第69話「川原の決闘」
鉛色の空が立ち込め、まだ夕暮れ前だというのに辺りは少し薄暗くなっていた。
「もう一度聞こう!
「何度でも云います。
「おいおっさん!あんただってわかってんだろ!?やめろよこんな事!
「黙れ!!我輩は認めん!!
「
二人は二人共に喜助の言葉に聞く耳を持たなかった。
それは潮の死に対して互いに想うことがある故の必然だった。
「刀を抜けい!!あの日体感させてやれなかった我輩の小太刀術を見せてくれる!!」
「もしもあの日と同様の小太刀術であるならばどれ程楽だったか…抜けと云うならば、私はこちらを抜かせて頂きます」
そう云うと慶一郎は手にした刀を抜かずに着物の中に手を入れて腰に括り付けてあった短刀を取り出した。
「
「ええ、
「形見だと?」
「はい。
「
「何をしておる!!どの様な
慶一郎と喜助の会話を義太夫が遮った。
喜助はその声に従うかたちで慶一郎と義太夫の中間辺りに立った。
その際に喜助は「お前らが納得出来なかったとしても俺が終わりだと判断したら無理矢理にでも止めるからな?」と云ってから慶一郎から離れた。
(
「…
「構わん。元より殺すつもりはないわ。しかし
「世迷言、か。
「合図はこの矢だ。俺が放つこの矢があそこの木に突き刺さったら開始だ」
その瞬間、風が止み、木々の
三人のいる川原を包む音は、近くを流れる川の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます