第2話:パートナーは誰の手に? ♯ココユイ大決戦

ココネ:『彩芽、ちょっといい?』




 ユキルルの放送後、ココネはすぐユイに通話をしていた。




ユイ :『どうしたの? 何か用?』


ココネ:『ユキくんのパートナーの件だよ』


ユイ :『さっきの放送で言ってたやつだね』


ココネ:『うん、せっかくだから祐季くんへのアピールも兼ねて、コラボで勝負しない?』


ユイ :『いいの? ゲームだと私に勝てる人はいないよ?』


ココネ:『もちろん! 彩芽を倒して、私は最強の座を手に入れるよ』




 実際はどこまでくらいつけるのか、自分の力を見るために勝負を挑んだ感じだけど、できればユキくんのパートナーになりたいという気持ちはあった。




◇◇◇

『《♯ココユイ大決戦》ユキくんのパートナーを賭けて《真心ココネ/羊沢ユイ/シロルーム》』

1.0万人が待機中 20XX/07/06 18:00に公開予定

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 唐突にその勝負は始まっていた。

 僕のパートナーをかけて勝負するのに僕は何も聞いてない。

 それに三期生ならカグラさんも入れないといけないはずだけど……。




【コメント】

:やっぱりこうなったか

:ユイっちにココママがどこまで食らいつくか見ものだな

:がんばれココママ

:カグラ様は?

雪城ユキ🔧:えと、僕は見てたらいいのかな?

:ユキくんがいたw




ココネ:『みなさーん、ここばんはー。シロルーム三期生のまとめ役、真心ココネです。ユキくんは今日も景品なので、ゆっくり見ててくださいねー』


ユイ :『神宮寺カグヤよ。よく来てくれたわね!』




 ココネとユイのアバターが表示されたのだが、何故かカグラの声が聞こえてくる。




【コメント】

神宮寺カグラ🔧:私はカグヤじゃないわよ!

