第32話 Vtuber告白するってよ

「……」

「……そうなんですか」


 いきなり何の話?


「うん! だから、えっと! 応援してあげてー!」

「……」

「はぁ、星那……?」

「んー?」

「それは、宙音ちゃん知ってるのよね?」

「あ」

「はぁ……」

「ちょっと待っててー!」


 廊下に出て行った。


「……」

「まったく、星那は……」

「おっけーだって!」

「かるいですね……」


 大丈夫かな。


「これなんだけど」


 『銀河 水玉』

 どこかで聞いた名前だなぁ……


「個人で5万は結構すごいとおもうけど……前世とかで何かやってたの?」

「前世?」

「えっと、Vtuberを始める前にどこかで活動してましたか?」

「してなかったと思うー。うみく、えっと、たまたま一人のVtuberみかけて始めたらしいよー」

「そうなんですね」

「応援って何すればいいのよ。宙音ちゃんの連絡先知らないけど」

「えーっと、伝えとくー」

「私、みてないから頑張ってとしかいえないけど」

「そうですね。がんばってください」

「そうだよねー……」

「というより、そろそろお弁当食べないと」

「そうだねー」


 星那さんもお弁当を開いた。


「星那、今日のお弁当大きくない?」

「あー、うん」

「今までの量じゃ足りなかったの?」

「いやー、あはは……」

「?」


 苦笑いしながらこっちを見てきた。


「宙音が張り切っちゃってねー」

「それで朝遅れてきたんですね……」

「まぁ……そんなとこー」


 星那さんはなんだかんだ言いながらも、結構喜んでいた。



\\\



「海菜ー」

「ん~?」

「ちょっと真面目な話」

「わかった~」


 ベッドの上で海菜と向かいあう。


「海菜にも話したけど、二人にバレてるんだよね」

「うん、それで~?」

「もう二人とも確信してると思うんだよね」

「うん」

「二人に正直に伝えようかなって」

「そっか~」

「海菜はどう思う?」

「ん~、いいんじゃない?」


 いいらしい。


「でも~、ちゃんと口止めしたほうがいいよ~」

「それは、うん。しっかりする」


 それが一番しなきゃいけないことだ。


「じゃあ……」

「だめ~」


 メッセージを送ろうとしたら、海菜にスマホを取られた。


「も~、気をつけてっていったでしょ~」

「うん、気を付けるつもりだけど……」

「口頭で伝えた方がいいよ~。もしかしたら周りに人がいる状況で見ちゃうかもしれないでしょ~」

「あ、そっか」


 俺も海菜が見ようと思えば見える位置でメッセージ確認するし。


「だから、周りに人がいないことと、録音とかされてないことを確認してから伝えてね~」

「うん、ごめん」

「ほら~、気持ち切り替えないと、今日の配信で事故るよ~」

「そうだなー」


 隣で寝転がっている海菜を撫で、起き上がる。気を引き締めないと。

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