
「では、準備できてましたら、魔法陣までお進み下さい。
所持しているギルドカードの情報を読み取り、ランクとパーティー情報を確認したのちに、パーティーメンバー全員をダンジョン内にお送りします。
帰りも着いた先にある魔法陣に乗れば転移できます。
魔法陣がある部屋は、基本的にセーフティルームです。いきなりモンスターに襲われることもありません」
「あぁ、転移前に一つ伺いたいのだが、これから向かうダンジョンには、他の冒険者はいるのだろうか?」
「いえ。本日はCランク階層は皆様だけです。
Cランク階層以上のダンジョン入場は、ギルドが入場を管理しておりますので、多くの冒険者が鉢合わせしたり、予期せぬ形で他の冒険者と攻略が重なることはありません。
ダンジョン内の資源は、モンスター含め一定期間で回復しますが、乱獲されないように一定の制限をかけて、ダンジョン内の資源が枯渇しないようにしているのです」
「じゃあ俺達だけでダンジョン攻略か。よし!経験を積んで、早く勇者(仮)を脱却してやるぜ!」
ユウキがやる気を見せる。ギルドマスターにいわれた仮が心の傷になっているようだ。
「よし。では準備できているなら、早速向かうか?」
「はい!」
今回は事前に必要な物資等は、メイド長の指導の元で準備万端である。すぐにでも出発できる。
「では、皆様お気をつけて。くれぐれもご無理をなされないようにしてください。期間も本日から1週間ございます。何日かに分けて攻略しても問題ございません」
「ありがとう。とりあえず今日は様子見メインで行って来るとしよう。では行くぞ、皆」
転移魔法陣に全員が足を踏み入れたところで、光が俺達を包む。なんだろう?何か宙に浮くような不思議な感覚だ。
ジュリエットさんが手を振っているので、振り返す。そして……光が弾けた。
俺達はついにイルティリスダンジョンに足を踏み入れたのだ。
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