第12話 ……結局、何貝なわけ?

「ダメでじだぁぁぁ!!!」


 むりむりむりむり! 全然倒せない!

 いや、マグロより楽そうとか思ってたさっきの俺を殴りたい。

 何回かやっているうちに気が付いた。これ、一回でも外すと詰んでる。真珠の数が足りなくなって、貝の体力を削り切れない。


「きっついですねー!」


 弾幕ゲーのように大量の真珠を飛ばしてくる貝。真っすぐ飛ばしてくるだけでもきついのに、たまに真珠同士がぶつかって軌道が変わるのが難しすぎる。あと、微妙にイワシちゃんの吐き出す真珠が遅い。


「外した!? あー、これってリセットするべきですかねー?」


 一度外すと、どれだけ頑張っても倒せることはない。


「練習かー。なるほど」


 『避ける練習すれば』とのコメントが流れていた。真珠がなー、安全な場所とかあればいいんだけど。


「ん? これってもしかして、めちゃくちゃ近くで避ければいける?」


 貝の飛ばしてくる真珠の軌道が変わるのは、一度上方向に飛ばした真珠が落ちてくるタイミングが、次に飛ばしてくる真珠が飛んでくるタイミングと重なるからだ。しかし、よく見れば上に飛ばされた真珠は、貝の近くには落ちてきていない。


「ちょっと試してみまーす」



「無理でしたー!」


 確かに軌道は変わらないけど、貝の近くで真珠同士の隙間が狭すぎる。でも、慣れれば行けるのか?




「あ゛あ゛っ! でも、いけそうですねー!!」


「やっぱりきっつい!!」


「でも、今回は途中で何か乱入とかしてこなそうですよねー」


「やっぱりぃぃ!? さっきフラグっぽいとは思ったけど!?」


「いい感じ、じゃない!? はじかれたぁ!!」



 何度も失敗しているが、そろそろ大量の真珠にも慣れてきた。


「休憩終わったらクリアまで一気にやっちゃいましょう!」



¥¥¥



「うわっ、いい感じじゃなかったです!? あと3分の1くらい?」


「いけそういけそういけそう!!」


「貝ぃぃ! 閉まるな!!」


「今閉まらなきゃ勝てましたよね!?」


「今そんなミスする……?」


「よっしゃぁぁ!!!! クリアしましたよ!?」


「おめでとうありがとー! 頑張りましたー!」



 苦戦の末、ようやく貝を倒すことができた。倒した感動に浸っていると、スペチャを送ってくれる人が一気に増えた。


「さてさて、そろそろ終えますかー」


 ちらりと時計を見ると、前回よりは時間がかかっていないようだったが、貝の位置と大量の真珠を目で追ってたからか、疲労感が強い。


「おつかれさまありがとー。来週も頑張りますよー。ではでは、皆さんも、おつかれさまでしたー」 

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