エクストラ「あれ?紗奈。」
「あれ?紗奈。」
僕は隣でスマホでネット小説を書いていた紗奈に声をかける。
「ん〜?」
「更新されてるけど?
ま、まさか!?」
今度という今度は駄目だと思うよ!
隣の紗奈はコロンとこちらを向く。
改めて紗奈が同じベッドで隣に寝てるって、凄い状況だよなぁ、、、。
今更だけど。
「違うよ〜?
言うなれば、あとがき、かな?」
「あとがき?」
「そ、あとがき、、、みたいなもの。」
紗奈はそう言って僕にいつものようにしがみ付き、顔を僕の方に向けてせがむので、僕も応えるようにいつも通り口を重ねる。
もきゅもきゅ、、、。
チュッと、今回はわざわざリップ音を鳴らして紗奈は離れる。
「そりゃあね?
今日、悲しい失恋ソング聴いて、別れる2人に納得いかなーい!
イチャイチャ幼馴染で書いてしまおうか!とか思ったけど〜。」
紗奈曰く、それは思い止まったらしい。
うん、流石にね。
「思い止まったら、ふと思い出したの。
読み専になるよりも前、小説を書き出した原点。
そうだ、私は心の中に湧いてくるこの『想い』って奴を描きたかったんだって。
だから今、小説書いてるんだって、ここに来てようやく思い出したの。」
黙って話を聞く僕の唇にチュッと自分の唇を重ねてくる。
その紗奈の姿がたまらなく可愛かった。
「くっ、、、可愛い。」
僕が思わずうめいてしまうのは許して下さい。
「ありがと。
それはともかくね。
イチャイチャ幼馴染もそうなんだけど、作品に対しての私の大前提を書いておこうと思って。」
「大前提?」
「そう。
あくまで私が描く小説は、だけどね。
私の書いた小説の登場人物はその世界で生きてるのよ。
だから、物語が終わったら終わる訳じゃ無いの。
その登場人物たちはそれぞれの道を歩くの。
作者はね、その世界の物語をそっと覗かせてもらっているだけ。
だから、登場人物たちは作者である私の自由にはならないし、私が彼ら彼女らの運命を決めている訳では無いってこと。」
僕はそれを黙って聞く。
「、、、例えば、カクヨムで言えば、あとがきという形で作品の末尾辺りで作者のコメントがあることがあるわ。
あれって、応援してもらったり感謝を伝えるのにとても効果があると、私は思うわ。
読んでて、『あっ、そうだ星入れよ!』と思うことがあるもの。
でも私にはそれは出来ないのよ。」
「紗奈にとって、作者は作品の登場人物では無いから?」
「そうね。
ちょろっとした私のこだわり。
そういうこだわりは、、、多分、最後まで捨てないと思う。
だからって訳じゃ無いけど、勘違いしないで欲しいのは、イチャイチャ幼馴染がカクヨムに投稿されなくなっても、私たち別れたりしないからね!と。」
「、、、今更、それを疑う人居ないと思うよ?」
「来年の12月に結婚してるから。」
「、、、それも。」
「ずっとイチャイチャもきゅもきゅしてるから。」
「、、、紗奈。
今更過ぎる、、、。」
紗奈を後ろから抱き締めるように羽交い締めする。
ちょっと紗奈がジタバタしているところが可愛いので唇を奪う。
あむっあむっとそのままお互い求めるように唇をついばむ。
「、、、しっかりもきゅもきゅー。」
「はいはい。」
お互いの舌を合わせて絡ませて、味わうように口を重ねて、舌を重ね合わせて。
もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
まあ、要するにこれからもいつも通り。
了
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