97日目「魂が震えるラブコメが読みたい!!」

「魂が震えるラブコメが読みたい!!」


僕のベッドの上で、寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいた紗奈さなは起き上がり唐突にそう言った。


僕は首だけ振り向き、一言。

「そうなんだ。」


今日の紗奈は興奮気味らしく、すぐにバンバンと自分の隣を叩く。

僕はため息を一つ吐き、、紗奈の隣に座り頭を撫でると共に、いつものように顔を、、、。

「颯太、ちょっと待って!」

紗奈に口の前で、手で遮られ止められる。


「どうしたの?」

「私たち最近、もきゅもきゅし過ぎだと思うの。」


僕は首を傾げる。

「この間、同じ話、しなかった?」

紗奈は拳一個分だけ離れる。

ちょっとショック。


「いい?颯太。私たちはずっと、ずーっともきゅもきゅしていられるわ。

、、、でもね?それだとラブコメで言うなら始まってからずっと、もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゃ、、、と言うふうに、もきゅもきゅだけで終わってしまうの。


それがラブコメと言えて?」

最後、何故もきゃにしたの?


「別に僕らは、ラブコメをしている訳ではないと思うけど?」


紗奈は落雷に打たれたように、ショックを受けた顔をする。

「ラ、ラブコメじゃない、ですって!?」

「違うと思うよ?日常的にイチャイチャしてるだけで。」

「でも、それもラブコメでしょ!?」


僕からしたら、割とどうでも良いんだけど。


「んー、でも、山も谷もない、僕らみたいにただひたすら、イチャイチャイチャイチャしているだけのラブコメって、ある?」


「、、、何処かには、あるわ。

カ◯ヨ◯の作品数は多いのよ。」


「紗奈が好きな作品でハッピーエンドの幼馴染物も一定のテーマがあって、その中でイチャイチャしてるのが、ほとんどじゃない?

まあ、僕からしたらテーマがないとどんなに評価が良くても読まないけど。」


ヨヨヨ、、、と紗奈は倒れる。

「そんな、、、私たちの日常はラブコメじゃないの?」

「ラブコメがいいの?」

紗奈は、そこでようやく考える。


「んー、ノリで言ってみたけど、颯太とずっとイチャイチャしてられるなら、どっちでも良いかな?」


そうなんだろうね。


とりあえず、僕はベットの枕元の棚からリップクリームを取り、それを紗奈の唇に塗る。

紗奈は大人しく口を突き出し、されるがままにリップクリームを塗られる。


とりあえず、今回はキスをせず。

、、、でもまあ。

大体、僕も学習しているもので、こうやって何もせずにがまんした次の日って、ほぼイチャイチャが激しくなっちゃうんだよね。


分かってはいたが、あえて紗奈には言わずに紗奈の頭だけ撫でておいた。


紗奈はそれを知ってか知らずか、、、間違いなく知らずに嬉しそうに僕の腰に手を回す。


「ラブコメ、ラブコメかぁ〜。

ラブコメの言葉が出た当初と今は何か違う気もするよね。

私にしたら、どんなに評価が良くても合わないラブコメと合うラブコメの差が激しいかなぁ?」


「それは多分、他のジャンルでもそうなんだろうね。

ラブコメが特に気になってるだけで。」


「そうかもしれない。」


紗奈を見下ろすとピンク色で、リップクリームでさらに艶やかな唇。

僕はその感触を知っている。


その甘美な味も。

紗奈が不思議そうに首を傾げている。


その頬にキスを落とすと、紗奈は目を丸くして動揺し顔を赤くする。

散々、頬のキスなど比較にならないほど、口を重ねているというのに、こういうことで照れるようだ。


まあ、今日『は』これで、許そうと、僕は紗奈に微笑みかけた。


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