373日目「ムキー!心を満たせたいの!」
「ムキー!心を満たせたいの!」
紗奈はさっきから見ていたスマホを放り投げ、僕らのベッドの上で両手を上げバンザイをしてそう言った。
僕がそれを合図に、机の上を片付けて紗奈の隣に移動すると、嬉しそうに腰にしがみ付いてきた。
「満足」
満足らしい。
そのまま、紗奈はもぞもぞと僕のお腹に顔を擦り付ける。
「いつものことなんだけど、純愛のほわ〜っと幸せになれるような作品が読みたいのよねぇ。
後、書いてる長編が難しいシーンだから何というかモヤモヤするの。
それにカクヨムコンの間は周りの嵐に飲み込まれて、PVも少し減りやすいし。
つまり、何というか……モヤモヤするの」
僕は紗奈の頭を撫でつつ。
「そうか、そうかモヤモヤするんだね」
「うんうん」
紗奈はゴロゴロと懐く。
「こういう時は思わず無計画に新作を公開したくなるの。
そして後悔」
バタリと僕のお腹に倒れ込むポーズ。
でも紗奈はすぐにぴょこんと顔を上げて話を続ける。
「もういっそストックの数話全てをブワーっと公開したくなるわ。
でもこの激情に任せてしまうと書くこと自体がなんだかこー、嫌になってしまいそうで危険な兆候なのよ」
「そうなんだ」
僕としてはそうなんだとしか言えない。
「そうなの。
12月が忙しい人ばかりだから反応が薄くなるのは当然なんだけど、その反面好調な人も居て、なんだか、あれ? これ書いている意味あるの?と迷いが生じやすいのよね。
5月のカクヨムコンの結果が出た辺りなんかも同じ感じに危険なんだけどね」
「うんうん、そうかそうか」
頭を撫でる。
女性はこういう時、聞いてもらうだけで良いらしい。
紗奈は再度、僕のお腹に顔をぐりぐりとさせて、またぴょこんと顔を上げて這い上るように僕の身体を、んしょと登ってきて。
身体を伸ばしながら唇に自分の唇を掠らせる。
満足出来ないらしく、さらによじのぼりピンクの小さな舌を伸ばして来たので、迎えに行くようにその舌に僕の舌を絡ませる。
そこからはいつものように口を絡ませながら。
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ……。
そのまま紗奈は上から乗り上げるように僕を押し倒そうとするが、紗奈の力では倒れないので、紗奈が怪我をしないように紗奈の身体を抱えながらゆっくりこちらから押し倒されてあげる。
調子に乗ったのか、紗奈はもきゅ!と再度口を重ねて来る。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……。
そのまま2人で横になり、もきゅもきゅを続けながら、少しだけ口を離す。
「颯太、お休みなさい」
「お休み、紗奈」
そしてまた口を重ねる。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます