1年と24日目「カクヨムコンって盛り上がって……る?」
「カクヨムコンって盛り上がって……る?」
僕らのベッドで僕に絡み付きながら、スマホでカクヨムを見ていた紗奈は唐突にそう言った。
「さあ?」
サイト上の動きが盛り上がっているかどうかは、いまいち分からないものである。
「でもまあ、エッセイとかの更新も少ないし、昨年までカクヨムコンの検証をしていた人の作品も大分減ったから、盛り上げ要素は少ないのかもね。
だけど新作は毎日登場しているのは分かるよ」
「そうよねぇ〜……」
紗奈は僕の上にもぞもぞと乗り上がり、はふ〜と力尽きる。
うん、モニャモニャするからあまり動かないように。
やっぱりこう、落ち着かない訳で。
「ちょっと例の公爵も書く気力が湧かないから、他の人もきっとそうなのかなぁ〜って」
「うん、まあそうかも。
ランキングだけ見ると、前から話しているように偏るものだし」
「あ、でもね。
ちょっと意外だったんだけど、他の小説サイトを見ると、最近はカクヨムほどテンプレに偏ってない気がするわ。
もちろん沢山テンプレ物は多いけど、それを省いて見てみれば、それなりの非テンプレが台頭して来ている気がするわ」
「まあ、その点はカクヨムの方が極端だよね。
それもカクヨムコンの影響かなとは思わなくもない」
もちろん実態は分からないし、主観的な見方なだけだ。
「そんな中!
新たな作品が浮かんだわ!」
「うん、年末も同じようなことを言ってたね?」
「今度はファンタジーよ!」
「今、書いてるファンタジーはどうするの?」
紗奈は目を逸らしながら、さらに続ける。
「基本に戻り冒険者の主人公のお話よ。
毎日、お金に苦労しつつ銅貨を貯めて外食はソバを食べ、銀貨2枚はする装備を整えて、防具は高いからどう節約するかとか、そんなことを考えるリアル系よ!
テンプレとか絶対書けないことが分かったから、基本に帰ることにしたわ!」
「そうか、そうか、それで今書いている公爵物どうするの?」
「危ない!
颯太、そんなことをいう口は塞がなければ!」
そう言って、うんしょうんしょと僕の身体を登ろうとするので、紗奈の身体を引き上げ顔をすぐそばにまで。
口はすでに触れそうなほどに。
ちなみに僕の目は狼状態のはず(イメージ)
「あれ? 颯…もぎゅ」
引き上げられて戸惑っている紗奈の口を口で塞ぐ。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。
ツイ〜と口を離すと紗奈がクタッと倒れる。
「口を塞ぐはずが塞がれたわ」
「うん、仕方ない、仕方ない」
「そんな訳……もきゅ」
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
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