第160話 アイルは新しい防具を手に入れた!
「こっ、これはぁ…ッ! パルテナの王都で見つけた中華麺!! 私とした事が…! こんな重要なモノを忘れていたなんて!!」
悔しさのあまり膝から崩れ落ちてしまった、これに気付いていたら昨夜の夜食にラーメンという素晴らしいシメを出す事が出来たのに…!
こんな事なら豚骨スープを作っておくべきだった、豚骨なら少なくとも5時間は煮込みたい、今から作るなら鶏ガラスープであっさり塩ラーメンならイケる!!
ただチャーシューの代わりになる豚の角煮は残り6枚…、1人2枚は乗せたいところだけど今回は目を瞑ろう。
豚骨ラーメンを作る時までにモヤシを育てておかないと、とりあえず大豆を使って木箱の中で育てようかな。
ホセ以外は重いモノは食べられそうに無かったし、丁度良いよね!
ホセには禁断のラーメン炒飯セットを出してあげよう、カロリーダイナマイツ…しかし私も食べたい…半炒飯なら許されるかな?
まだ昼には早いからクッキー生地を2種類先に作って冷蔵庫で寝かせておいた、ストレージの確認もしていたせいか気付くともうお昼の時間だ。
皆に食べられるか聞いたら食べやすいものなら、という答えが返って来たので思わずニヤリと笑みが浮かぶ。
先に何度か作っているシンプルな炒飯を3人前作った、万が一の為にお代わり用で余分に作ったのであって、私はあくまで半炒飯だ。
寸胴鍋から作り置き鶏がらスープを片手鍋に移し、塩で味を整えて風味付けにごま油をひと垂らし。
茹でた麺にスープを加えて角煮とネギを散らして食堂へ運んだ。
「塩ラーメンだよ、これなら食べられるでしょ?」
「わぁ、新作!? 麺料理は久しぶりだね」
「あら、ホセとアイルだけ炒飯付きなの?」
「3人共まだあまり食べられないでしょ? 一応炒飯は余分に作ってあるから欲しければ言ってね」
「この麺は王都で買っていたやつか? タイチと…アデラだったか?
「この塩ラーメンっての美味ぇな。オレは賛成だ、
既にラーメンをほぼ完食しつつホセが言った、エリアスとビビアナもラーメンを頬張りながら頷いている。
「大氾濫って事は放っておいたら被害が甚大になるよね。いざとなったらバレたとしても魔法使うよ、もうAランクだから強制的に召し抱えられたりしないだろうし」
「まぁ…、強制する事は出来無いだろうが、勧誘や引き抜きはあるだろうな」
「私は誰が何と言っても『
お約束的にそういう行動に出る人が今後居ないとも限らない、私がパーティを抜けたがってると皆に吹き込んで、皆がよそよそしくなって私が落ち込んでる時に手を差し伸べて…所謂『離間の計』というやつだ。
賢者なのがバレたら本当にありそうで怖いなぁ、私も本人の口から出た言葉以外信じない様にしないと。
二日酔い組もかなり回復して来た様なので、食後のお茶を飲みながら武器や防具の新調の話をした。
ホセが言った通り大氾濫に備えてしっかり準備する様に言われ、しかも予算は金貨1枚以内なら大丈夫との事。
その後はクッキー生地を縦にカットして市松模様に組み立て、再び冷蔵庫で寝かせた。
これで戻って来たら5ミリの厚さにスライスして焼けば良いだけ、自分で焼いたクッキーを食べるのは随分久しぶりだ。
そして生地を寝かせている間にホセと親方の工房へ向かった。
ホセの予備のブーツはちゃんと私が洗浄魔法を掛けたので加工する時に親方が顔を顰める事も無いだろう。
工房に到着した私は、忘れない様にすぐストレージから取り出して胸当ての話をした。
「ちょっと着けてみな」
言われて素直に装着すると、親方はチョイチョイとサイズを確認する様に革紐や胸当てを指で引っ張った。
「ふん、これなら紐の長さを調節すればまだ使えるぞ」
「えっ!?」
「ふぐぅっ、……やっぱりな」
親方の言葉にショックを受けて思わず声を上げると、隣から妙にくぐもった様な声が聞こえた。
視線を向けると私に背を向けてプルプル震えるホセ、そんなにつるペタフォルムの防具を使い続ける事が面白いのか!?
怒りを込めてホセの背中をキッと睨む。
「ゲフンゲフン、ンンッ、まぁ、とりあえず予備の防具もってエリアスが言ってたしな、その防具が使えなくなった時にも使えるサイズのヤツを買えばいいんじゃねぇか? まだ成長してるんだろ?」
ホセは態とらしい咳払いをした後、肩越しに振り返りがら名案を出してくれた。
そうだよね、大氾濫の為に予備の装備が必要って言ってたもんね!
「そういう訳だから親方、私に合う胸当てを出してくれる?」
「ああ、じゃあコレなんかどうだ? ビビアナの使ってる胸当てと同じ
試着してみると程良い硬さとフィット感で重さも気にならない。
しかもちゃんと胸の膨らみがわかる程度の柔軟性があるので(重要)即決した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます