106日目「隙間タイムって、あるよねぇ。」

「隙間タイムって、あるよねぇ。」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは、唐突にそう言って僕を手招きする。


はいはい、と紗奈の隣に座る。


「寝転んで〜。」


言われるままに寝転ぶと、紗奈がしがみ付いてきたので、頭を撫でておいた。


「隙間タイム?」

「隙間タイム。更新と更新の合間。

お気に入りの作品が更新される合間のことよ。」


「ああ〜、毎日更新される作品はそこまで多くないからね。」

紗奈は足をバタバタ。


「そうなのよ!そう言う時に限って、心が物語を求めているの!」

紗奈の頭を撫でつつ、時々、頭にキスを落とす。


紗奈も僕の手を掴みハムハムとくわえ出す。


「ひょにはく(とにかく)、そういう時は新規開拓する気力もあまりないのよねぇ。」

ホフ〜と吐いた息が僕にかかり、なんとなく気にかかり匂いを嗅ぐ。


「臭い?」

「んー、臭くない。いい匂いかな。」

「颯太も臭くないよ。」

「ありがと。」


紗奈がまた抱き付くので、抱きしめて頭を撫でておく。

、、、可愛い。


「んでね。新規開拓ってほどじゃないけど、恋愛タグのランキング見てしまったのよ!」

「見た、で良くない?

見てしまったって、、、。」

「いいえ、颯太、これは由々しきことよ!

現代物で女性目線の恋愛物がとても少なかったの!」


「な、なんだって!?」

僕は無駄にオーバーリアクション。

紗奈が嬉しそうに頷くので、可愛くてもう一度頭を撫でる。


僕もスマホでカ◯ヨ◯を見てみる。

「なるほど、恋愛で女性目線だと令嬢物が多いね。

大人の恋愛と同じぐらい少ないね。」

「なんでかな?

やっぱり男目線の方がウジウジ書きやすいから?」

「うん、紗奈。身も蓋もないこと言うね?」


頭を撫でる。

この感触が良い。


「私、女の子が振られそうになるけど、必ず幸せになる話が好き。

あの、キューって感じがベストよ!」


紗奈はしがみ付きながら、身体を擦り寄せる。

うん、あったかくて柔らかくて落ち着きません。


「なかなかマニアックな設定だね?

どれかはそういうシーンあるだろうけど、どれかは分からないね。」


「そうなのよ、、、。お気に入りの作品は森で特定の木を探すが如し。

果てしないわ、、、。」


バタンと力尽きるように、うつ伏せに倒れ込む。

その紗奈をコロンと転がして仰向けに。

「あれ?」

頭をひと撫で。

この撫でるのが好きなのは、男だけとかいう噂。

うん、まあ、僕も例に漏れず、撫でるのが好きだ。


とりあえず紗奈と目があったので、唇を重ねて。

もきゅもきゅ、、、。



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