:本物いたw

雪城ユキ🔧:相変わらず似ててびっくりしたよ

:羊草




ユイ :『うみゅー、羊さんなのー。今日はゆいが勝つところを見にきてくれてありがとーなのー。ゲームはココママに任せたけど、勝つのはゆいなの』


ココネ:『そんなことを言っていられるのも今のうちですよ。今日はいろんなパーティーゲームができるやつでとことんトランプをしたいと思います』


ユイ :『うみゅ? トランプ?』


ココネ:『はい、大富豪をとことんするんですよ』


ユイ :『うみゅ? 大丈夫なの? ユイ勝っちゃったの』


ココネ:『大丈夫ですよ。私、こう見えても得意なんですよ、大富豪……。ってなんでもう勝った前提なんですか!?』


ユイ :『ゆいに負けはないの』




【コメント】

:あぁ……

:ココママの敗北が見える

雪城ユキ🔧:ココママがんばれ

神宮寺カグラ🔧:ココネの負けね




ココネ:『なんで、みんな私の負けを予想してるのですか!? 見ててくださいよ、圧勝して見せますからね!』


ユイ :『ココママ、どんまいなの』


ココネ:『まだ負けてないですよ!? これからやるところですよ!?』


ユイ :『本日の配信はこれでおしまいなの。乙みゅー」


ココネ:『って、勝手に終わらせないでください! 見ててくださいよ、圧倒的差で勝ってみせますから……』




◇◇◇




 それから大富豪が始まった。

 ただ、すぐに決着はついてしまう。




ココネ:『見てください。なかなかいい手札じゃないですか?』


ユイ :『うみゅ、それはよかったの。それじゃあ、革命なの』


ココネ:『なっ!?』


ユイ :『うみゅ、これであがりなの』




 当然のように手でブイの字を作るユイ。

 一方のココネは涙目になっていた。




ココネ:『うぅぅ……、いい手札が裏目に出ちゃいました。だ、大貧民……』


ユイ :『うみゅ? ココママは大富豪、得意じゃなかったの?』


ココネ:『と、得意……です。で、でも、まだ勝負は終わってないですよ! 十回勝負ですからこれからです!』


ユイ :『返り討ちなのー』




 それから勝負はすぐについていた。

 ユイは一度も大富豪から落ちずに、逆にココネはずっと大貧民のままで――。




ココネ:『うぅぅぅ……、ボロ負け……』


ユイ :『うみゅ、ゆいが十連勝なの。まだするつもりなの?』


ココネ:『ま、まだまだ……、う、運が少し悪かっただけです。きっとそうに決まってます……』


ユイ :『運も勝負のうちなの。幸運虎でも引っ張ってくるといいの』


ココネ:『ま、まだ負けないの。ユキくんは渡さないの……』


ユイ :『なら次のゲームにするの。何がいいの?』


ココネ:『う、運が絡まない神経衰弱で……』




◇◇◇




 神経衰弱をやり始めた二人。

 数回お互いの番がまわったら、あとはずっとユイのターンだった。



ユイ :『ゆいのターン! ドロー! 七なの。更にゆいのターン! ドロー! 七なの。揃ったの。更にゆいのターン! ドロー……』


ココネ:『……。わ、私の番が回って来ないです……』




 既にココネの目には涙が浮かんでいる。

 その手にはまぐれで当たった一組のペアが握られていた。




【コメント】

:掛け声が違うゲームだw

雪城ユキ🔧:こ、ココママがんばれ

:ユイちゃん圧勝

《:¥500 ココママがんばれ》

:ココママは偶然当てた一組だけか

:ユイっち、おめでとう




ユイ :『うみゅー、まだするの?』


ココネ:『も、もちろんですよ……。私が勝つまでしますよ!』


ユイ :『いくらでもかかってくるといいの。一度でも負けたらゆいの負けでいいの』


ココネ:『じ、じゃあ次はポーカー……』




◇◇◇




ココネ:『やった、これなら勝てそうです……』


ユイ :『うみゅ、ユイはあんまりなの』


ココネ:『えへへっ、ついに私の勝ちですね』




 嬉しそうにカードをオープンする。




ココネ:『ストレート』


ユイ :『フォーカードなの』




 ユイのカードを見た瞬間にココネの表情が固まる。




ココネ:『つ、次……』




◇◇◇




ユイ :『ブラックジャックなの』


ココネ:『……つ、次』




◇◇◇




 なんだろう……。

 段々とココネを見てるのが辛くなってくる。


 今も7並べで一枚も出せずに目に涙を溜めていた。



ココネ:『うぅぅ……、やっぱりゲームだとユイには勝てないのかな……』


ユイ :『ゆいにはまだまだ届かないの』




【コメント】

:圧倒的勝利w

《:¥5,000 勝利おめでとう》

美空アカネ🔧:私参上! 勝負なら乗るぞ!

貴虎タイガ🔧:おっ、勝負か? 粉砕してやるぞ?

:ポンが集まる

姉川イツキ:お姉さんもやりますよ。脱衣麻雀

猫ノ瀬タマキ🔧:にゃーもやるのにゃ。たくさん脱ぐのにゃ!

雪城ユキ🔧:脱ぐのがゲームじゃないですよ!?

狸川フウ:わわっ!? イツキちゃん、変なこと言ったらダメポコよ!?

神宮寺カグラ🔧:私も参戦してあげるわ

:メンバーがやばいw

海星コウ🔧:全く、全員でやるなら私も参戦しないとね。でも、フウちゃんにも協力してもらわないとね

狸川フウ:わ、私ポコですか!?

:たくさん集まったwww




ココネ:『えとえと……、なんかすごい人数が集まってしまいました……。ユキくんのパートナーを決めるはずなのに……。しかも四期生の子もいますね……。今スパナつけておきますね』


ユイ :『何人でもかかってくるといいの! ユイは負けない!』


ココネ:『ここまで人数が増えてしまったら勝負の内容をどうしましょうか?』


ユイ :『うみゅー、ここまで増えるとチーム戦になるの』


ココネ:『わかりました。こちらの内容はまたコウ先輩やフウちゃん、あとは二期生もいるのでツララ先輩に相談しますね。それよりも今回の勝負です! 次に行きますよ!』




【コメント】

魔界エミリ:いいですね。それぞれの期生同士の対決

天瀬ルル🔧:ぼくはユキ先輩と

雪城ユキ🔧:あっ、その方が僕は助かるよ。一人に選ばなくていいから……

魔界エミリ:ならその方向で考えますね




ココネ:『えっ? パートナーを決めない?』


ユイ :『ココママが先走り過ぎなの』


ココネ:『だってだって……。わ、私早とちりしてました。そ、その……、ユキくんのことになると――』


ユイ :『ココママはユキくんのこと大好きなの』


ココネ:『う、うん……』


ユイ :『ユイも大好きなの』




【コメント】

雪城ユキ🔧:わ、わふっ!?

