81日目その2「紗奈ちゃんって、牧田君と付き合ってるんだよね?」

「紗奈ちゃんって、牧田君と付き合ってるんだよね?」


クラスメイトの桐谷佳奈美きりたにかなみさんがそう言ったので、私は答える。


「何?私を倒しても、颯太は渡さないよ?」

「いや、獲らないから。というか獲れないから。」


「颯太を奪いたければ、私を倒し、かつ幼馴染として生まれ変わり、颯太に認められ、かつ、さらに私を倒して、それから、、、。」


「いやいや、獲らないから、落ち着いて?」

クールにコロコロ笑いながら私は威嚇するも、桐谷さんは両手を前に突き出し手を振る。


「そう?挑んじゃダメよ?始末しないといけなくなるから。」

私は小首を傾げる。


「紗奈。可愛く言っても言ってることやばいから。」

環奈がそう言うので、そう?と私は威嚇をやめる。


「紗奈ちゃんって、ほんとラブラブなんだね、、、。

キスとかもうしたの?」

キスのくだりは声を潜ませて、聞いてくる。


「そうね。適度にしてるわ。

そういえば、聞いてみたかったけど、最近、キスがだんだん激しくなってきてるんだけど、どうしたらいいと思う?

2人で話し合ってても、顔が近付いちゃうとキスしちゃうから、他の人はどうしてるのかなって。」


「ええ!?」

桐谷さんが身を乗り出してくる。


「紗奈、、、。

あんたぶっちゃけ過ぎ。」

「え?そう?」

男子のいる場では絶対に言わないが、言いふらす2人ではないし。


「まあ、信用してくれてるってことなんだろうけどさぁ。

彼氏の居ない私では答えれないから、佳奈美ちゃんお願いね?」


「え、ええ!?私!?

私は、えーっと、激しくって、どんな?」


どんなって、、。

「もきゅもきゅ?」

もきゅもきゅ?と2人が首を傾げる。


私は口を開けて舌を見せる。

ちょっと動かし。

「もきゅもきゅ。」

口を閉じる。


おや?環奈と桐谷さんが悶えたぞ?

桐谷さんは自らの口を押さえ告げる。

「ご、ごめん。紗奈ちゃん。私では力になれないかなぁ〜、、、。」


環奈には、完全に呆れた顔で。

「、、、それを適度に?適度ってどれぐらい?」

「え?顔が近付いたら?

うーん、近くに居たら、ずっとかも、、、。

夜は、、、あっ。」

おっと同居して、ずっと同じ部屋に居るのは環奈ちゃん以外には秘密だった。


桐谷さんは夜?と首を傾げられた。


「、、、夜は出来ないものね。

デートの時に隙あらば、ってことね。

本当にラブラブね。」

環奈が呆れ顔のままフォローしてくれた。


「えへへ〜、そう?そうでしょ?」

そこで桐谷さんが私に尋ねる。


「学校では、あんまり側に居ないよね?なんで?」

「、、、学校でも、イチャイチャしちゃいそうだから、自粛。」

あ〜、と桐谷さんは納得してくれた。


事情を知る環奈は、完全に呆れてため息を吐く。

小さく口だけ動かし、つまりずっともきゅもきゅしてんのね、と。

それを私は苦笑いで返すのだった。

、、、やっぱりもきゅもきゅは過激みたいだね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る