150日目「ねえ、颯太。イチャイチャ幼馴染読み返してたんだけど。」
「ねえ、颯太。イチャイチャ幼馴染読み返してたんだけど。」
僕のベッドに寝転がり、うつ伏せで足をバタバタさせながら、スマホでネット小説を読んでいた紗奈はいつも通り唐突にそう言った。
「読み返してたんだけど?」
僕はペンを持ったまま振り返る。
すると、紗奈は上半身を起こし、ポンポンと自分の隣を叩く。
机の上を片付けて、紗奈の隣に座る。
紗奈はそのまま僕の首に腕を回し、しなだれかかる。
「見てこれ!」
「えーっと、111日目、、、紗奈、この時のも書いてたんだ、、、。」
僕は片手で顔を押さえる。
顔が熱くなる。
端的に言って、恥ずかしい。
「紗奈、晒しすぎ、、、。」
「うん、、、。そんな気もする。」
ジーっと紗奈が見てくる。
チラリと見返す。
紗奈も少し顔が赤い。
ジーっと見られる。
紗奈が僕を見つめながら、小さく赤い舌をチロッと。
誘われるように口を近付ける。
よせば良いのに、2人とも赤い顔のまま止められない。
ぴと。
その状態で無意識で舌を動かしてしまう。
「あっ!?」
どちらが声を上げたか分からない。
くたっと互いの肩に顔を乗せ、2人同時に息を吐く。
「しまったぁ〜。」
紗奈がそう声を上げる。
僕は紗奈を軽く抱き締め、その背をポンポンと叩く。
「、、、いやまあ、そうなるよね。」
はははと僕は苦笑い。
「そうだよねぇ、、、はぁ〜顔熱い。」
紗奈は僕の肩にグリグリする。
「ネット小説を見て思ったんだけど、こんな感じにイチャイチャするのは、高校よりも大学以降が普通よね。
カ◯ヨ◯ではそんなに多くないし、あっても埋もれやすいのよね、、、。
面白いのが多いんだけどね。」
「そうだね、最強物やハーレム系やテンプレラブコメ、、、あまり認めたくはないけど幼馴染系も、分かりやすい小説が表に出やすいからね。
紙の本のように、通して読む形の小説は埋もれやすいね。」
「私も紙の小説の方に慣れてたから、そういう部分は抵抗があるのかな。
面白いのが多いのに、、、。」
「そうだね。
紙の本には紙の、ネット小説にはネット小説の面白さがあるよね。
それをありのままに楽しめば良いと思うよ。」
紗奈は僕の肩に顔を乗せたままで、こちらを見て嬉しそうに笑う。
そして、優しく微笑みながら、恥ずかしそうに、もう一度赤い舌を少し見せる。
僕は、うん、と小さく言って、それと自分の舌をゆっくり重ねようとして、、、。
「ちょ、ちょっとストップ!」
紗奈が慌てるように舌を口の中に引っ込め、もきゅもきゅさせまいと、ん〜っと口と目を閉じる。
僕も紗奈の口元まで来た舌を引っ込め、触れるようなキスをする。
紗奈の頭をぽんぽんとする。
「少し過激、過ぎかなと思って、、、。」
「そうだね。」
そう言って、僕らは小さく笑う。
「あ、そうだ。」
「どうしたの、颯太?」
こちらを向いた隙をついて、紗奈の口を奪う。
今度は紗奈は止めることなく、それを受け入れて目を閉じた。
もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。
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