197日目「、、、早いわね。」

「、、、早いわね。」


僕らのベッドで足をバタバタさせながら、うつ伏せになりスマホでネット小説を読んでいた紗奈が突然、ボソリとそう言った。


僕は思わず振り返る。

「な、何がでしょう!?」

さらにどもってしまった。


僕が反応したのに気づき、紗奈はまるで驚いたネコのように顔をこちらに向けた。

頭の上にネコ耳の幻覚が。


「颯太!颯太!」

紗奈はバフバフとベッドを叩いて僕を呼ぶ。


はいはい、と机の上を片付けていつものように紗奈の隣に座ろうとしたら、押し倒された、あれ?


紗奈は上からのしかかるようにしなだれかかり、妖しく笑う。

「今日はなんだか、理由はないけどムシャクシャする日な訳よ。

こういう時は生きている実感が欲しくなる訳で。」

「そ、そうなん、、っもが!?」


もきゅもっきゅもっきゅウチューもっきゅ、、、。


暫くお待ち下さい。


、、、、、、。


、、、、、、。


「それで何が早かったんだ?」

ベッドにのべ〜と伸びた紗奈の頭を優しく撫でながら、僕は尋ねる。


「、、、眠たくなってきた。」

紗奈はうつ伏せでチラッと僕を見てから、身体を起こし僕の腰にしがみ付きながらそう言った。

「そっか。」

そう言って頭を撫でる。


「、、、おかしい。颯太を襲ったら襲い返された。」

「うん、そりゃそうだよね。」

「、、、そうなのね。」

ひとしきりゴロゴロと紗奈は僕に擦り寄ってから、もう一度顔を上げる。


「早いのよ。」

「何が?」

「フォロワー1000人越えるのが。」

そう言って紗奈はスマホを僕に見せる。

紗奈の顔が近付いたので口を重ねておいた。


もきゅもきゅ。


「奪われた〜。」

「奪った。

どれどれ、、、ああ、この新作?良かったね。」


「うん、こんな短期間で1000を越えるとは思わなかったから有難いことなの。

でも、それだけにこの後の展開でどんな評価を受けてしまうか、ぶるぶる、私の豆腐メンタルが揺れるわ。」


「紗奈はとりあえず、豆腐メンタルじゃないよね?

この後の展開?

あー、あれか、前に言ってた避けられない展開か。

うん、でも迷わず進むしかないよね、それが作品を創るということだし。」


紗奈はまた僕の腰にすりすりと顔を擦り付ける。

今日の紗奈はネコっぽいよね。


「、、、こちらは順調なんだけど、こちらの新作は奮わないのよね〜、何故かしら?

ギャグラブコメはやはり人を選ぶ?」

「うーん?僕にはなんとも、、、。

定番ラブコメがあまり、、、。」

「これ、定番かしら?」


スマホを一緒に見ながら紗奈がそう言うが、ラブコメの定番自体がイマイチどう言って良いのかが分からない。


とりあえずスマホを一緒に見ているので、また紗奈の顔が近付いたので口を奪っておいた。


もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ、、、。

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