110日目「あれ?私、ラブコメを紙で読んだことないかも?」

「あれ?私、ラブコメを紙で読んだことないかも?」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは、ピタリと足を動かすのを止めて、唐突にそんな衝撃的なことを言った。


僕は椅子を回転させて紗奈の方を向き、言った。

「今までのラブコメ談義はなんだったんだ、と思えるほど衝撃的な言葉だね。」


「ラブコメは好きなのよ?」

「うん、それはよく分かるよ。」


「ネットの方は、納得がいかない話になってもそこで止めれば良いけど、書籍で買っちゃうと一応納得いかなくても最後まで読むでしょ?

するとやっぱり納得いかなくてモヤモヤするの。」


「あー、散々話し合ったけど、ラブコメには相性があるよね。

ハーレム好きとかジレジレ好き、悲恋好きもそうだし、ザマァ好きに後、イチャイチャのレベルによって合う合わないも違うね。

そう考えると、異世界ファンタジーよりもハードルが高いのかな?」


紗奈は身体を起こして訴える。

「後は、あの可愛い女の子の絵かなぁ。

可愛いのだけど、可愛すぎてレジに持っていくのに躊躇うわ。

異世界ファンタジー物も中途半端に露出が多い絵だと、面白そうでもスルーしてしまうわ。

誰もが、中途半端な露出を好むとは思わないで欲しいのよ!」


おお、、、後半から紗奈魔人がお怒りじゃぁ、、、。


「成る程ねぇ、、、。

余程お気に入りじゃないと書籍化しても買わないかもね。

後、ネット小説と内容が同じ場合も、うーん。

色々難しいものだね。」


「奥が深いわ、ラブコメ。」

ラブコメというより書籍化かな?

紗奈は納得したらしく、そこでコテンとまた横になって、ネット小説を漁っている。


落ち着いたようなので、僕はまた勉強を続けることに、、、。

「あ、そういえば。」

「何?」

紗奈は長い髪をパサリとベッドに垂らす。

うん、何か良いね。


僕は椅子から立ち上がり、紗奈の隣に座る。

紗奈はこちらをジッと見る。

顔を寄せると自然と目を閉じるので、そのまま唇を重ねた。

もきゅもきゅ。


ぺろりと2人とも自分の唇を舐め、僕は椅子に戻り、紗奈はスマホでネット小説に戻る。


なにか、、、。

「なんか甘いね。」

「うん。」

紗奈も同じことを思ったようだ。

何か甘い物を食べた訳ではないけど、なんとなく今日のもきゅもきゅが甘く感じた。


きっと理由はない。

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