1年と79日目「うわぁぁぁぁああああん!」

「うわぁぁぁぁああああん!」


紗奈が僕らのベッドでスマホで小説を書いていたら、唐突に叫び出しゴロゴロとベッドの上を転がり出した。


「どうした!?」

僕は机の上をそのままに紗奈の隣に行くと。


ガシッと首に両腕を回されしがみ付かれる。

「もきゅもきゅ!」

「へ!?」


言われて紗奈の艶やかな唇を意識してしまい、ごくっと喉を鳴らしてしまったのは僕の不覚だ。


紗奈は嬉しそうにニヤ〜ッと笑う。

その顔に僕の脳内は大爆発。

他の一切が考え付かなくなって、感情のまま紗奈の唇を奪う。


「んっく」

紗奈の悶える声に脳髄を更にやられ、そのまま舌を侵入させて優しく紗奈を押し倒す。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。


しばらくお待ち下さい。


……。







ひとしきり時間が経過して、ベッドで軽く唇を重ねた後、僕は紗奈に今更ながらに尋ねる。

「それで?

なんで叫び声をあげたんだ?」


「本編を書く間がない内に最新話のPVの減少が著しいの。

そうなると書くテンションも下がって悪循環になって来て、しかも重たい話の途中だから、こーモヤモヤする訳よ!」


「あー」

それは仕方ない、とても仕方ない。

慌てたところで進む訳ではないので、落ち着くことが大切なのだ。


「だから颯太エネルギーを吸収したの」


何と全ては紗奈の罠だったのだ!

うん、引っ掛かるね、引っかからない訳がない。


「書く時間が出来て書こうと思うんだけど、重たい気持ちがまとわりついて、なんかもーなんかもー辛い訳よ。

お話はやっぱりハッピーエンドじゃないと。

でもハッピーエンドには乗り越えないといけない壁だし、そうしていると一時期よりも読んでくれる人が減って悪循環に……っていうか総PV自体はまだまだ沢山の人が読んでくれているから、それに応えたい気持ちもあって、何だかもー」


「成る程、書く苦しみというやつだね。

同時に書ける喜びというやつでもあるよね」


「そうなのよ、星がつかないとか最新話が以前の1/2になってるとか色々あるけど、まだ読んでくれる人が居るから頑張れるのよね。

どうせ公爵の話で☆3000行ったけど、書籍化とかないだろうしね」


「あー」

紗奈の作風はどうも書籍化向きかと言われれば、まあ……、見る限りテンプレ系でもないし文体的にも書籍化される作品とは少し違う。


そうであるならば、書いている意味は応援してくれる人が居るからが大きい。

あと紗奈が言うには自分が読みたい話を書いているだけだとか。


イチャイチャ幼馴染も?と聞くと目を逸らされた。

そして私は後悔はするけど、反省はしないわよと目を逸らしながら言われた。


せめて反省はしようよ……。

あと、後悔はするんだね……。


「とにかく!

今、何だかそういう気分でこういう気分な訳で!

颯太!

もう一回もきゅもきゅ!!」


「はいはい」

「はいは一回!んっ」

そう言って僕らは舌を絡ませて、ベッドで口を重ねる。


もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。

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