第50話 バレた
「私はこれでも三賢者とは知人だったんだよ? 最初アイルを見た時はサブローの子孫かと思ったけど、魔力の質も見た目も似てないから違うんだろうね。あの3人は鑑定、言語理解、ストレージを共通して持っていたんだ、その他は得意分野とかバラバラだったけど。アイルは4人目の賢者なのかな?」
この…っ、私が誤魔化したりしない様に態と2人の前で言ったわね!?
どうする!? しらばっくれるべき?
チラリと2人を見ると驚いて目を見開いたまま私を凝視している。
ガブリエルはニコニコ微笑んで私の言葉を待っている、あの綺麗な顔に拳をめり込ませてやりたい。
ギュッと目を瞑り、ため息と共に力を抜いて覚悟を決めた。
「はぁ…、乙女の秘密を聞き出すんだから当然秘密は守ってもらえるのよね? 闇夜に怯えながら生活するのって大変だと思うの」
少々脅しを加えながらニッコリと笑顔を向けると、ガブリエルは待ってましたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべた。
「もちろんだよ! 彼らも驚いているところを見ると知らなかった様だね?」
「魔法を使えるってだけで驚いていたから…、これ以上秘密を抱えさせるのは申し訳なかったのよ。ホセ、ビビアナ、私の話を聞く? 聞いたらまた秘密を抱える事になっちゃうけど…」
殆ど聞いた様なものだけど、ハッキリ私の口から言ってしまうのと別だろう。
ホセとビビアナはアイコンタクトで頷き合った、長い付き合いだからこそ言わなくても表情でお互い言いたい事がわかった様だ。
「「聞く」わ」
即答してくれた2人にじんわりと心が温かくなる。
「ん…、わかった。あのね、私が賢者と言われる程賢いかどうかはわからないけど、確かに三賢者と言われる人達と同じところから女神様に連れてこられたの。そして賢者サブローと同じ国の出身ね」
ホセとビビアナは口を開けたまま固まってしまった、ガブリエルは駆け寄って来たと思ったら両手をガシッと掴んだ。
「やっぱりね! 新たな賢者が来てくれたなら新しい発明も出来るはず!! 住んでた所の話を聞かせてほしい、サブローの頃より発展してるのかな!? 前の3人は国どころか見た目も文化もかなり違っていたから全く別の世界から来たと思ったくらいさ」
美形のキラキラオーラが眩しい、そしてサラッと別の世界って言っちゃってるし。
て事は私が異世界から来てるって事も知ってるのね、3人の内の誰かが教えたのかな。
「話してもいいけど…、私の方も色々聞きたいから教えてくれる? あと、『
「うんうん、聞きたい事があるなら何でも聞いていいよ! 話してくれるならいくらでも待つさ、時間は人族よりいっぱいあるからね! ところで次の休養日はいつかな?」
「明日…かな」
確認の為に2人の方を見ると頷いた。
「オレも一緒に来るからな、話…聞いてもいいんだろ?」
「あたしも!」
「うん、2人が聞いても大丈夫なら聞いてほしい」
「じゃあ明日待ってるからいつでも来てね! この部屋に勝手に入って来ていいから、他の研究所員にも言っておくから安心して。忘れずに明日絶対来てね」
ほっこりじんわりした気持ちをかき消すかの様に圧が凄い、そして顔が近い。
両手が解放された時にはちょっと手が痺れていた、微妙に人との距離感がわからない人なのだろうか。
解放されて冒険者ギルドに戻る道中、ビビアナが手を繋いでくれて、その手の温もりが何だか嬉しくて笑うとホセに頭を撫でられた。
夢の中で女神様が言っていた良縁の加護に心の底から感謝しながら軽やかな足取りでギルド長室へと戻る。
そして室内の異様な雰囲気、一体どうしたんだろうか。
「おいおい、どうしたんだよ? 何かあったのか?」
ホセが首を傾げながら聞くとディエゴが重々しく頷いた。
「ああ…、今ガブリエルの奴が通信でとんでもない事を知らせて来やがった…」
「あはは、冗談半分でそうかな~、と考えた事はあったんだけどね? まさか本当にそうだったとは…」
引き攣った笑顔でエリアスが言うと、腕を組んでソファに座っているリカルドが口を開いた。
「つまりはアイルが三賢者と同じく女神に連れてこられた異世界人だと俺達も知った…という事だ」
あンのクソエルフ!!(おっと失礼)
自分の口から話したかったのに!!
処す? 処すべきだよね? 秘密を守れるか聞いたら「もちろんだよ」ってとても良い笑顔で返事してたもんね!?
月の無い夜の度に命を狙われる恐怖を味わってもらうべきか…。
「それとも食後立ち上がる度にテーブルの脚に足の小指ぶつける呪いとか、色のついた飲み物飲む度に服に零す呪いとか無いかな…、ふ、ふふふ」
「おい、落ち着けアイル。そんなくだらない呪いかけるくらいならオレが殴ってきてやるから」
いつの間にか声に出ていたらしく、ホセが肩に手を置いて我に返った。
「きっとここで話すだろうから二度手間にならない様に説明しとく…ってのがアイツの言い分らしいぞ。あのバカこんな重大な事通信なんかで話しやがって…。まぁ、これ以上この話は広がらねぇから安心しろ、あのバカもそのくらいの分別はあるからよ」
少々モヤッとしたものが心に残ったが、それは明日オトシマエをつけさせてもらえばいいか。
結局その後は報酬を受け取り、残りの犬の死骸もギルドに置いて家へと帰った。
◇◇◇
ガブリエルに対して「目ぇつむれ、歯ぁ食いしばれ」と胸ぐら掴みたいと思った方は★〜★★★で是非評価をお願いします(*´∇`*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます