第657話 その後
ユミちゃんは1ヶ月ほど育児を手伝って帰国した。
それからしばらくして、セスは一般女性との交際を発表する。
コアなファン達は、それがユミちゃんだと分かっても、精神面で不安を抱えるセスにはデビュー当時からメンバーを支えて来た年上の彼女がピッタリだと祝福の声をあげ、SNSは良い意味で炎上した。
トラブルは、セスがユミちゃんとの関係を
唯一の友人が自分の様に日影者にならなかったのは、セスの
酒飲みの2人はおウチデートで充分だった。
もちろん、あの青い家で。
ジョンは両親をカンボジアに連れて行った。
まだ若い両親は早すぎる孫の出現に驚き、息子に責任を取らせると言ったが、トラブルにその気がないと分かると、最大限の支援を約束した。
ジョンが、うっかり赤ん坊のオモチャを購入しているところを目撃され、セスパパ節が流れてファンに衝撃が走るが、ノエルがしれっと「え? あれ、ジョンが遊んでたよ?」と、発言して、あっという間に鎮火した。
「なんで僕が赤ちゃんのオモチャで遊ぶのー⁈」
「助けてくれて、ありがとうお兄様でしょ!」
「痛い、ほっぺ痛い。ありがとうノエルお兄様〜」
カンボジアのトラブルの家は、定期的に孫に会いに来るジョンの両親と、時間を作っては現れるユミちゃんとジョンで賑やかになった。
代表が推薦したベビーシッターは完璧な仕事をして見せ、トラブルは安心して仕事に復帰した。
メンバー達も末っ子の子供に会いに、たびたび現れた。
ノエルは小さな指を触りながら、テオと赤ん坊を見比べる。
「なに? ノエル」
「んー、テオの子もこんな顔になるのかなぁって思って。だって、トラブルとテオは同じ顔じゃん? だったら子供同士も同じ顔なのかなぁ」
「相手が違うんだから同じにならないでしょ?」
「ジョンと似ている人を選んでみてよ」
「意味不明だよー」
「じゃあ、僕の子を生んでくれる?」
「もっと意味フだから」
「テオちゃ〜ん」
「変態! そういう事はシンイーさんに頼んで!」
「テオの子が欲しいんだよ〜」
「変なとこ、触らないで!」
「こら、純粋な魂の前で、何を
ゼノは赤ん坊を抱いて立ち上がる。
その高い位置にジョンは不安を隠せない。
「落っことさないでね……」
「可愛いですね」
ゼノは真剣な眼差しを赤ん坊に向ける。
「食べたくなりますね」
「う、うん」
「少しくらいなら構いませんかね?」
「いや……」
「ほっぺたを食べたいですね」
「食べたら、なくなっちゃうから!」
ジョンは慌てて我が子を奪い取る。
「ジョンー、なくなっちゃうってなんなのー?」
ノエルが髪をかき上げて笑う。
ある日、ユミちゃんがセスにオムツを差し出して言った。
「練習しておいて」
セスは目を丸くして震える手でオムツを受け取る。
「何考えてんのよ! ただの練習よ! 練習!」
真っ赤な顔で否定するユミちゃんを見て、この時にセスが決心したのかは分からないが、2人が入籍するのは、もう少し先のお話。
子供がつかまり立ちをして、オモチャから流れる手遊び歌にキャッキャと満面の笑みで体を揺らしていると、ベビーシッターは目をキラリと光らせてカメラを構える。
トラブルは、その目をどこかで見た気がしたが、思い過ごしかとやり過ごしていた。
ベビーシッターはトラブルの目を盗んで動画を送信する。そして、報告していた。
「ええ、上玉です。少し内気ですが2人にソックリですよ。代表も
ベビーシッターは白々しい笑顔で家主を出迎えた。
トラブルは
(今、代表って聞こえた……)
背伸びをして抱っこをせがむ息子を抱き上げ、トラブルは迫り来るトラブルの予感にブルッと身震いをする。
終 END 끝
【あとがき】
完結致しましたー!
長かったー! でも、楽しかったー!
たくさんの方にお越しいただき、そして、ハートも星も、身にあまる光栄でした。
稚拙な文章に我慢強くお付き合いして下さった皆様には、頭の下がる思いです。
心から感謝申し上げます。
ありがとうございましたm(_ _)m
サランヘ〜♡
明日から新作始めまーす。
そちらにも来ていただけると嬉しくてチビります(≧∀≦)
〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅 ヌン @nunshi
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