第397話 森へGO!
「じゃあ食材が足りなくなったら遠慮せず買って良いからね、ビビアナと散歩がてら行けば色々おまけもして貰えるから、後はよろしく!」
「任せて!」
「ビビアナ達のお世話は問題無いから安心して行ってきて」
「大丈夫だとは思うけどアイル達も気を付けてね」
孤児院の3人娘が出発に合わせて見送りに来てくれた。
「うふふ、異変の原因に驚いても森を焼かない様にね」
「わかってるよぅ」
抱き締められ、更にボリューミーになりつつあるビビアナの胸にムギュウと埋まる。
久々の感触に数秒埋まったままになっていたらホセに襟首を掴まれて引き剥がされた。
「いつまでくっついてんだ、行くぞ!」
「皆気を付けてな、無理はするんじゃないぞ」
「は~い」
私はホセに引き摺られる様に連行されながら、おじいちゃんに手を振った。
ホセも私を引き摺って歩きながら軽く手を上げて応えて門へと向かう。
「あの子達が来てくれるなら転移するのを誰かに見られる危険も減るし、アイルも助かったんじゃない?」
「エリアス、その事は外で話すのはやめておけ。誰かに聞かれでもしたら大変だぞ」
「大丈夫だって、ちゃんと周りを確認してから話したから。だけど建物の
リカルドがエリアスを
でもちゃんと周りを確認してくれてるなら大丈夫かな?
私と違って気配察知がちゃんと出来るもんね。
「あの子達が居たらビビアナもおじいちゃんの話し相手が出来るって事の方が嬉しいかな、2人だけだとその内話題が尽きちゃいそうだもんね。3人共ビビアナの事大好きだから任せて安心だし」
「だろうな、特にエリシアは孤児院に来たばかりの頃は自分は姉だからって気ぃ張ってたけどよ、ビビアナが色々助けてやったから肩の力を抜く事が出来たってのも大きいだろ」
「ビビアナは皆のお姉ちゃんなんだねぇ、ビビアナにも頼れるお姉ちゃんは居たの?」
「居たぜ、オレの事も可愛がって…そうだな、可愛がってくれたよ…色んな意味で(ポソ)」
ホセは何故か途中で身震いさせて答えた、どんな人なんだろう、その人に会ってみたいな。
「その人は今どこに居るとかわかる?」
「さぁな、冒険者やってたけどよ、世界の広さを見て来るなんて言って8年前にウルスカから出て行ったからわかんねぇ。オレ達を重し代わりに鍛えてた様な人だったから生きてるとは思うけどな」
「それ…お兄ちゃんじゃなくてお姉ちゃんの話なんだよね?」
「間違いなく女だよ」
そのお姉ちゃんを思い出したのか、ホセは遠い目をしていた、その目が疲れている様に見えたのは気のせいだろうか。
そんな話をしつつ門を抜けて森へと向かう、この時間はギルドに人は多いが既に出発しているのは少数だ。
「ねぇ、ホセはともかく皆に身体強化掛けて移動するってのはどう?」
「あぁ!? オレはともかくってどういう事だよ!?」
除け者にされたと思ったのかホセが眉間に皺を寄せた。
「だってホセは元々身体能力高いもん、必要無いでしょ?」
「ま、まぁな。身体強化したお前に負けるとは思わねぇけどよ」
ころりと態度が変わるホセ、単純よのぅ…。
「でしょ? ね、リカルド、どう?」
「そうだな、森に入ってからはともかく、森に到着するまで全力で走ってみるか? 魔物と闘う時は身体強化に頼ってしまうとアイルが居ない時に困る、なんて事になったら大変だからな、予想外の大物が出た時以外は無しで頼むぞ」
「わかった、じゃあ掛けるよ~」
「あ、ちょっと待った、俺も必要無いよ。身体能力はホセにも負けないからね」
身体強化を掛けようとしたらエンリケから待ったが掛かった、そっか、そういえば竜人だから獣人よりも身体能力高いんだっけ。
「普段から人族の
「忘れちゃうのはアイルだけだよ」
「じゃあ3人だけだね、『
エリアスの呆れた様な視線とツッコミは無かった事にして自分達に身体強化を掛けた。
「わぁ、身体強化は初めてだけど、凄く身体が軽いや!」
「ああ、これは想像以上に凄いぞ。ホセとエンリケは普段からこんな感覚なのかと思うと羨ましいな」
エリアスとリカルドが嬉しそうに走り出した、気持ちはわかるけどはしゃぎ過ぎだよぅ。
「待って! いきなり走り出さないでよ!」
基礎体力が違うせいか、私よりも2人の方が速い。
私が身体強化するとホセと同じくらいの身体能力になるのでホセも置いて行かれている。
エンリケはまだまだ余裕そうだが私に合わせて走ってくれている様だ。
「2人共はしゃいでるねぇ、初めて身体強化したんだから気持ちはわかるけど」
エンリケがクスクス笑いながら前方を走る2人を見た。
「はは、そのまま2人で森に突っ込んでったりしてな。おいアイル、身体強化の魔法はどのくらい続くんだ?」
乾いた笑いを漏らしてホセが聞いてきた、確かにあのはしゃぎっぷりならあるかもしれない、しかし大丈夫なのだ。
「ふふふ、お試しのつもりだから10分で切れる様になってるよ。たぶんそれくらいで森に到着するはずだから」
そして身体強化が切れた10分後、森に入ってすぐのところで身体の感覚が変わってしまった事により転んだ2人が発見された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます