第194話 カボチャならぬロイヤル馬車でお迎え
「すまねぇ、俺達じゃ王族に逆らえなくてよ。とりあえずコレが『
そう言って早朝から訪ねて来たガスパルがギルドからの報酬と大量の肉をマジックバッグの中から取り出し、宿屋のテーブルの上に積み上げた。
「おお~、これだけあれば暫く肉には困らないね! 報酬はリカルドに分けて貰ってから預かろうか、それともギルドに預ける?」
「う~ん、何があるか分からないから預ける予定の半分はアイルに預けて良いか? とりあえず皆の取り分を分けるから少し待ってくれ」
リカルドはズッシリとした金袋を持ってベッドの上で仕分けを始めた。
「アイルはこの街の恩人だ、俺に出来る事やして欲しい事があったら言ってくれ、俺に出来る事なら何だって協力するぜ」
「特に無いんだけど……あ、もしかしたらガブリエルっていうエルフがパルテナから来るかも。
「ああ、そんな事くらいならお安い御用さ、エルフなら目立つからすぐわかるだろうしな」
その後、ガスパルは王都について知っておいた方が良いという情報を教えてくれた、そして話している内にリカルドが報酬の仕分けを終えて皆に渡す。
「うっはぁ、大氾濫の報酬は桁違いって聞いてけどよ、まさか個別に金貨5枚も貰えるたぁ思わなかったぜ!」
「それはアイルに感謝すべきだな、誰が見ても1番討伐数が多いのはアイルだったからな。1人で半数は殲滅しただろ、その分上乗せされてるのさ、先に帰った冒険者達はパーティで金貨5枚ありゃ良い方だな。それでも前回の大氾濫に比べたら破格の報酬だぜ? アイルが氷漬けにした分はまるっと素材が活用出来るからその分多いんだよ、肉も売れたしな」
「そっか、普通に討伐したならボロボロで素材として使えるところは少ないもんねぇ、使える素材が多い分報酬も増えたって事か、あのエルフ達は炎系の魔法だけだったから確かにアイル様々だね!」
「それじゃあその頑張ったアイルに報酬と食費だ、好きなだけスパイスや食材を買い溜め出来るぞ」
私の分の報酬とは別に渡された金袋には金貨だけでなく大金貨も入っていた、うほほ、これだけあれば中華麺をこれでもかというくらいに買い溜め出来る!
バレリオの研究してくれてる豚骨スープに合う様な太麺から鶏塩スープに合う細麺まであるだけ買わないと!!
「ジュル…、へへへ…」
「おい、ヤベェ顔してるぞ」
「ハッ、つい脳内でラーメンの食べ比べ始めてた…!」
ホセに指摘されて妄想から戻って来た、口から溢れそうな涎を飲み込み、前から持ってる食費の残金と纏めてストレージへ収納する。
ところで王宮への呼び出しって報酬は発生するのかな?
王宮に到着するには5日掛かるとガスパルが教えてくれた、到着までに色々シミュレーションして皆と話し合った方が良いかも。
「そろそろ俺は帰るぜ、王族の使いと鉢合わせなんてしようものなら緊張しちまう、アイツら高圧的でムカつくしよ。お前達の活躍はしっかり伝えてあるからヘタな扱いはされねぇとは思うけどよ、……気をつけろよ」
「ああ、色々とありがとうな。王都の帰りにも通るみたいだし、その時はギルドに顔出すよ」
ギルドに預ける報酬分をガスパルに渡すと、リカルドとガスパルが握手して再会を約束した、これでいつでも出発出来る様にはなったけど王宮へ向かわなきゃいけないかと思うと気が重い。
朝食を食べつつ王宮で貰える褒賞はこの国に縛られるモノ以外なら貰おうと話し合った。
出来ればパルテナと同じく自由を保証する許可証を手に入れられれば1番良い。
「けどよ、アイルの話じゃ年頃の王子が5人来たんだっけ? 完全にお前が狙われてるじゃねぇか」
「だよねぇ、あからさま過ぎるよねぇ、しかも色んなタイプで誰か気に入るだろうって思惑が透けて萎えるわぁ~」
「アイル、朝食の時にその言葉は不適切だと思うぞ」
「へ? 何が?」
リカルドが目を逸らしながら注意してきたけど何が良くなかったのか理解出来なかった、普段通りの話し方だと思ったんだけどなぁ。
そしたらビビアナが妖艶に微笑んでヒソヒソと教えてくれた。
「アイルったら、萎えるだなんて萎えるモノなんて付いてないでしょう?」
「な…っ、私が言ってるのは気持ちの事だよ!? そういう風に考えるリカルドの頭の中の方が不適切じゃない! 大氾濫の戦闘の
「ゴホンゴホン、そ、そうか…、それ以外で使ってるのを聞いた事が無かったから…つい、すまん」
「むぅ、しょうがない…許してあげよう」
確かに「萎えぽよ」とか有名になる前はあんまり気持ちを表すのに使わなかったかも?
だけど朝食時にいきなり下ネタをブッ込む危険人物だと思われるのは心外だ。
エリアスとホセも気不味そうにしているところを見ると同じ様に思ってたらしい、ジト目を向けつつ食事してたら完食するまで目は合わなかった。
さっきから人が出入りを始め、食堂でもチラホラと宿泊客が食事をしていた。
食事が済んだので部屋に戻ろうとしたら昨日の偉そうなおじさんがヘコヘコしながら声を掛けて来た、昨日かなり怒られたと見た。
「これは賢者様、おはようございます。お食事はお済みですか? 部屋のお荷物は既に馬車へ運んでありますのでどうぞこのまま馬車へお乗り下さい」
は? 勝手に荷物を運んだの!?
さっきから出入りしていた人達はそれか!
個人的に各自が持ち運ぶ用のリュックだけで他の荷物はストレージに入れてあるけどさ。
王族の命令だから逆らえないかもしれないけど、ひと言も無いのは宿屋としてここの信用はもう持てないな。
あれよあれよという間に私とビビアナは8人がゆったり乗れるロイヤル仕様の馬車に王子達と、男性陣はもう1台の同じ様な馬車に従者と共に乗り込まされた。
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