第243話 のんびりタイム終了
「アイル、彼はどうしてあんなに機嫌が良さそうなのかな?」
夕食の時、半眼になって呟いたエドの視線の先にはニコニコしているガブリエルが居た。
「さぁ…、何でだろうねぇ」
「彼があんな風に機嫌が良くなったり悪くなったり変化するのは大抵アイルが絡んだ時だと思うんだが…」
くっ、
「多分だけど…。付与魔法を試す時にやり方を教えてもらったのね、その時お礼にガブリエルの苦手な治癒を付与した魔石をあげたからかな?」
「あら、そんなの作れるの? 便利そうね」
エドとの会話を聞いたビビアナが好奇心いっぱいの目をしている。
「うん、昨日初めて試したんだけどね。ウルスカに戻ったら魔道具や魔石に詳しい人に教えて貰って色々試してみたいなぁ、そうすれば皆の装備を強化したりも出来るでしょ?」
「アイル! ここに魔道具の専門家が居るんだから他の人に聞かなくてもいいじゃないか! 言ってくれれば私がいつでも教えるよ!」
あ、ガブリエルも話を聞いていたのか、確かに魔道具に関してはこれ以上無いくらいの専門家だもんね、むしろこの国の元最高責任者な訳だし。
「そうだね、ウルスカまで1週間掛かるし、その間に色々教えてね」
「もちろんだよ!」
「あれってウルスカに戻ってからは
「シッ、アイルはただ時間を無駄無く使おうとしてるだけだから余計な事いわないの」
何やらホセが余計な事を言ってエリアスに
食事が済むと、
「本当は今日で最後だし、一緒にお酒でも…と言いたいところだが、そうしたらきっとアイルは叱られてしまうだろう? いつか…アイルが単独でこちらに来る事があったらウチで一緒にお酒を楽しもう。明日からまた移動が続くから今夜はゆっくり休むと良い、おやすみ」
今度はまた紳士モードのエドになっていた、さり気なく匂いを嗅いだりもせず、軽くハグをして離れると食堂から出て行った。
単独で来て一緒にお酒飲んだりしたらエドを受け入れますって言ってる様なものでしょ、むしろそれで「そんなつもりじゃなかったの」なんて「じゃあどんなつもりだったんだ」と言われても仕方ないやつだよね。
エドも酒癖あんまり良くないみたいだし(173話参照:アイルはエドが酔ってたせいだと信じてます)、ヘタしたら朝チュンコースだよ。
そんな事になったらエドは絶対一夜の過ちで終わらせずに結婚まで話を持って行きそうだしなぁ……って、何考えてんの私!
ブルブルと頭を振って恐ろしい考えを振り払った、昨日長時間紳士モードのエドを見ていた後遺症かもしれない、もしもとはいえエドとの将来を思い描くなんて。
こういう時はお風呂に入って心も身体もサッパリさせれば大丈夫、ここを出たらウルスカの家までのんびりお風呂に入れないだろうから堪能しようっと。
お風呂を堪能して種類が増えたナイトウェアを着る、出掛けている間に増えていたのだ。
数着増えていたけど、その内の1着と前に貰ったものを交互に着ている、毎日同じ物だと生地が早く傷むって言うもんね。
後は未使用のまま置いておく事にした、だって中にはベビードールにしか見えないものが。
万が一コレを着ている時に誰かに見られたら軽く恥ずか死ねるやつだ。
コレは触れちゃいけないと思って敢えて話題に出すのはやめておいた、もしエドに着たところを見たいとか言われたら無言で攻撃魔法を撃ち込んでしまいそうだし。
翌朝、朝食を済ませた私達は馬車に乗り込み門前広場に居た、朝の涼しい時間帯だからかエドは私がプレゼントしたカフスボタンを付けたスーツスタイルでお見送りである。
「次に会える日を楽しみにしているよ、それまではこのカフスをアイルだと思って我慢するから」
後方のドアを開けてお別れしていると、エドはそう言って袖のカフスボタンにキスをした、私だと思ってるというモノに目の前でキスするのはやめて頂きたい。
「そろそろ出発しようか」
「はぁい。それじゃあエド、元気でね」
「ああ、アイルも…ドアを閉めるよ」
最後にハグをして離れる時にエドの唇が頬を掠めた気がした。
ちょっとびっくりしてエドを見ると、悪戯っぽく笑ってドアを閉め、すぐに馬車が動き出す。
普通の人っぽい事を不意打ちでやられた私は、平常心を取り戻す為にビビアナのマシュマロ乳に顔を埋めさせて貰った。
セシリオとガブリエルは馬移動だし、ホセも御者をしているので私の行動に口を出す人は馬車の中には居ない。
エドの屋敷でたっぷりイチャイチャしていたせいか、ビビアナの胸のマシュマロっぷりがレベルアップしていたのは気のせいではないだろう。
◇◇◇
@tatto_peaceさんからおすすめレビュー書いて頂きました、ありがとうございます(*´∇`*)
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