第246話 念願の祝杯
ギルマスに報告を終えた私達は家に帰って祝杯をあげる事にした、そして何故かガブリエルとエンリケも一緒に。
エンリケはギルドから帰ろうとした時にリカルドに声を掛けて来て、「やっと会えたから色々話したかったけど、長旅で疲れてるみたいだから今日は遠慮しておこうかな」と謙虚な事を言ったので、リカルドが「今から祝杯だから来るか?」って言っちゃったんだよね。
最後に「アイルが良いって言ったら」なんて言われてダメなんて言えないよ。
後で話そうってさっき言っちゃったしね、そしたらガブリエルが期待した目を向けて来るからつい「ガブリエルも来る?」って言っちゃったんだよ。
リビングに普段外で使ってるテーブルも置けば余裕で座れるし、場所的には問題無いから良いんだけどね。
問題はそうなると迷惑かけない様に3杯までにしなきゃいけないって事かなぁ。
家の前まで来ると、ちょうど地図を片手に歩いて来るセシリオが見えた、よしよし、これならすぐに酒盛りが出来るぞ。
家に入り全員を洗浄魔法で綺麗にしてからリビングにテーブルを追加で出して料理を並べていく。
ククク、今回は場所
「うふふふ、おツマミに合わせてお酒を置いてあるから、飲みたいお酒がある場所に座ってね」
バレリオがギルドに居たら引っ張って来るつもりだったけど、残念ながら居なかったので今夜はシメの豚骨ラーメンは諦めよう。
「うわっ、凄い! 全部美味しそうだねぇ、ヘタな高級店より豪華なんじゃない? 俺、色んなとこ旅してるけど、初めて見る料理も結構あるよ」
エンリケが興奮しつつビールゾーンに座った、最近までタリファスに居たからビールが馴染んでいるのかもしれない。
皆が座ってグラスやカップを持ち、期待した目でリカルドに注目した。
「えっと…、皆、
「「「「「「「乾杯!」」」」」」」
「んくっ、んくっ、ぷはぁ、くぅ~、長い事我慢した後のお酒は五臓六腑に染み渡るわぁ~」
「何だそりゃ」
最初のビールで喉を潤した私の言葉にホセが怪訝な顔をした。
「う~ん、内臓全部に染みるみたいって事だね!」
「アイルは禁酒でもしていたの? もう成人してるんでしょ?」
エンリケが不思議そうに首を傾げた。
「いや、あの、酒癖がね…? 良くないからって禁止されてたの」
「酔って暴れちゃうとか?」
「ううん、話を聞く限り絡み酒っぽい。私は酔うと忘れちゃうから…」
説明しながら声が小さくなってしまう、ホセの視線が痛いので喉が乾いちゃうなぁ、次はウィスキーのロックにしようっと、その方がチビチビゆっくり飲めるもんね。
「うわ、コレ初めて見るよ?」
日本酒席のエリアスがスプーンでもっちりしたものを掬い上げながら言った。
「それは長芋をすり下ろしたやつにマヨネーズと塩胡椒、あと少しだけ醤油を混ぜて焼いたやつだよ、もっちもちで面白い食感でしょ?」
「はむ、…んん、本当だ、焦げ目が付いてるところも香ばしくて美味しい」
いくつか仲間達も初めて見る料理があったので説明しながら楽しく過ごした。
ホセはブランデーを飲んでいたのでアーモンドが中に入ったチョコレートを絶え間なく前に置いてあげた。
何故かって? チョコレートは酔い覚ましになるから、私だけいつも酔わせてもらえない仕返しなのだ。
それにしてもおかしい、既に3杯を飲み終わったというのに全く酔っていない。
首を傾げつつ4杯目をグラスに注いだ。
「おい、それ4杯目だろ」
「うん、だけど全然酔ってないの。普通1杯目でもちょっとフワフワするはずなのに…、これじゃあお酒飲んでる意味無いくらいだよ」
「そういや話し方も普段通りだな、酒に強くなった…って訳じゃねぇよな。こんな急に強くなるはずねぇし」
「どうしてだろうねぇ?」
首を傾げつつグラスに口をつけた。
「アイル、それってそのネックレスの魔石に掛けてる付与魔法のせいじゃない?」
「へ!?」
「え、でも防御系の魔法だったと思うんだけど…。ガブリエル、このネックレスにどんな付与魔法掛けたの?」
ガブリエルは食べるのに夢中で殆どお酒を飲んでおらずほぼ
「ん~? 確か大きいのには障壁魔法で、小さい雫型のには鎖が千切られたら発動する閃光魔法と~、2m以上の高さから落下したら発動する浮遊魔法と~、毒を摂取したら自動で発動する解毒魔法と~、状態異常で発動する正常化の魔法だよ」
「凄い、さすが元王立魔道具研究所所長ですね…。国宝級のアイテムじゃないですか」
セシリオが呆然と呟いた、魔法でパパッと魔法を付与するのとは違い、魔道具で魔石に魔法付与しようとすると魔石をかなり消費してしまうらしく、それこそ複数の魔法が付与されているものは恐ろしい額なんだとか。
そういえばあの時大きい魔石に付与魔法掛けた後にも何かしてたっけ。
「だ・け・ど~、お酒飲む時に正常化のアイテムは野暮でしょ! 無くさない様にちゃんとストレージに収納して~、改めてカンパーイ!」
これは4杯目だけど私にとっては1杯目も同然だ、そんな訳で仕切り直しの乾杯をしてグラスを傾けた。
その際隣から突き刺さるホセの視線は気にしたら負けだ。
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