147日目「テンプレをさらに書いてみたわ。」

「テンプレをさらに書いてみたわ。」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは、コロコロ転がり出して、唐突にそう言った。


僕はペンを置き、椅子から立ち上がり紗奈の隣に座る。

紗奈は僕の腰にしがみ付きながら、スマホを差し出す。


僕は紗奈の手を引き、背中を向けさせて紗奈を足の間に座らせる。

それから紗奈の肩に僕の顎を乗せて、一緒にスマホを見る。


「おー、由緒正しきイチャイチャだ〜。」

紗奈が嬉しそうに言う。

「うん、昨日もこうしてたけどね。

何々、あ、昨日のやつの続きなんだね。」

「そうよ〜。昨日に引き続き、テンプレを検証してみたのよ。」

紗奈は僕に身体を擦り付け、ゴロゴロと言わんばかりだ。


ふむふむ、なるほ、ど、、、。


「紗奈。

これ、テンプレ違う、、、。」

昨日に引き続きだ、、、。


「え〜?

剣聖の幼馴染が王都に連れて行かれそうになるのよ!

そのままでは、王都で勇者が剣聖で聖女な幼馴染を洗脳して寝取ってしまう恐ろしいテンプレの前触れじゃないの!

そこを幼馴染が颯爽と皆を言いくるめて、王都に自分もついて行けるようにしたのよ!」


「言いくるめたんじゃなくて、言いくるめられて、、、ってそれ以前に強制で一緒に連れて行かれてるよね?」

「う〜ん、おかしいわね、、、。

颯太ぁ〜、テンプレって難しい。」

「あ〜、そうなんだ、、、。

難しいものなんだね、、、。

まあ、紗奈からしたら思わずツッコミをいれてしまうものかもしれないね。」

紗奈は僕の腕をハムハムと甘噛みしながら頷く。


「そうなのよ〜。

私もね、テンプレ通りにイチャイチャしようと思うのよ?

でも颯太に引っ付けるなら、引っ付きたいし。

あ!もきゅもきゅがやっぱり問題なんじゃない!?

激しくなり過ぎるから!」

「あー、うん。

紗奈もしかして気付いてない?」

「へ?何が?」


あー、そっか、気付いてないか。

紗奈をクルッとこちらを向かせ、優しく押し倒す。

「はれ?」

腕を紗奈の頭の上の方に。

壁ドンならぬベッドドン?

紗奈の目をしっかり見つめる。


「あ、あれ、、、颯太?」

見つめられて紗奈が動揺する。

艶のある唇へゆっくりと。

「あっ。」

その艶のある唇を包むように、柔らかく重ねる。

「ん。」

軽くそっと啄むようにしながら、唇を離す。


紗奈の目は潤む。

唇を離す際に、また、「あっ」と息が漏れたのは無意識だろう。


僕は紗奈の頬に優しく手を当て、微笑みを浮かべる。

「分かった?

ただのキスの方が、僕らはスイッチが入りやすいって。」

「う〜。颯太のいじわるー。」

僕はもう一度笑い、紗奈の口を奪う。

もきゅもきゅもきゅもきゅ、、、。

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