:告白合戦始まるw

天瀬ルル🔧:ぼくもユキ先輩のことが好きですからね!

狸川フウ🔧:ルルちゃんはここで話をややこしくしないでポコ

魔界エミリ🔧:フウちゃんはエミリの味方なんだ

:闇落ちしてるw




ココネ:『でもでも、私は他にもユイちゃんのこともカグラさんのことも大好きですよ! その……、ユキくんはなんで言いますか、放っておかない感じがありますので――』


ユイ :『うみゅー、よくわかるの。ついつい虐めたくなるの』




 なんだろう……。すごく酷い言われようだ。




【コメント】

雪城ユキ🔧:ココママやユイとは後からじっくり話す必要がありそうだね

神宮寺カグラ🔧:私も久々に入るわ

:三期生の話し合い、聞きたい

:配信してほしい

《:¥50,000 配信待機》

美空アカネ🔧:私も加わりたいぞ!

海星コウ🔧:ダメよ。大事なお話だからね

魔界エミリ🔧:四期生も話し合いをしましょうか

天瀬ルル🔧:ぼくはユキ先輩たちの話し合いに

姉川イツキ🔧:お姉さんは賛成よ

狸川フウ🔧:わかったポコ。枠を準備するポコ。ルルちゃんも来るポコよ




ココネ:『わ、枠を開くかどうかはまたみんなで相談しますね』


ユイ :『うみゅー、今日は圧倒的勝利だったの』


ココネ:『うぅぅ……、次までにユイに勝てるように特訓します……』


ユイ :『乙みゅーなのー』


ココネ:『乙ココでした』




この放送は終了しました。


『《♯ココユイ大決戦》ユキくんのパートナーを賭けて《真心ココネ/羊沢ユイ/シロルーム》』

3.1万人が視聴 0分前に公開済み

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チャンネル名:kokone_Room.真心ココネ

チャンネル登録者数:15.0万人




【コメント】

:乙ここー

:乙みゅー

:おい、既に三期生の枠があるぞ

:カグラ様のチャンネルか

:よし、待機しよう




◇◇◇

『《♯コユユカ反省会》オフ雑談。お酒でも飲みながら本音をぶつけ合うわよ《神宮寺カグラ/雪城ユキ/真心ココネ/羊沢ユイ/シロルーム》』

2.6万人が待機中 20XX/07/07 00:00に公開予定

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 ココネの配信が終わるとすぐにカグラさんが枠を取ってくれたので、そちらで三期生全員の配信を行う。

 ただ、普通に配信するのではなく、急遽オフをすることになった。




ユキ :[えっと……、お酒?]


カグラ:[えぇ、そうよ。みんな、もう飲めるでしょ?]


ユイ :[うみゅー、ユイの誕生日は――]


ココネ:[明日だったよね?]


ユキ :[えっ!? な、なんで教えてくれなかったの!?]


ユイ :[ユイはアバター誕生日は別の日で設定してるの。二回も祝ってもらうのは変なの]


ユキ :[ダメだよ! ちゃんとお祝いしなきゃ!]


ユイ :[うみゅー、こういう時のユキくんは頑固なの]


ユキ :[大切なユイのお祝いだからね]


カグラ:[そうなのよ。実は明日からみんなお酒が飲めるのよ。だから、本音で話し合うならその方がいいかなって思ったの。枠も明日からにしたのはそれが理由よ。もちろん無理に飲まなくてもいいわ]


ユキ :[それでどこに集まろうか? オフをするんだよね?]


カグラ:[えっ? ユキの部屋でしょ?]


ココネ:[ユキくんの家ですね]


ユイ :[もう向かってるの]


ユキ :[えっ!? ど、どうして?]


カグラ:[だって、まず寝るのはユキでしょ?]


ユイ :[うにゅー、ユキの部屋は落ち着くの]


ココネ:[飲み物とかおつまみとかは準備していきますね]




 こんなやりとりがあり、しばらくすると僕の部屋にみんなが集まっていた。




【コメント】

:お酒!?

