第232話 胸派と腿派
「さすがにウルスカにまで追って来る貴族は居ないだろうから貴族に煩わされるのもあと少しだよ、
ガブリエルの言葉に『
リカルド曰く、令嬢の突撃よりは名を上げたい冒険者の挑戦の方が気が楽との事だったが、物理的な攻撃より大変な貴族令嬢の突撃って何だか怖いんだけど…。
私が賢者だってバレたせいで色々皆に迷惑が掛かってしまうのは申し訳ないが、それでも私は皆から離れたく無いのだ。
皆は私に気を遣って言わないけど「賢者様の仲間には自分こそ相応しい」という勘違いした人達にも絡まれているという事はエドに上目遣いでお
王様にはガブリエルがウルスカへ戻ると挨拶しておいてくれたから私達は今日からウルスカへ向かう、その為朝食後にセシリオの住んでいる宿舎に行って私のストレージに家財道具を収納して来た、つまりは王様の迅速な指示により移動が決定したという事。
お陰でビビアナの機嫌はすこぶる良い、出発する時は騒がれ無い様にセシリオとエドが馬に乗り、幻影を纏った私が御者をするフォーメーションに決定した。
ラファエルや屋敷の使用人がズラリと並んでお見送りしてくれてガブリエルが別れの挨拶を終えた。
「じゃあ行こうか、皆馬車に乗って」
「「「「「「ぶふぅっ」」」」」」
エド以外が吹き出し、使用人の皆も笑いを堪えて肩を震わせながら俯いている。
「お、おま…っ、ぐふぅっ、その見た目で喋んじゃねぇよ…クククッ」
皆が笑う理由、それは移動中の対策として私がバレリオの姿を借りているからだ。
つまりは厳ついおっさんから私の声が聞こえるのでギャップに耐えられないという事らしい。
私自身は視線の高さも普段と変わらないので、鏡でも見ない限り違和感は無い。
エドはさすがにバレリオの姿ではバネッサの姿の時の様に焦点をズラすだけでは対応出来なかったのか、私を見ない様にしている。
特にエリアスなんかは腹筋崩壊と言わんばかりに声が出ない程笑いながら馬車へと乗り込んだ。
「お世話になりました~!」
門を出る時最後に声を掛け、満面の笑みのラファエルと使用人の皆に見送られながら出発した。
門を出る時セシリオが門番に説明して二度見どころか三度見されたけど無事王都を出て数時間経過した。
「アイル、そろそろ幻影魔法は解いて良いんじゃないかな? ここまで来れば貴族がウロついている事もないだろう」
確かにこの先エスポナまでは大きな町は無いから貴族の屋敷も殆ど無いはず。
「そうだね、『
「やはりアイルはその姿が1番だよ。そういえばそろそろ休憩できるキャンプ場が見えてくるはずだ、ほら」
ニコニコと機嫌の良いエドが指差した先には王都に向かう時にも寄ったキャンプ場があり、お昼休憩の為に立ち寄る。
そのキャンプ場には珍しく大所帯の
「随分人が多いね、あっちの空いてるところに行こうか」
ワラワラと人が居るところを避けて隅っこの
「皆、キャンプ場に到着したからお昼ご飯だよ~」
「なぁんだ、もう幻影魔法解除しちゃったんだね」
御者席から小窓を開けて声を掛けると、私の顔を見てエリアスがクスクスと笑った。
また私を笑い物にする気だったのか、サッサと魔法解除しておいて正解だった様だ。
「私をオモチャにして遊ぼうったってそうはいかないんだからね~だ! 食事の準備するから馬を外して休ませてあげてくれる?」
「あはは、わかったよ。ホセも手伝って」
「おぅ」
エリアスとホセが馬車から馬を外してくれている間にストレージからシートを出して広げ、その上にテーブルや料理を並べる。
自分の乗っていた馬の手綱を川辺の木に引っ掛けながら「アイルをオモチャに…」とかブツブツ言ってるエドの事は気にしたら負けだ。
「アイル、今日の昼食は何だ?」
「今日は熱いし、ずっと馬車で食欲もあんまり無いだろうから胸肉のチキン南蛮だよ、お酢を使ってるから暑い日でも食べやすいでしょ」
「おお、あのタルタルソースを掛けて食べるやつだな!」
メニューを聞いてリカルドが喜んだ、パーティ内でもリカルドとビビアナは胸肉派、ホセとエリアスはもも肉派と派閥があるのでチキン南蛮は胸肉ともも肉を交互に作る様にしている。
ちなみに私はどちらかというと胸肉派、何故ならもも肉にすると脂の分コッテリしてるせいでお米を余分に食べてしまうからダイエットの敵なのだ。
まぁ、胸肉を使おうが茹で卵を刻んで作るマヨネーズたっぷりのタルタルソースを掛けている時点でダイエットとか言ってるのが虚しくなるが。
折角綺麗な
…………よし、午後は馬に乗って移動しよう。
そう決意しながらチキン南蛮を頬張っていると、冒険者らしき男を2人連れた髭面のおじさんが近付いて来た。
◇◇◇
タイトルで女性の好みかと思ってしまった方は是非★〜★★★で評価をお願いします(*´∇`*)
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