四十七日目『かつての生徒』

「ルリエル。タスキエル。お前たちまでそっち側に行ったのか」


 リーフィアは爪が食い込むように拳を握って剣を構えていた。

 ルリエルとタスキエルはリーフィアの怒りを感じてはいたものの、怖じけずにリーフィアと堂々と話を始めようとしていた。それはかつてリーフィアの生徒だったからであり、だからこそ彼女を把握していたからだ。


「先生。あなたたち勇者は死ななくてはいけないんですよ」

「だから死んでください」


 ルリエルとタスキエルは一斉にリーフィアへと襲いかかった。

 ルリエルは水を剣に纏わせ、振るう一撃で高密度の水を刃のようにして飛ばす。リーフィアは風を纏わせた剣で弾く。

 その直後、タスキエルはリーフィアへと殴りかかった。リーフィアはそれを察知していたかのようにかわし、タスキエルを蹴り飛ばした。風を纏った蹴りにより、タスキエルは兵たちを壁にして倒れ込む。


「やはり先生は強いですね」

「お前たちが私に勝てたことはあったか?」

「そういえばなかったですね」

「そうだろ。お前じゃ私に傷一つつけら……」


 直後、高速で投げられた槍がリーフィアの脇腹に刺さった。刺さった瞬間に槍は纏っていた風によって回転し、リーフィアの傷は広がった。

 血が地面や壁に錯乱する中、リーフィアは槍を掴み、落とした。


「すみません。良く聞き取れませんでした。さっきは何て言ったんですか?先生」


 リーフィアへと歩いてきたのは、背中から翼を生やしたサリエルであった。


「サリエル……。こんなに魔法を使うのが器用だったか」

「そうですよ。私は強くなったんです。先生のいない間に」


 そう言うや、サリエルは槍に手をかざした。槍は回転しながらサリエルの手元へと戻っていた。


「さてと先生、その様子ではもう動けないでしょう。よって、ここで殺させてもらいますよ。さようなら。本当のことを言うと大嫌いでしたよ。先生」


 リーフィアは絶望し、膝をついた。

 そんなリーフィアの顔を見て、サリエルは槍を振り降ろした。




 ーーやはりあなたの弱点は生徒だよ。

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