:ユキくん……、あっ、そうか。この前誕生日だったんだ

:みんな一応成人してるのか

《:¥500 お酒代》

:ユキくん、お酒弱そうだな




 ミニアニメを流しながら、僕の部屋のテーブルにはチューハイやおつまみが広げられていった。


 そして、ミニアニメが終わると四人のアバターが表示される。




カグラ:『みんな、来てあげたわよ。神宮寺か・ぐ・ら・よ! どうせ間違えてくるから今日は強調してあげたわよ』




【コメント】

:ポン姫ー

:カグヤ様ー

:ジン様ー

:カラク様ー

:カクヤ様ー

:↑ここまで正解なし




カグヤ:『だから神宮寺カグラよ! と、とにかく今日は三期生みんなに集まってもらった……というかユキの家に集まったわよ』


ココネ:『みんなー、ここばんはー。妖精さんこと真心ココネですよー』


ユイ :『うみゅー、ポンコツ羊なの。ねむねむなのー』


ユキ :『わふぅ……、こんばんは。雪城ユキです。なんか急にみんなが家に来ちゃいました……』




【コメント】

:こんばんはー

:うみゅー

:わふー

:ここばんはー




カグラ:『まずはみんな飲み物は渡ったわよね?』




 僕たち全員がチューハイを持っていることを確認して、カグラは声を上げる。




カグラ:『それじゃあ、かんぱーい』


ユキ :『かんぱーい』


ココネ:『かんぱーい』


ユイ :『うみゅー』




 僕は生まれて初めてお酒を口にする。




ユキ :『わふっ、思ったより飲みやすいんだね……』


ココネ:『そこまで強いのは買ってきてませんからね』


ユイ :『うみゅー、なかなか美味しいの』


カグラ:『たまにはこういうのもいいわよね』


ユイ :『うみゅー、それじゃあそろそろお疲れ様なのー』


ココネ:『こら、ユイ。また勝手に終わらせようとして……』


ユキ :『あはははっ、相変わらずのユイだね』


カグラ:『勝手に終わらせたらダメよ。まだ雑談らしい雑談はしてないでしょ』




【コメント】

:みんな楽しそう

:これこそ三期生だな

天瀬ルル🔧:ぼくも行きたかった……

:ルルちゃんがいきなりいたw




ココネ:『ユキくん、眠たくなったらいつでも膝を貸しますからね』


ユキ :『うん……。って、やっぱりココママは僕を子供扱いしてるよね?』


ココネ:『私はユキくんのママですからねー』


ユイ :『うみゅー、ユキくんはまだまだお子様なの』


ユキ :『ユイも僕のことを子供扱いしてる? 同じ歳なのに……』


ユイ :『とっても可愛い妹なの』


カグラ:『私からも一つあるわよ。そろそろ私はポン姫から脱したと思うのだけど……』


ユイ :『ポンカグ姫なの』


ユキ :『えっと、確かに最近はカグラさんよりココママの方がポンの確率が高いかな?』


ココネ:『えっ、私ですか!?』


ユイ :『うみゅー、ココママはユキくんの前だとポンに変わるの』


ココネ:『うぅぅ……。だって、ユキくんが悪いんですよ。私たちとは一緒にお風呂入ってくれないのに、ルルちゃんとは入って……。私たちよりもルルちゃんとの仲を取っちゃうのかなって不安だったんですよ!』


ユキ :『えっ……、あっ……、うん。それはごめんね』




 流石に理由がココネたちは異性でルルは同性だから……とは言えずに頷くくらいしかできなかった。




ココネ:『ユキくん、私たちのこと好きですよね?』


ユキ :『も、もちろんみんなのことは好きだよ』


ココネ:『えへへっ……。好きって言ってもらいました』




 ココネの顔は少し赤く染まっていた。

 ただ、それは恥ずかしさからきているものではなく、どうやらお酒で酔って赤くなっているようだった。


 そういえば僕も少し暖かくなってきた気がする。




カグラ:『ココネとユキは大丈夫? 普通のジュースも買ってあるわよ?』


ココネ:『大丈夫ですぅ。私、お酒は好きですから。でも、みんなでこうやって飲める日が来るなんて思ってなかったですよ』


ユイ :『うみゅ、思ったより早くに終わることになりそうなの』


ユキ :『ふわぁぁぁ……、なんだか眠たくなってくるね』


カグラ:『ココネは酔うと甘え上戸になって、ユキは眠たくなるタイプみたいね』


ユイ :『うみゅー、カグラは強いの』


カグラ:『ユイもね』


ユイ :『うみゅー、ジュースみたいなものなの』




 結局、配信中に僕とココネは眠りについてしまい、カグラとユイの二人で雑談をすることになった。

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