第48話 相談相手は選びましょうね

「カイトカイト!」

「あ、星那さん、おはようございます」

「宙音が配信辞めるんだって! どうしよう!?」

「あの、ここ教室なので……」


 星那さんが慌ててきたのか少し汗をかいていた。


「昼休みに聞いてあげるから騒がない」

「だってー……」

「それに休止でしょ?」

「今までそんなことなかったし」

「色々あるんでしょ」

「どうすればいいかな?」

「理由が分からないとどうにも……」

「もー!」



\\\



「どうしたんだろー……」


 今日もお昼ごはんを食べに空き教室にやってきていた。


「そこまで深い理由なんてないんじゃない? いったん落ち着きたいとか」

「そうかもだけどー……そうじゃないかもでしょー」

「宙音さんは何かいってましたか?」

「疲れたからって言ってたけどー……」

「なら、そうなんでしょ」

「だって、カイトはそんなに休んだりしないでしょ?」

「人によって負担は違うので……比べてもあんまり意味はないと思いますよ」


 最初と比べれば今の方が配信時間自体は長いけど、そこまで疲労感が増したとかはない気がする。


「テストが近いからとかは?」

「テストは終わったって言ってたー……」

「海斗くんはどうですか?」

「何がですか?」

「休みたいと思うこととかありますか?」

「思ったら休みますかね……そういうテンションが配信に出ちゃうかもしれないので」

「急に配信無くなるのそういう理由だったんですね」

「ごめんなさい」

「あ、違うんです。何かあったのかなとか心配しちゃうので」


 ドタキャン?は良くないのはわかっているけど、本当に気分が乗らないときとかはしかたなく休んでいる。


「宙音もそうなのかなー? なら辞めたりしない?」

「それは……どうでしょう……」

「なんでそんな不安になること言うのー!?」

「ご、ごめんなさい」

「宙音が辞めてもいいのー?」

「あはは……」


 本人が辞めたいのなら仕方ないと言いますか……


「なんにも相談してくれないしー……」

「星那に相談しても仕方ないじゃない」

「そんなことないよー!」

「だって、他のVtuberとかしらないでしょ」

「カイトは知ってるもん!」

「それはそうだけど……中の人のこととかわからないでしょ」

「初華はわかるのー?」

「わかるわけないでしょ」

「ねー、どうすればいいのー!?」


 2週間休止というのは、長いけれど、少し探せば簡単にそのくらい休んでいる人は見つけることができる。

 しかし、個人でやっている人は唐突に辞めている人も少なくない。


「カイトも誰にも相談しないの……?」

「相談しますね。そっちの方がいいときはですけど」

「やっぱりカイトのおかーさんとかおとーさんになの?」

「そうですね」

「なら、おかーさんには相談してるのかな……?」

「一番は妹にですから、宙音さんも星那さんの方が相談しやすいかもしれませんね」

「そうかなー?」


 ちょっと海菜は特殊な気もするけど。


「ならさー……」

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