89日目「ネット小説は紙小説とは違うということね、、、。」

「ネット小説は紙小説とは違うということね、、、。」


ふらふら〜っと、紗奈は部屋に入るなり、そう言って僕のベッドに倒れ込んだ。


「どうしたんだい?」

僕はペンを持ったまま、くるりと椅子を回転させた。


紗奈はよろよろとスマホを持ち上げる、、、が、疲れたらしくすぐに手を下ろす。

「タイトルは長い方が人気が出やすいみたいなの、、、。」


僕は紗奈の隣に座り、彼女の頭を撫でる。


「認めたくないものね、若さゆえの、、、」

「そこで止めようか。

ふむふむ。

それで紗奈としてはどう思った?」

「私は長いタイトル苦手だから、長いタイトルを見ると避けてたわ、、、。

でも、確かに情報の多いネットの中にあって、如何にアピール出来るか、それは一つの新しい形であることからも目を逸らしていたわ。」


紗奈は僕の枕をハムハムしながら語る。

あれって、後で落ち着かなくなるからやめて欲しい。

汚いとは思わない、むしろ、おっと。


「そうかもしれないね。

音楽の変化なんかも良くそういうことあるよね。

小説も純文学から、所謂、今のライトノベルが出た時には、納得出来ない人も多かっただろうね。

そして、ネット小説が登場した時も。」


紗奈の髪を撫でる。


「そうね、、、。でも、人はそうやって変わって、いいえ、進化するの。

ダンジョン物が最強物に、ラブコメがやがてイチャラブに変わるように。」


イチャラブに変わるかどうかは、ただの願望だよね?


「人は、、、変わり続けるものよ、、、。」


なんだかいい感じに纏めようとしている気がする。


「『イチャイチャ幼馴染』も大概、タイトル長いよね?」

紗奈はガバッと身体を起こす。


「いいえ!それでは足りなかったの!これでは私たちが何をしているか伝わらないと思うの!」

「イチャイチャしてるのは伝わると思うけど?」

紗奈が暴走し出した。


「いいえ!いいえ!イチャイチャもするけど!検証もするの!そして!!」


紗奈の口を口で塞いだ。


もきゅもきゅ、、、。

ツイ〜、、、っと。


「まあ、紗奈の思うようにやってみたら?僕は見守っておくから。」

大人しくなった紗奈は僕の腰にしがみ付く。


「うん、試してみる。頭を柔軟にして。もきゅもきゅつけてみる。」

「いや、もきゅもきゅはぶっちゃけディ、、っモガ。」

今度は僕が口を塞がれた。


もきゅもきゅ、、、。

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