78日目「最強とかチートとか、どうして選ばれるのかな?」

「最強とかチートとか、どうして選ばれるのかな?」


僕のベッドの上で、僕の枕に顔を埋めながら寝転がって足をバタバタして、スマホで小説を読んでいたはずの紗奈さなは唐突にそう言った。


勉強を終えた僕はノートを閉じて、紗奈の隣に座る。


「何か見てた?」

「んー、ランキングと、後、本屋を見て思ったの。」

「あー。」


紗奈に限らず僕もだが、漫画も結構好きだ。

確かに書籍化されたものは、ほぼ似たような最強物?が並んでいる。


「後は悪役令嬢とか転生令嬢?

転生令嬢系は結構好きだけど、最強物は私はあんまり見ないかな?

最初の頃は好きでよく見てたけど。」


「どうなんだろうね?

書籍化とか時間が掛かるから、読んでた物が今、書籍化されているのかもね?」


「うーん、次の時代を私は求めるわ。」

まあ、分からなくもない。


常に新しい刺激を求めるのが人の常だ。


「昔で言うなら、ダンジョン物も嫌いじゃなかったけど、もう見ないね。残念。」


紗奈の頭を撫でる。


「そういうものなんだろうね。

ライトノベルも常ならず。

ラブコメの中でラッキースケベが減ったように、最終回でキスシーンが最高のラストだった時代も去った。


イチャイチャも何処までをイチャイチャというのか、それもまた変化するだろうね。」


紗奈はガシッと僕の腰にしがみ付く。


「颯太は私とイチャイチャし続けるのよ!」

僕は紗奈の頭にキスを落とす。


「うんうん、そうだね。

でもほら、僕らも同居が始まった初日からイチャイチャしてるけど、最初の頃のイチャイチャはもっと違う、言ってみれば、ソフトなものだったよね?」


「そういえば、そうね。しがみ付くだけでドキドキして大変だった。」


だろ?

今じゃキスしまくりだ。


「うーん、一度原点回帰してみる?」

「どんな風に?」


紗奈は僕を手招き。

僕は身をかがめる。


紗奈は僕の首に唇を当て。


ウチュー。


そういえば、あったね、こういうこと。


紗奈がにひひと笑うので、可愛くなって、ウチューと口を吸っておいた。


「んー!?」

紗奈の抗議の声は、聞かないフリをした。

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