第39話 自分の言葉には責任を持ちましょう
ギルド職員に相談した結果、一応梁の掃除や点検の為の通路があるとの事でそこから縛りに行く事にした。
誰がって? 気が付いたら私が行く事になってました。
所謂キャットウォーク的な狭い通路なので、そこから梁に移ってロープを縛るとなると身軽で小柄な人の方が良いというギルド職員の言葉と共に皆の視線は私に注がれていたので拒否は出来なかったというか。
「もし落ちたらホセが責任持って受け止めてね!」
「まかせとけ!」
ホセの心強い言葉を背にギルド職員のお姉さんに案内されるまま点検用出入り口に到着した、訓練場をグルっと一周する形で細い通路は確かにあった。
ただ手すりが全く無い、高さはよくある体育館の天井くらいなのでお尻がヒュンッとしてしまう。
細いロープをウエストにグルグルに巻いた状態なのでちょっと動きにくい、梁のある位置まで恐る恐る歩きながらこっそり身体強化を発動させた。
ギルド職員曰く、長く使える様にミスリルを混ぜ込んだ合金で造られた梁だから人が乗ってもビクともしないから安心して下さいとの事。
人の胴体程度の太さの梁だし、トコトコ歩いて踏み外したらシャレにならないので跨がってズリズリと前に進んだ。
1本目のロープを括る位置に到着したのでウエストの細いロープを上から垂らし、先端に登る用のロープを縛りつけてもらって引き上げる。
「く…っ、地味に重い…! 身体強化しておいて良かった…」
身体強化してなかったら引き上げられなかったんじゃないだろうか、ロープをお尻の下敷きにして細いロープを解き、もやい結びで梁にロープを縛りつけた。
そのままズリズリ下がって同じ要領でロープを縛っていたら先に縛ったロープにホセが笑顔で登っていた、今私が落ちたら誰が受け止めるのかな?
2本目のロープを縛り終えたら早速誰がが登っているのが見えた、私がロープを伝って降りてくるとか考えて…無いよね、うん。
仕方が無いのでそのままズリズリとお尻で下がって点検用出入り口まで戻ると、ずっと心配そうに見守ってくれていたギルド職員に憐れみの目を向けられてしまった。
「お疲れ様でした、男はいくつになっても子供ですよね…」
その視線はホセとロープの順番待ちをしている冒険者達に向けられていた、上がって来る前にホセの「まかせとけ!」って元気な返事も聞いていたから…。
コレはビビアナに
訓練場に降りて行くと、まるで遊具の順番待ち状態で大人気になっていた。
ただ天井まで登れる人は半分も居ない様で、結び目無しを登って途中で脱落したせいで掌が火傷状態になる人が続出した。
「うう~ん、これは結び目ありをクリアした人しか結び目無しに挑戦してはいけない決まりにした方が良さそうですね。皆さんその様にお願いします」
ギルド職員の言葉に人が移動した、掌火傷組は今日の挑戦を諦めて手当てに向かった。
考えてみたら武道館にあるのは見た事あるけど、体育館にこのロープがあるのを見た事は無い、この高さだと落ちた場合ヘタしたら死ぬよね…。
心配になったが、そこは鍛えられた冒険者達なせいか問題無く利用していたので後は自己責任でやってくれるだろう。
人の少なくなったロープを何度か登り降りして満足したのかホセが近づいて来た。
「アレ楽しいな! 他にも何かねぇの?」
「………また考えておくよ」
落ちたら受け止めるという約束を忘れて真っ先にロープを登っていた事は忘れている様だ。
ふふふ、ならば油断させておいて帰ったらビビアナに泣きついてやるもんね。
それから暫くはホセが他の冒険者と手合わせしているのを見学し、ホセが飽きた頃に食材の買い出しに行く事にした。
今日は酒盛り予定なのでおつまみ系おかずを作らないといけないし。
おつまみ考えてたらアレを食べたくなって来た、作るのにちょっと時間掛かるけど作ってる間に消えているという家族にも大人気だったポテサラチーズ揚げ餃子。
今は揚がったらストレージに隠す事も出来るから私もゆっくり食べられるはず!
ポテサラには胡瓜とシーチキン使ってたけど、シーチキンは無いのでベーコンで代用、チーズとも相性良いし。
男爵芋みたいにホクホクになる種類のじゃが芋を多めに購入、もちろん荷物はホセに持ってもらう。
「ストレージに入れたら楽じゃねぇか、せっかくダミー用に鞄も買ってるんだしよ」
「荷物を持ってなかったら寄っていってって声掛けられるじゃない? 遅くなったら作る時間が無くなっちゃうし」
いつもは鞄に入れるフリしてストレージに収納しているのでホセがブチブチと文句を言っている、ちなみにホセに言った理由は嘘だ。
声を掛けられてもサラっと流す事は簡単なのだが、反省していないホセに対するただの仕返しだったりする。
「さ、後はお酒買っておしまいね! 結構予算余ってるから多めに買ってもいいよ」
「ホントか!? よっしゃ、今日は飲むぞ~!」
ホセは気合いを入れてたくさん買う気だ、頑張って持って帰ってね。
そして両手いっぱいに荷物を抱えて帰ったホセに待っていたのは、私の
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